よもやまメモ噺

いんじんリュウキ

文字の大きさ
上 下
2 / 965

カエル噺

しおりを挟む
「ゲロゲロ」と鳴くカエル。

 お世辞にも美しい声色こわいろだとは思えません。特にウシガエルなんかは……っと、誹謗中傷は良くないですね。

 それにしても、なんでカエルはみんなあんな低い声で鳴いているのだろうか。

 これにもちゃんと理由があって、生物ではありがちの、求愛関係です。

 カエルの産卵っていうのは、毎年同じ場所で、しかも集団で行われるそうなんです。

 日が暮れた後、どこからともなくわらわらと雄のカエルが集まってきて、「ゲロゲロ」と鳴いて雌を誘い出します。

 そして誘いに乗って雌がやって来たら、我先にと、1匹の雌を巡って数匹の雄が争いを始めるんです。

 運よく雌の背中に乗れたとしても、他の雄に引きずり降ろされることだってあります。

 こういう時に有利なのは、体のデカい雄。
 
 相手を引きずり降ろすにしても、背中にしがみつくにしても、パワーが肝ですから。

 体の小さい雄が、デカい雄に喧嘩を挑んでもまず勝ち目はありません。

 だから戦う前に相手の大きさを確認しておきたいんですが、夜なんでよくわからないんです。

 じゃあ何で判断するかといったら、声の低さなんです。

 人間もそうかもしれないですけど、体の大きい方が声が低い傾向があるんです。

 だから、相手の方が自分より声が低いなぁっと思ったら、勝負は避けます。

 なので、体の小さいカエルも必死になって低い声で鳴こうするんです。まぁ、虚勢きょせいというか、ドスを効かせて、なんとか相手をビビらせようとしてるって感じなんですかね。

 そしてこういうことが長い間繰り返されていった結果、カエルの鳴き声は低くなっていったそうなんです。

 では、今回はこの辺で失礼いたします。
しおりを挟む

処理中です...