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交際5日目 俺の恋人なんですが
しおりを挟む(なんだこれは……)
この日は、少しお高めだが普通のレストランだった。
だが、こじゃれた個室に通されると、なぜかポーラールの彼女のうちの1人、フィオナがいた。
「あっ、アルクー」
「フィオナさん、なんでいるんすか?」
フィオナは今一番気に入ってる女だ。
胸もでかいし、とにかくエロい。
体の関係だと割りきっていて束縛もしない。
軽い付き合いを楽しむにはもってこいの女である。
「んー、シーナ様に誘われてぇ。
この店って予約半年待ちの超人気店なんだよぉ。
フィオナすっごいうれしー!!」
フィオナはそんなことを言いながら、目はうっとりとシーナを見つめている。
「シーナさまぁ、誘っていただいてありがとうございますぅ!今度なにかお礼させてくださぁい!」
きゃぴきゃぴとフィオナお得意の上目遣いでしなをつくる。シーナを狙っていることを隠す素振りもない。
「いや、結構だ。
俺のことは気にしなくていい。」
クールにそう言うと、シーナは長方形の机のいわゆるお誕生日席に着いた。
絶妙に遠くて、会話するには適さない。
ポーラールとフィオナは店のボーイが椅子を引いてくれたため、それぞれ向かい合って座った。
さて、珍妙な食事会の始まりだ。
「アルク、仕事は最近どうなの?」
「あぁ、相変わらずっすね。
リオーネ団長はまたリケノの槍買ってご機嫌だから、やっかい事が少なくて助かりますよ。」
リケノは武器を仕立てる職人だ。
腕がいいのでリケノの工房で作られた武器は超高級品なのだが、リオーネ団長は一年に一度ボーナスを貰う度になぜか槍を買っている。
剣しか使えないのに謎だ。
それに普段からふらふらしている団長より自分の方が仕事しているというのに、団長がリケノの槍を買えるほどボーナスをもらっていることにもイラッとしてしまう。
ポーラールの給料ではリケノの武器など手が届かない。
まぁ、リオーネは貰った金はすぐ使う人だから、あんなに給料をもらってるくせに普段は超貧乏なのだが……。
ポーラールも次期団長との呼び声高いが、なんせ団長職は席が空かない。
現在の団長達がなんらかの事情で職を辞さない限りは、ポーラールにお鉢は回ってこないのである。
「シーナ様は何かご趣味はおありですかぁ?」
ポーラールの話を聞いてクスクス笑っていたフィオナだが、今度はシーナに声をかけた。
お前は勇者か。
「……料理」
へー意外。
シーナが料理するところなんて想像がつかない。
「まぁっ!素敵っ。
私、料理のできる男性って好きなんですよねっ」
あからさまにシーナにアピールするフィオナを見て、お前は一応俺の彼女だろ。と思わないでもない。
が、所詮は体だけの関係なので、そこまで心揺さぶられることでもない。イラっとしてしまうのは男の矜持故だろう。
だが、改めてなんとも奇妙な光景だと思う。
ポーラールのことが好きなシーナを、ポーラールの彼女であるフィオナが狙っている。
その後もフィオナとポーラールが話し、たまにシーナに話を振って、シーナがポツポツ答える。という形で会話は進んでいった。
今回はシーナも話すには話したが、とても好きな相手と食事をしているとは思えない淡々とした態度だった。シーナのほうからポーラールに声をかけてくることもないし。
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