透明少女と檻の中

さねうずる

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6 俺はこうして生き延びていました。

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朝、目が覚めると何だか頭がすっきりしていた。
体中に痛みが走るが、気分はそれほど悪くない。
昨日より幾分元気なくらいだ。

昨日の出来事は現実に起こったことなのかよく覚えていない。
でも起きたら床は濡れていたし、パンもそのままそこにあった。
ブレー(ズボン)は湿っていてるが、体は乾いている。
そこまで腹も減っていないし、意識もしっかりしている。

不思議なこともあるもんだと考えているうち、嫌な奴が牢に顔を出した。

「ロー将軍、随分元気そうだ。」
「・・・・・・・・」
「今日の遊び相手も俺だ。嬉しいだろ?」

二日連続バレット将軍とか、セイラ王国はよほど焦っているんだな。
そろそろ鉱山の方がヤバいのかもしれない。
それなら俺に構ってないで現地で指揮を取ったらどうだ。と思わないでもないが、第二王子さえ見つかれば人質交渉ができるからそれに賭けているんだろう。

俺はバレないようにそっと息を吐いた。


あれから数日・・・・
俺は何とか生きていた。
焦りが隠しきれないセイラ側は吐かせるためには何でもする、といった感じだが今のところは生きてる。

単にこいつのおかげだ。
この透明なヤツ。いるけど見えない。
名前も分からないから勝手に『透明』って呼んでいる。
透明は毎日せっせと俺の体を拭き、飯をくれる。
意識がない時は来たことも覚えていないが、次の日には必ず元気になってる。
出血が止まらない大怪我も傷自体は治ってないものの血は止まっている。
剥がされた爪が夜のうちにうっすら生えていた、なんてこともあった。

意識を保っていられた日は少し会話をすることもできた。
向こうはコツコツ音を出すだけだが、それでも誰かと話すというのは気が紛れる。
辛い日中も、夜あいつに会えると思うとそれだけで生きる活力になった。



「お前に痛みは効かないらしいから、今日は趣向を変えようか」

いつも通りの朝だが今日は見たことのない奴がきた。
初めてみる顔だが、ニタニタ笑うその顔からは見るからに変態臭さが滲み出ている。
バレット将軍は今日はいないらしい。
将軍はいつまで経っても第二王子の居場所を吐かない俺に痺れを切らして、そろそろ殺すのを我慢できなくなっていたようなので、もしかしたら外されたのかもしれない。
もしくは鉱山に行って自ら参戦してる可能性もある。


「これ、僕が開発した薬なんだけど人間で試すの初めてなんだ。どんな風になるのか楽しみだな。」

あー、最悪だ・・・・。一番嫌いな類のやつだ。
手枷が外れたらこいつは一番にぶん殴ろう。
俺はこの時そう決めた。
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