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第1章 出会い
27. 夢か幻覚か現実か※
しおりを挟む「あ…ぁッ、はぁ……」
「指、すんなり入ったね。本当に初めてなの?」
おしりの中に指を入れられて、気持ち悪いはずなのに、身体はビクビクと反応してしまう。
「ぅ…く、ッ…んぅ…ぁ」
どうしても気持ちいい。こんなの嫌なはずなのに、頭では分かっていても身体が言うことを聞いてくれない。
「そろそろいいかな~」
ずっと俺の身体に押し付けられていた男の立ち上がったモノを、ついにおしりにある蕾に擦り付けてきた。
このまま挿入されて、中に精子を出されたら妊娠しちゃうのかな。初めては好きな人としたかった。リベルトとはまだキスしかしてないのに、こんなところでキールとかいう知らない男に初めてを奪われるのか。
自分があまりにも惨めで、それまで何故か出てこなかった涙が突然溢れてきた。
「…ひっ、く…ぅ、」
「あれ、泣いちゃった?大丈夫だよ~薬で痛くないから」
一体何が大丈夫なんだ。
この短期間で何度も理不尽な目にあった。
でも、今回はこれまでみたいに運良く助からないんだ。もう、取り返しがつかない。
リベルトのあたたかい手のひらの感触、柔らかな低くて落ち着く声を頑張って思い出す。
頭の中だけでも、快楽に負けたくない。
「……っ、ぅ…リベルト……」
「だから~呼んでも助けは来ないよー」
そんなの分かってる。
分かってても、心のどこかでは、きっとリベルトは助けてくれるって思ってしまう。
もうキールは今にもおしりの蕾に押し付けているものを押し入れてきそうだ。
「………っ…!」
嫌だ。やめて。そう叫びたいのにもうそんな体力は残ってなかった。
「入れるよ」
そして、キールがグッと力を入れた瞬間だった。
バァァンと大きな音を立てて、部屋の壁が崩れた。
涙で滲んだ視界では、よく見えなかったけど、そんなの関係なかった。
「ハルカ!!!」
リベルトの声だ。リベルトが俺を呼んでる。
俺は、リベルトが助けに来てくれた夢でも見てるのかな。
瓦礫の影から姿を現したのは、紛れもなく、騎士団の制服に身を包んだ、ずっと会いたかった人だった。
「……っ、…リベルト…!」
リベルト、俺はここにいるよ。もう夢でも幻覚でもいい。やっと、リベルトに会えたんだ。
「ハルカ…!!よかった無事…」
リベルトはそこまで言いかけたが、俺と目が合った瞬間、表情が消えた。
「……お前は、ハルカに何をしてる」
俺の存在を確認した後、俺に覆いかぶさって今にも自らのものを挿入しようとしていたキールにリベルトはすぐに気づいたようだった。
聞いたことのないほど低く、怒気を含んだ声音だった。
「うーわ、何でここが分かんの?せっかくいいとこだったのにお前のせいで全部…」
そして、キールが喋り終わる前に、瞬時にその背後に移動したリベルトは、キールの顔面を横から蹴飛ばした。
「……グッっっはっっ…!!!!」
その力は凄まじく、キールは身体ごと飛ばされて、近くの壁に叩きつけられた。
そして、男が気絶していることを確認すると、すぐにリベルトは俺の傍に来て、自分が着ていたジャケットを俺にかけてくれた。
そしてそのジャケットごと、抱きしめてくれた。
「っ、ハルカ……すまない…私は、騎士失格だ。ハルカを守れなかった。本当にすまない」
あったかい。
森で助けてくれた時もこうやってしてくれたな。もう懐かしく感じる。
でも、これは夢か幻覚で、現実はまだあの冷たい部屋でキールと二人きりなんだろう。
こんなのあまりにも都合が良すぎる。
「……これが現実だったらいいのに」
「……っ!?ハルカ、私が分からないのか?」
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