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火事でも写生噺
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女性初の文化勲章受章者である画家の上村松園は、随分と肝の据わった人物だった。
明治37年、松園は京都の新古美術展覧会に「遊女亀遊」という作品を出品したのだが、ある日何者かの手によって鉛筆でいたずら書きをされてしまう。
それを発見した事務員が松園のところへ飛んできて「誰かがあなたの絵を汚してしまいました。みっともないから、朝のうちに会場へきて、そっと直してしまった方がいいと思います」と言ったところ、事故の責任を取らないうえに親切ぶった口ぶりにムッとした松園は「誰がそんなまねをしたんですか。ヤキモチをやくなら絵なんかの顔を汚すより、私の顔へ墨を塗るなり、傷をつければいいのに。そっと直してくれなんて虫のいいことは引き受けられません」と言って、構わないからそのまま展示してくれと申し出を突っぱねたとのこと。
また松園が60近くなった昭和6年ごろ、松園の家の近くから火が出て、松園の家も危なくなってきた。
だが松園は一切動じることなく、家の3階に上がるや、迫りくる火事を平然と写生していたという。
では、今回はこの辺で失礼をば。
明治37年、松園は京都の新古美術展覧会に「遊女亀遊」という作品を出品したのだが、ある日何者かの手によって鉛筆でいたずら書きをされてしまう。
それを発見した事務員が松園のところへ飛んできて「誰かがあなたの絵を汚してしまいました。みっともないから、朝のうちに会場へきて、そっと直してしまった方がいいと思います」と言ったところ、事故の責任を取らないうえに親切ぶった口ぶりにムッとした松園は「誰がそんなまねをしたんですか。ヤキモチをやくなら絵なんかの顔を汚すより、私の顔へ墨を塗るなり、傷をつければいいのに。そっと直してくれなんて虫のいいことは引き受けられません」と言って、構わないからそのまま展示してくれと申し出を突っぱねたとのこと。
また松園が60近くなった昭和6年ごろ、松園の家の近くから火が出て、松園の家も危なくなってきた。
だが松園は一切動じることなく、家の3階に上がるや、迫りくる火事を平然と写生していたという。
では、今回はこの辺で失礼をば。
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