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第1章 出会い
13.意識
しおりを挟む「男同士で結婚したら、子供はどうやって作るんですか?」
それまでの質問同様に好奇心のままに尋ねた。
すると、リベルトの表情が硬直した。
「ハルカは、子供の作り方を知らないのか?」
やっぱり同性同士では特殊な子供の作り方があるってことなのかな。
「知りません」
素直に知らないと答えると、リベルトは片手で頭を押さえて俯いてしまった。
そんなに変なことを聞いたかな。
「……ハルカも成人しているし、知っておいた方がいいだろう」
そうしてリベルトは意を決したように、子供が出来る仕組みについて説明し始めた。
「まず愛し合った二人が、服を脱いで…」
俺はそれを最初は頷きながら聞いていたが、その内容が、具体的な単語は伏せられているものの、段々何のことを言っているのかが分かってきた。
「そして生殖器を挿入して」
これってもしかして、あれのやり方なんじゃ…
「ちょ、ちょっと待ってください」
男同士の子供の作り方を聞いたつもりなのに、これじゃまるで、性行為のやり方みたいだ。
「すみません、やっぱり多分知ってたので大丈夫です」
真剣に説明してくれたのに申し訳ないけど、何で性行為の話になったんだろう。もしかして、男同士の子供の作り方も男女と同じなのか?
そうだとしたら、俺は子供にされたら困る質問ランキング1位であろう"子供はどうやって出来るの?”というやつをやってしまったかもしれない。
リベルトを困らせてしまったことと、そんなことを堂々と聞いてしまったことが恥ずかしくて顔が熱くなった。
「そうか、分かった。もうこの話はやめよう」
俺が赤くなっているだろう顔を隠すように俯くと、リベルトは話を切り上げて、少し前には既に空になっていた皿を持って席を立った。
「リベルト?」
「おやすみハルカ、ゆっくり休んで」
説明を遮ってしまったのが失礼だったかなと思ったけど、リベルトがいつものように優しく微笑んでくれてホッとした。
ただ用事があっただけかもしれないし、リベルトだって忙しいんだからずっと俺の部屋に居る訳にはいかないよな。
リベルトが部屋を出て行ったあと、ベッドで仰向けに寝転がって一息つくと、先程のリベルトとの会話が頭に浮かんできた。
この世界では、男同士で恋愛するのも、結婚するのも普通らしい。それに子供も、普通にあれをすれば出来るらしい。
「どうしよう…」
俺が今まで全く恋愛経験がなかったのは、恋愛に憧れるあまり、女子を意識しすぎてしまったからだ。そしてそれは、女の子と恋愛をするのが普通だと思っていたからだ。
俺は今、心臓がバクバクしていた。
俺はリベルトのことを恋愛対象として、全く意識したことがなかった。
でも、この世界の常識を知ってから、リベルトに頭を撫でながら慰めてもらったことや、抱きしめられたことを思い出すと、顔が熱くなって、あまりの恥ずかしさにバタバタと悶えた。
リベルトは、俺のことを子供のように思っているから甘やかしてくれてるのは分かっているし、俺も父親のような安心感を感じていたけど、恋愛対象として見てみれば、リベルトは彫りの深い顔立ちに透き通るような金髪が美しく、男らしい包容力と優しさを持っている。そんな男から見ても憧れるような人と近距離で触れ合っていたなんて。
次にリベルトに会ったら意識しないように頑張って平常心を装わなければ。
しかし、この日以来、リベルトが俺の部屋に来て一緒に食べることはなくなってしまった。
それからの毎日は、シモンさんに魔法を教わりながら、たまにロタくんや他の団員さんと話している内に、少しづつこの騎士団での生活にも慣れてきた。
リベルトは忙しいのに最初は俺が慣れてないから気遣ってくれただけで、これからも毎日一緒に食べれるとはもちろん思ってなかった。
それでも、日中は仕事で出かけているリベルトとは、なかなか会えなくて、朝出勤前と帰宅時の挨拶くらいしか顔を見れる機会すらなかった。その時も、リベルト笑顔を向けてくれるものの、すぐに目を逸らされてしまう。
「シモンさん、俺はリベルトに嫌われてしまったんですかね」
魔法の練習中にも、ずっとリベルトのことが気がかりで頭から離れず、集中出来なかった。
一度言葉に出すと、身体の奥から何かが込み上げて来て、それが喉のところでつっかえて苦しくて、目頭が熱くなった。
急に遠い存在になってしまったような気がして寂しいからってこんなふうに泣くなんて情けないにも程がある。こんなんじゃ子供って言われても仕方ない。
「ハルカ様、そんなことはありませんよ」
シモンさんも優しいからこうやって励ましてくれて、こんな幼稚な自分をフォローさせてしまったことが申し訳なくて、ますます心が苦しくなった。
「ハルカ様を泣かせた悪い団長は、私が責任を持って指導いたしますので、任せてください」
そう言ってすぐにリベルトのところに向かったシモンさんを止めたかったけど、シモンさんの足は相変わらず早すぎて、俺が何か言うより前に姿が見えなくなってしまった。
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