よもやまメモ噺

実は穴門噺

　愛媛県を代表する柑橘類である「イヨカン」

　名前の由来は、愛媛で栽培を始めた明治時代、愛媛の古い呼び名であった「伊予」から「伊予みかん」と名付けられたことに始まり、その後「温州みかん」と混同されるという理由で、昭和5年に「イヨカン」と命名されたのだ。

　文字通り愛媛の果物といえる「イヨカン」だが、その発祥は愛媛ではなく、実は山口なのである。

 「日本柑橘図譜　下巻」によれば、明治19年に山口県阿武郡東分村で発見されたものが最初で、これは突然変異で偶然生まれたとのこと。

　山口で発見されたものなので、当然名前も山口に関わるものが付けられ、長門地方の古い呼び名にちなんで「穴門あなど蜜柑」と呼ばれていたという。

　このまま山口で育てられていれば「穴門蜜柑」の名が定着していたのであろうが、松山市に住む三好保徳氏が原木を購入して持ち帰ったことをきっかけに、愛媛で発展していくことになったのである。

　では、今回はこの辺で失礼をば。