よもやまメモ噺

いんじんリュウキ

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斜塔噺

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 世界遺産として有名なピサの斜塔。

 その名のとおり斜めに傾いていますが、別に意図して斜めにしたわけではありません。

 この塔は大聖堂に付属するものとして1173年に建設が開始されました。

 順調に始まった建設工事でしたが、3層目までできたところで、問題が起こります。

 なんと、建設中の塔が傾き始めたのです。

 どうやら軟弱な地盤の上に建てたせいで、地盤沈下が起こって傾いてしまったようです。

 要は欠陥住宅です。

 当然ながら工事は中断されました。
 中止ではなくて、あくまで中断なのです。

 そして94年の中断期間を経て、工事は再開されました。
 
 建築家たちは知恵絞って傾きを修正する方法を考え、出した策が、上層階の重心を傾きとは反対側に少しずつずらしながら建てていくという強引な策でした。
 さらに計画では100メートル以上になるはずだった塔の高さも、55メートルに縮小するなどして、なんとか完成にこぎつけました。

 時は1372年、着工開始から199年後のことでした。

 完成までに200年近い年月がかかっていますが、これはまだマシな方です。

 もっと時間がかかっているのが、ドイツのケルン大聖堂。

 1248年に建設が開始され、632年後の1880年にようやく完成しました。

 日本史でいえば、鎌倉時代に建て始めて、明治時代になって完成したという感じです。

 その意味じゃ、サグラダ・ファミリアなんてかわいいものですね。

 では、今回はこの辺で失礼いたします。
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