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37 嫌な予感

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「アジフライくださーい。」

あれから週ニぐらいのペースでアジフライ定食を買いに現れる恵。
今日は遅くて食堂が閉まるギリギリの時間で滑り込んできたので、他のお客さんはほとんどいない。


アジを油に入れて揚がるのを待っていると、なんだか胃がムカムカしてくる。
最近、油の匂いで胸焼けすることが多い。
この仕事を始めたてのころも同じようなことがあったけど、ぶり返すことってあるのかな?

歳のせい・・・・とか?
僕26歳なのに、内臓年齢高いのかな?
一人、体年齢のことを気にしてお腹を摩っていると、待っている間暇なのか、恵が話しかけてくる。


「秋ってつまんないよね」

「そうかな?僕は好きだけど。」

「あー、蘭丸には似合ってるかもね。蘭丸ってちょっと、所帯染みてるっていうか、、、おじいさん?みたいなところあるから。」


所帯染みてて悪かったな。
三角巾をつけて揚げ物をしているため、なんか言い返すこともできずに黙していた。


「僕は夏が好きだなぁ。みんなでワイワイするの好きだし。
今年なんてBBQ4回もしちゃったよ。」


・・・・・・・・。
僕の前でBBQの話題を出すとは。
いや、もういいんだけど。別に。

でも、そう言えば、恵からは一度も謝られてない。
僕が勇士くんに泣き縋ってるとこ見てたはずなのに、一つも悪いと思ってないってことだ。

昔から恵は天真爛漫でちょっと無神経なところがあったけど、社会人になった今も変わっていない。


これ以上会話が広がらないよう、アジフライ定食を渡すと、「それじゃ」と言って、僕はそそくさと洗い物に移った。



■■■■■■


今日は恵にちょっとHP削られたな。
夕飯は何にしようか。ちょっと手抜きにしちゃおうかな。

仕事終わり、そんなことを考えながら近所のスーパーのお肉コーナーを練り歩く。

生姜焼きとか楽でいいな。

と、想像した途端、想像上の生姜焼きの匂いでウッとなった。

鮮魚コーナーも惣菜コーナーも臭いが気持ち悪くて、結局パンだけ買って急いで帰る。
家に帰って一ノ瀬さんの匂いが充満した部屋で思いっきり息を吸うと、やっと落ち着いてきた。


なんなんだ・・・・?


嫌な予感に、「いやいや、まさかね。」と自分で返事をしてみるが、不安は消えない。

その日は心配してくれる一ノ瀬さんに「風邪引いたみたい」と誤魔化して、早々に床についた。
ご飯を食べる気分じゃなかったし、食べれるとも思えなかった。









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