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第1章 出会い
33. 両想い
しおりを挟む「許すも何も、リベルトは謝ることなんてしてないよ。」
「…ハルカは強いんだな」
「そうだとしたら、リベルトのおかげだよ」
俺は弱かった。この世界に転移する前、大学のサークルで悪ふざけをされた時も涙目で震えることしか出来なかった。
でも、この世界でリベルトに出会って、初めて好意を向けられて、いつの間にか自分も好きになっていた。好きな人、大事な人が居るだけで、どんなに辛くてもその人の存在が在るだけで耐えられることを知った。
逆に、リベルトともう会えないかもしれないと考えるだけで苦しくなった。
「俺、もうリベルトが居ないと生きていけないと思う」
「ハルカ…」
リベルトのワインレッドの瞳が少し潤んで、深い熱を持ってこちらを見つめていた。
真剣な眼差しに、ドキドキして、つい目を逸らしそうになるのを我慢して、自分からリベルトに近づいて、頬に両手を添えた。
「リベルト、ちょっと屈んで」
「…?ああ」
リベルトが屈んでくれた瞬間、俺は背伸びをして、思い切ってリベルトの唇にキスをした。
「…っ!!ハルカ…!?」
「その…俺からはしたことなかったから」
自分からキスをするのってこんなに恥ずかしかったのか。慣れるまでまだ時間がかかりそうだな。
「私からもしていいか?」
「うん、もちろん」
すると、リベルトからも軽くキスをしてくれた。
てっきり、攫われる前にしたみたいなもっとえっちなやつをされるかと思っていたから、ちょっと拍子抜けした。
「舌は入れないの?」
「……っ、ハルカ、あまり煽らないでくれ…今は休んで欲しいんだ」
「…?分かった」
帰ってきたばかりだからゆっくりしてていいってことかな。でも特に疲れは残ってないし今起きたばかりだから全然元気だ。
「そういえば、俺は何日寝てた?」
「…二日だ」
「二日!?」
二日も寝てたなんて、流石に寝すぎだ。
だから俺が起きてるのを見た時、リベルトはあんなにびっくりしてたのか。
でもそれなら尚更心配するようなことなんてないけどな。
せっかく両想いになれたんだから、世の中の恋人がしているようなことをしてみたい。
「それだけ、疲れていたんだろう。私はもう部屋を出るから、ゆっくり休んでくれ」
俺がこれからのことを想像しているうちに、リベルトは部屋を出て行こうとしていた。
「リベルト、待って」
一緒に寝たいって言ったら迷惑かな。
寝過ぎてもう寝れそうにないけど、世の中のカップルは同じベッドで寝ているらしいし、リベルトと一緒なら寝れる気がする。
「その、一緒に寝てほしい…」
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