よもやまメモ噺

銭穴噺

　和同開珎や寛永通宝といった古銭には、必ず真ん中に四角い穴が開いているが、これには製作上の理由があった。

　昔の銭は1度に何十枚とつながった形で鋳造され、出来上がった銭を1枚1枚切り離してヤスリで仕上げをするのだが、その際1枚1枚にヤスリをかけていたら膨大な時間がかかってしまう。

　そこで能率を上げるため、銭に穴を開け、そこに棒を通すことで、何十枚もの銭を一気にヤスリがけしてしまうことにしたのだ。

　この時、穴が丸いと銭が回転してしまってヤスリがかけられないので、回転しないように四角い穴にしているのである。

　一方、現在でも5円玉と50円玉に穴が開いているが、これは製造上の理由ではない。

　これらの硬貨に穴が開けられた理由は、「目の不自由な人が他の貨幣と区別しやすいようにするため」「偽造防止のため」「原材料を節約するため」といわれている。

　ちなみに、1円玉と5円玉と10円玉にはなく、50円玉と100円玉と500円玉にだけあるギザギザも、偽造防止と、触っただけで区別できるようにとつけられているそうだ。

　では、今回はこの辺で失礼いたします。