よもやまメモ噺

いんじんリュウキ

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ウグイス噺

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 梅の咲く頃に「ホーホケキョ」と鳴くウグイス。

 なんで夏になったら鳴かなくなるのか。

 これにはちゃんと理由があるんです。

 鳥の鳴き声には、日常的に鳴く”地鳴き”と、繁殖期にしか鳴かない”さえずり”の2種類があるんですが、「ホーホケキョ」はさえずりに該当するんです。
 なので繁殖期を過ぎるとパタッと聞こえなくなるんです。

 このさえずり、人間の訛や方言と同じく、地方によってわずかに違いがあるそうです。

 この鳴き声の違い、わかる人にはわかるみたいですね。

 この”わかる人”によって誕生したのが、東京の鶯谷うぐいすだに

 時は花の元禄江戸時代。寛永寺の住職であった公弁法親王こうべんほっしんのうが、「江戸のウグイスは訛っている」と言って、京都からわざわざウグイスを取り寄せてこの地域に放し、それによってウグイスの名所となったことが地名の由来とされています。

 そしてこの鳴き声、なんと教えることもしてたみたいです。

 昭和の頃、鳴き声が録音されたレコードが売られていました。
 
 このレコード、美しい鳴き声を聴くためではなく、その鳴き声を飼っているウグイスに覚えさせるために作られたそうです。
 いわばウグイス用のカルチャーレコード。
 いつの時代にも、”わかる人”はいるみたいですね。

 ちなみに、今は法律によって野鳥の捕獲と飼育が禁止されています。

 では、今回はこの辺で失礼いたします。
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