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5 アジフライの人、友達になる
しおりを挟む「どう見ても揉めてただろ。」
「いや、ちょっと行き違い?みたいな感じです。」
いつも観察していた彼とこんな至近距離でお話する日が来ようとはっ。
緊張で喉が乾いちゃう。
ブラックコーヒーをちまっと一口飲むが、苦すぎて二口目が続かなかった。
「というか、社食に勤めてる人だよな?」
「あっ、そうです。」
おお!まさか認知されているとは。ちょっと感動。
「さっきのってなに?元カレとか?」
「・・・・まぁ、そうです。三ヶ月前に彼に運命の番が現れて別れたんですが、今日たまたま会ってしまって。」
そう言うとアジフライの人は驚いたように目を見開いた。
それはそうだろう、、、運命の番と出会ったなんて人はなかなかお目にかかれない。
「運命の番?凄いな・・・・俺の叔父以外で運命の番に会ったという人間は初めて見た。
だけど、その割に君に未練があるみたいだったけど?」
「うーん。別れてから三ヶ月も経ってるし未練とかでは無いんですけど、なんか僕のこと心配?してくれたみたいで。」
ほんとは二股要請です。なんて、恥ずかしくて口が裂けても言えない。
最初の彼氏以外、二番目と三番目の彼氏も別れた後になぜか復縁したいようなことを言ってきた。
運命の番と出会ってもみんな気の迷いを起こすのかな?
本当に理解できない。
「ふーん。まぁ、無理に聞かないけど。でも運命の番と会えるなんて凄いな。」
「・・・・そうですね。」
僕にとってはそう珍しいことでもないけどね。
「まぁ、なんか大変なトラブルに巻き込まれてるとかじゃないならいいや。時間取らせて悪かったな。」
「いえ、心配してくれてありがとうございます。」
「おう!せっかく来たし、なんか食って帰ろう。ここ飯も結構美味いから。」
アジフライの人はそう言うとメニューを渡してくれて、オススメなんかも教えてくれる。
僕はオススメどおりステーキハンバーガーを店員さんに頼んだ。
「飲み物もなんか頼みな。」
「えっ?でも・・・・」
なみなみ残った自分のブラックコーヒーを見下ろす。
そう・・・・なみなみ残っているのだ。
「全然口つけてないし、それは俺が飲むから。違うの頼めばいいよ。」
「うっ、えっと・・・・じゃあ、ベリーミックスジュースをお願いします。」
店員さんが下がった後、「ありがとうございます。」
とお礼を言うと、「おう!」とあの眩しい笑顔を見せてきた。
僕の席の後ろの女の子たちが「キャッ」と反応したのが、小さく聞こえる。
気持ちは分からなくもない。
アジフライの人は一ノ瀬 響(いちのせ ひびき)さんと言うらしい。
会社では国内営業担当。
最初の2年は海外販促をしていたが、乗っていた飛行機が胴体着陸して以降、飛行機恐怖症になり、国内営業に移ったそうだ。
営業の人だからなのか話が面白くて、僕はすっかり打ち解けてしまった。
ご飯を食べ終わったあとも暫く話をしていて、帰ったのはとっぷり日が落ちた後。
見たいテレビのことなんか頭から抜け落ちていたほどだ。
それ以来、一ノ瀬さんとは食堂で一言、二言雑談する仲になった。
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