よもやまメモ噺

いんじんリュウキ

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黒船噺

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 ペリーが乗ってきた船といえば黒船。

 その名のとおり船体が黒色に塗られているのだが、なぜその色に塗られているのか。

 理由は単純で、この時代の帆船はまだ全てが木造で、船体の腐食を防止するために表面にタールを塗っていたので、船体が黒色に見えたのである。

 なのでペリーが乗っていた船に限らず、江戸時代全期間を通じて長崎に出入りしていたオランダ船の多くも船体は黒色に塗られており、土地の人々には慣れ親しんだ塗装であった。
 
 だが江戸周辺の人々は、そういった外国船を見る機会がなかったので、初めて見る黒い巨大船の姿に仰天し、”黒船”という言葉が一気に広まっていったのであろう。

 ちなみに、この時ペリーが乗ってきた船は「サスケハナ」という日本語っぽい名前だったのだが、当然ながら日本語とは全く関係ない。

 「サスケハナ」の正しい発音を日本語で書くと「ススクエハンナ」になるのだが、これはアメリカにある川の名前である。

 アメリカ海軍の軍艦の名前には、このように地名を付けるものが多かった。

 おそらく、誰かが船の名前を聞いた時、乗組員が「ススクエハンナ」と答えたものを、カタカナ語的に「サスケハナ」と聞き取ったことがそのまま伝えられていったのだろう。

 では、今回はこの辺で失礼いたします。
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