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第1章 出会い
34. おやすみ
しおりを挟む「いや、それは……」
俺が一緒に寝たいと言うとリベルトは明らかに困っていた。
リベルトも疲れてるだろうし、やっぱり一人でゆっくり寝たいよな。
「ごめん、気にしないで」
俺がそうして1人でベッドに向かおうとすると、リベルトが手を掴んできた。
「待ってくれ、ハルカの希望なら私もここで寝よう」
「いいの?」
「ああ、決して手を出さないと誓う」
よかった。1人で寝たいわけではなかったみたいだ。
でも、手を出さないって、普通恋人同士が一緒に寝るってことは、そういうえっちなこととかするものじゃないのか?
「手は出してもいいよ?」
「…っ、ハルカはまだ本調子じゃないだろう、そういうことは回復してからにしよう」
俺はリベルトが思っている以上に元気なんだけどな。でも、リベルトが本当に俺を心配してくれてることが伝わってきて胸が温かくなかった。
そうして、リベルトと並んでベッドに向かい合って横になった。
俺がリベルトを見つめると、リベルトはいつものように優しく頭を撫でてくれた。
それが心地よくて、すぐに眠気が襲って来た。
「リベルトが居る……」
「ああ、ここに居る」
よく分からないことを言っている自覚はあったけど、リベルトが触れてくれて、優しいワインレッドの瞳で見つめてくれることが嬉しかった。
頭を撫でてくれたリベルトの手のひらを掴んで、自分の頬に添えた。
「硬くて心地よくないだろう」
「そんなことない、いつも剣を握って色んな人を助けてるあったかい手だよ」
手からはリベルトの日々の努力が分かった。
そんなリベルトの手に俺は何度も助けられた。
大好きな人の、大好きな手だ。
そう思うと、想いが込み上げてきて思わずそんなリベルトの手のひらにキスをした。
「おやすみ、リベルト」
「……ああ、いい夢が見れるといいな」
キスをしたらちょっと驚いた顔をしていたのが面白かったなと思いつつ、俺はすぐに夢の世界に入っていた。
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