よもやまメモ噺

いんじんリュウキ

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お清めじゃない噺

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 飲食店の入り口を見ると、時々ちょこんと盛り上げられた塩が置かれていることに気づくかもしれない。

 イメージ的にお清めために置かれているのではと思うかもしれないが、実は客寄せのおまじないなのだ。

 昔、中国の皇帝は多くの妾を囲い、牛車に乗って夜ごと妾の屋敷を訪れていた。
 
 妾の側からすれば、皇帝になんとか来てもらいたいのだが、人数が多いので競争率が非常に高い。

 そんななか、ある妾が一計を案じ、屋敷の玄関に塩を山のように盛り上げておいた。

 すると屋敷の前で牛車が止まり、その妾は見事に皇帝の寵愛を得ることに成功したのだ。

 なぜ牛車が止まったのかといえば、それは塩をなめるためである。

 草食動物は常に塩分をとらなくては生きていけないため、牛は玄関先に塩があることに気づくや、そこで立ち止まって動かなくなってしまったのだ。

 この故事から、お客など、来てほしい人を招き寄せるおまじないとして、玄関に塩を盛るようになったのである。

 では、今回はこの辺で失礼をば。
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