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第1章 出会い
22. はやる気持ち
しおりを挟む「…っ、すまない、自分がこんなに欲を抑えられない人間だったとは思わなかった。頭を冷やしてくる」
初めてしたキスの余韻に浸る間もなく、そう言ってリベルトは部屋から逃げるように去ってしまった。
そして、部屋に1人取り残された俺は、呆然と立ち尽くしていた。
「キス、気持ちよかったな…」
ポツリと呟いた言葉が広い部屋に響いた。
思わず唇を指でなぞると、先程までの濃厚なキスの記憶が頭に呼び起こされる。
リベルトの熱のこもった深いワインレッドの瞳が忘れられない。普段穏やかで平常心を崩さないリベルトが、あんなに興奮するところは初めて見た。
リベルトは本当に俺のことを恋愛的な意味で好きだったんだと改めて思い知らされた。
キスは唇と唇を合わせるだけじゃなくて、あんなに舌を絡めるものだったなんて知らなかった。口の中で舌と舌が擦れる感覚を思い出すと、何だか身体が熱くなる。
あの息苦しさと快感で頭をかき混ぜられる感覚をもう一度体験したい。でも、そのキスの相手はリベルトじゃないと嫌だ。
キスをしてみたら、自分が本当にリベルトのことを好きかどうか分かると思っていた。でも、今思えば、キスをして試してみようと思った時点で自分の中でもう答えは出ていたんだ。
俺は、リベルトのことが好きなんだ。
リベルトに、早くこの気持ちを伝えないと。
頭を冷やしてくるって言っていたけど、どこに行ってしまったんだろう。
はやる気持ちが抑えられない俺は、とりあえずリベルトの部屋に行ってみることにした。
自分の部屋を出て、2つ隣にあるリベルトの部屋の前まで来て、ノックをした。
「リベルト?」
何度かノックをしても、声をかけても反応はなかった。
自分の部屋に帰ったわけじゃなかったのかな。
そう思って諦めて引き返そうとした時、リベルトの部屋の中からガタっと物音が聞こえた。
「リベルト、今すぐ話したいことがあるんだ。もし居るなら…」
そこまで言いかけたところで、急に部屋の扉が開いた。
すると、リベルトが出てきたと思って笑顔で顔を上げた瞬間、突然口に布のようなものを押し当てられて、部屋に引きずり込まれた。
「…っ!?」
この手はリベルトじゃない。そう思って抵抗した時には、何者かによって完全に部屋に引きずり込まれ、扉は閉められていた。
抵抗する中、黒ずくめの男が目に入った瞬間、俺の意識はふっと落ちた。
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