初心なイケメンくんの初体験は異世界の騎士団長と 《もだもだラブコメBL》

らくタ

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第1章 出会い

8.到着

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それから休憩を終え、すぐに城下町に向かった。休憩していた地点から城下町はそこまで距離はなく、また少し馬に揺られていたらあっという間に街が見えてきた。

城下町の門をくぐると、街の人たちが建物からどんどん出てきて、あっという間に道の両側にギャラリーが出来ていた。
街の人たちはみんな笑顔でこちらに手を振っていて、騎士団一行の帰還を喜んでいるようだった。
そんな中、団長であるリベルトの前に乗っている俺に気づいた一部の人たちは、何やらひそひそと俺を見ながら話していた。
こんなに沢山の人に視線を向けられることのない俺は、顔が見えないくらいフードを深く被っていても緊張で心拍数が急上昇していた。
謎のフードを被った男が団長と一緒に馬に乗っていたら、気にならないわけがないよな。
観衆からは、「リベルト様~!こっち向いて~!」というような女性たちの黄色い歓声が目立っていたが、若い男達が仲間内でリベルトの話をして盛り上がっている声も聞こえてきた。
リベルトが男女問わず人気なのは納得だった。俺だってまだ出会ったばかりなのに、すっかり気を許してしまっている。こうやって緊張してしまっても、背中からリベルトの存在を感じると、不思議と心が穏やかになった。リベルトの包容力は本当にすごい。

賑やかな街道を抜けると、城下町の中心に堂々と聳え立つ大きな城が見えてきた。

「すごい…」

生まれて一度も海外旅行をしたことがなかったから、こんなに立派な城は初めて見た。

「もうすぐ着くからな」

この街の人にとっては珍しくもないものに感動している俺をリベルトは特に気にせずに、この城の敷地内に騎士団があるんだと教えてくれた。

それから数分ほどで、普段リベルトたちが暮らしているらしい騎士団の寮に到着すると、リベルトはすぐに俺の部屋だというところに案内してくれた。

そこは2階の奥から2番目の部屋で、扉を開けるとすぐに大人二人は余裕で寝れるくらい大きなベッドが目に入った。さらに、丁寧な装飾が施されたソファやテーブルまであって、まるでヨーロッパの貴族が住んでいるような部屋だった。

「あの、俺は居候の身なので、こんな部屋は…」

「気に入らなかったか?すまない、今はここしか空きがないんだ。」

「気に入らないなんてとんでもないです。素敵な部屋だと思います」

「良かった。それならぜひここを使ってくれ」

俺には不相応な気がするけど、ありがたくここを使わせてもらうことにした。

それからリベルトは迷うといけないから、部屋からは出ないようにと言い残して、遠征の調査報告をしに行ってしまった。
そして、広い部屋に1人きりになった俺は、大きなベッドに腰をかけて、見た目通り柔らかい感触を確かめてから、横に身体を倒した。

それからすぐに、俺は眠ってしまったようだったけど、今度は悪い夢は見なかった。

次に目を開くと、綺麗な金髪が見えた。いつの間にか戻ってきていたリベルトが、ベッドの横にある椅子に腰掛けて、蕩けるようなワインレッドの瞳をこちらに向けていた。

「疲れているだろう。食事を持ってくるから、ここでゆっくり食べよう。」

いつの間にか日が落ちていたようで、
俺が起き上がると、リベルトはすぐに腰を上げて夜ご飯を取りに行ってくれた。

もしかして俺が起きるまで待っていてくれたのかなと思うと、申し訳ない。
でも、起きてすぐにリベルトの顔が見れて、夢じゃないんだって安心できた気がする。
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