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7 アジフライの人、告白してくる

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「・・・・あの、今なんて?」

夜、一ノ瀬さんとちょっと小洒落た居酒屋で合流し、先程乾杯したばかり。
さて世間話でも、という間合いで突然ブッ込まれた衝撃の言葉。
耳の後ろに手を当てて、もう一度よく聞いてみる。

「だから付き合ってほしいんだ。」

NA N DE ⁇

唐突すぎて全く意図が読めない。
僕が返事もせずに、ポカンとまぬけな顔を晒していると一ノ瀬さんは漸く言葉を続けた。

「聞いたんだが、沖くんの歴代の彼氏はみんな運命の番と出会ったんだろ?」

「まぁ、、、はい。」

誰だよ!喋ったの!!食堂のおばちゃんたちか!?
正直触れられたくない話題だ。
歴代の彼氏たちが運命の番と出会った瞬間が走馬灯のように思い出される。

一人目は友達主催のBBQ。相手は僕の短大の友達でした。
いきなり熱烈なキスをし始めたからみんな茫然としてたな。

二人目はデート中。迷子の子を見かけて一緒にお母さんを探していたら、そのお母さんと一緒にいたお友達の人が運命の番でした。
まさかすぎてちょっと笑ったくらい。

三人目はなんだっけ?
あぁ、ラーメン食べにいって隣に座った人だったな。

四人目は例の配達員くん。

みんな、僕のことなんか忘れて抱き締めあったり、キスしたり、、、目の前でおっ始めたのはさすがに飛鳥くんが初めてだったけど。

こう考えるとみんな僕と一緒にいるときに運命の相手と出会ってる。
しかも総じて華奢で可愛い人ばかり。
僕への当てつけだろうか。ってぐらい、僕と真逆の容姿だった。
僕は体はデカいし、目は鋭いし、生まれつきの色黒だ。
鍛えてないのになぜかうっすら腹筋も割れてる。


「、、、沖くん大丈夫か?」
「えっ、あっ、はい。」

ヤバい。思考がトリップしてた。

「俺、叔父さん夫婦が運命の番なんだけど凄い仲良くて、子供の頃から憧れだったんだよ。うちの父親と母親は仲悪くて俺が中学上がるころには離婚しちゃったから、、、だから余計に叔父さん夫婦みたいな家庭築けたらなぁって思ってて。」

・・・・あぁ、何となく言わんしとしてることが読めた。
あーーー、まじか。
なんか僕、今凄いショックだ。

そんな僕の状態など露知らず、一ノ瀬さんは嬉々として続けた。

「だからさ俺、運命の番に会いたいんだよね。」

やっぱり・・・・。
あー、まじかー。
流石に好きな人から言われると、、、キツい。
かなりダメージあるな。笑

「・・・・そうなんですね。」

眼にしっかり力を入れて、涙腺を閉じる。
うっかり潤んできてしまってるが、口元は笑ってるのでバレないだろう。

「沖くん、今付き合ってる人いないって言ってただろ?だからさ、効果あるか分からないけど形式だけ付き合ってるって形にしてくれないか?もちろん、沖くんに好きな人ができたとかそう言う場合はすぐに解消してもらって構わないから。
失礼でなければお礼もする。」

好きな人はあなたなんです、一ノ瀬さん。
なーんて言えるはずもなく。
キラキラした期待の目でこちらを見つめてくる一ノ瀬さんから目を逸らす。

「あ、あはは。ちょっと考えさせてもらってもいいですか?」

「おう!分かった。じゃあ、本題も終わったし、じゃんじゃん食べよう!ここはシェラスコが美味い。」

「わー、楽しみだー(棒)」

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