騎士団長の秘密

さねうずる

文字の大きさ
上 下
10 / 41

交際15日目 突然の訪問ですね

しおりを挟む

あれから3日間、シーナからはなんの音沙汰もない。

いつもなら会った日に次の約束を決めていたが、この間はそれもなく解散してしまったためどうすればいいのかポーラールにも分からない。

(というか、俺から行動するのは変じゃないか?)

ポーラールは一応、シーナから告白されて1ヶ月お試しでしぶしぶ付き合ってあげている。というスタンスを取っている。

まぁ、金に目が眩んで告白を了承したことは知られてしまったが……。

(俺から『次も会えますよね?』なんて言うの可笑しいだろ。

だってそれだと、俺の方がむしろシーナ団長のこと好きみたいじゃないか?

……いや!いやいや、違う。断じて違う!!
俺は可愛い子ちゃんが好きなのだ。

あんなデカくて、ゴツくて、無愛想な男は俺の好みとは正反対だ。

まぁ、顔は悪くないが。

料理もまぁ……悪くない。
あんな剣ダコだらけのデカい手で、どうやってあの繊細な味と盛り付けをしているのか不思議だ。)


好きじゃない理由を挙げ連ねたいのに、余計な考えが横やりをいれてくる。

物置のような副団長用のこじんまりした執務室で独り、「あーー」と頭を掻きむしった。

コン、コン、コン

その時である。
執務室のドアを叩く音が聞こえ、次に続いた「シーナだ。」という言葉に驚いて、思わず立ち上がった。

「えっ?あっ、どうぞ」

まさか執務室に訪ねにくるとは。
動揺する気持ちを必死に落ち着けて、ドアを開けた。

「入ってもいいだろうか。」

「もっ、もちろんっすよ。
汚いっすけど。」

どうぞどうぞと客人用とは名ばかりのちゃちな椅子を勧め、自身もいつも使っている古ぼけた椅子に腰を下ろす。

「突然すまない。」「この間はすみません。」

二人で同時に話し出してしまい、ポーラールは「先にどうぞ。」とシーナへ話を譲った。

「前触れもなく訪ねてしまい、申し訳ない。」

「あっ、いえ、なんかご用っすかね?」

「ポーラール殿はいつもお昼は食堂だろう。
弁当を作ってきたのだが、よければ食べてもらえないだろうか?」

そう言ってシーナは、鞄から布で丁寧に包んだ弁当箱をいそいそと出した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

美形×平凡の子供の話

めちゅう
BL
 美形公爵アーノルドとその妻で平凡顔のエーリンの間に生まれた双子はエリック、エラと名付けられた。エリックはアーノルドに似た美形、エラはエーリンに似た平凡顔。平凡なエラに幸せはあるのか? ────────────────── お読みくださりありがとうございます。 お楽しみいただけましたら幸いです。

屈強な男が借金のカタに後宮に入れられたら

信号六
BL
後宮のどの美女にも美少年にも手を出さなかった美青年王アズと、その対策にダメ元で連れてこられた屈強男性妃イルドルの短いお話です。屈強男性受け!以前Twitterで載せた作品の短編小説版です。 (ムーンライトノベルズ、pixivにも載せています)

モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中

risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。 任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。 快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。 アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——? 24000字程度の短編です。 ※BL(ボーイズラブ)作品です。 この作品は小説家になろうさんでも公開します。

【完結】第三王子は、自由に踊りたい。〜豹の獣人と、第一王子に言い寄られてますが、僕は一体どうすればいいでしょうか?〜

N2O
BL
気弱で不憫属性の第三王子が、二人の男から寵愛を受けるはなし。 表紙絵 ⇨元素 様 X(@10loveeeyy) ※独自設定、ご都合主義です。 ※ハーレム要素を予定しています。

屈強冒険者のおっさんが自分に執着する美形名門貴族との結婚を反対してもらうために直訴する話

信号六
BL
屈強な冒険者が一夜の遊びのつもりでひっかけた美形青年に執着され追い回されます。どうしても逃げ切りたい屈強冒険者が助けを求めたのは……? 美形名門貴族青年×屈強男性受け。 以前Twitterで呟いた話の短編小説版です。 (ムーンライトノベルズ、pixivにも載せています)

【完結】健康な身体に成り代わったので異世界を満喫します。

白(しろ)
BL
神様曰く、これはお節介らしい。 僕の身体は運が悪くとても脆く出来ていた。心臓の部分が。だからそろそろダメかもな、なんて思っていたある日の夢で僕は健康な身体を手に入れていた。 けれどそれは僕の身体じゃなくて、まるで天使のように綺麗な顔をした人の身体だった。 どうせ夢だ、すぐに覚めると思っていたのに夢は覚めない。それどころか感じる全てがリアルで、もしかしてこれは現実なのかもしれないと有り得ない考えに及んだとき、頭に鈴の音が響いた。 「お節介を焼くことにした。なに心配することはない。ただ、成り代わるだけさ。お前が欲しくて堪らなかった身体に」 神様らしき人の差配で、僕は僕じゃない人物として生きることになった。 これは健康な身体を手に入れた僕が、好きなように生きていくお話。 本編は三人称です。 R−18に該当するページには※を付けます。 毎日20時更新 登場人物 ラファエル・ローデン 金髪青眼の美青年。無邪気であどけなくもあるが無鉄砲で好奇心旺盛。 ある日人が変わったように活発になったことで親しい人たちを戸惑わせた。今では受け入れられている。 首筋で脈を取るのがクセ。 アルフレッド 茶髪に赤目の迫力ある男前苦労人。ラファエルの友人であり相棒。 剣の腕が立ち騎士団への入団を強く望まれていたが縛り付けられるのを嫌う性格な為断った。 神様 ガラが悪い大男。  

小学生のゲーム攻略相談にのっていたつもりだったのに、小学生じゃなく異世界の王子さま(イケメン)でした(涙)

九重
BL
大学院修了の年になったが就職できない今どきの学生 坂上 由(ゆう) 男 24歳。 半引きこもり状態となりネットに逃げた彼が見つけたのは【よろず相談サイト】という相談サイトだった。 そこで出会ったアディという小学生? の相談に乗っている間に、由はとんでもない状態に引きずり込まれていく。 これは、知らない間に異世界の国家育成にかかわり、あげく異世界に召喚され、そこで様々な国家の問題に突っ込みたくない足を突っ込み、思いもよらぬ『好意』を得てしまった男の奮闘記である。 注:主人公は女の子が大好きです。それが苦手な方はバックしてください。 *ずいぶん前に、他サイトで公開していた作品の再掲載です。(当時のタイトル「よろず相談サイト」)

番だと言われて囲われました。

BL
戦時中のある日、特攻隊として選ばれた私は友人と別れて仲間と共に敵陣へ飛び込んだ。 死を覚悟したその時、光に包み込まれ機体ごと何かに引き寄せられて、異世界に。 そこは魔力持ちも世界であり、私を番いと呼ぶ物に囲われた。

処理中です...