よもやまメモ噺

ぐれ噺

　青少年などが非行化したりすることを「ぐれる」というが、この言葉にはハマグリが大きく関わっていた。

　そもそも「ぐれる」とは、「ぐれ」という言葉が動詞化したもので、この「ぐれ」は「ぐれはま」という倒語が変化して生まれた言葉なのだ。

　倒語とは言葉を逆から言ったもので、素人を逆に言った「トウシロ」や探すを逆に言った「ガサ入れ」、また一昔前のテレビ業界人が言っていたシースーやワイハーなどもそれにあたる。

　では「ぐれはま」とは何の倒語かといえば、答えは「ハマグリ」だ。

　平安時代、貴族たちの遊びとして「貝合わせ」というものがあった。

　これは簡単にいえば神経衰弱のようなものなのだが、ハマグリの貝殻をひっくり返すと簡単には合わなくなることから、物事が食い違うことを表す言葉として「ぐれはま」が使われるようになり始めた。

　やがて、自分の予想した姿と全く違う成長ぶりを見せた子供のことを「ぐれる」というようになり、さらに肯定的な意味合いが薄れていって、現在のようなかたちになっていったのである。

　では、今回はこの辺で失礼をば。