もじうお

もじうお

　文字の海に住んでいる魚を知っていますか？ ゆらりと回遊する彼らは、食べた文字に姿を変え、数多の作品の中を漂っています。名はもじうお。文字から生まれ、文字に消えていくおだやかな魚たちです。紙魚ではありません。彼らはどこにでもいます。もちろん、このページにも。ほら、噂をすれば集まってきました。


　　こんにちは
　　　　　　　　　　　　　　　Hey, Yo Bro!
　　　　　　　　グッモーニンやで～
　　　　　Gute Nacht!
　こっちは夜なのよ　　　　　呼んだ呼んだ？
るんた、るんた　　　　　　　　　　你们早!
　　　　おなかすいた
        안녕?
　　　　　　　　ねえぼくらのはなししてる？
　　　　　　　　あっ、誤字だ！
　　　　誤字がいたの!?　　　　
　　　　　　　　　　　どこだどこだ
　　　　　　　festa!
　　　　　　　　　誤字ときいて
　　　　誤字だー！ごはんだー！
　　　　　　　　ｷﾀ━━━━(ﾟ∀ﾟ)━━━━!!
　　　　　　あっ、ぬけがけ！
　　　　ずるーい！　　　　　　　ฉันอิจฉา!

　　　　　(´～｀)ﾓｸﾞﾓｸﾞ
　もじうお　は誤字が大好　物です。たとえ　ばこんなふうに、不　自然に空白が空いている箇所があったなら、それはきっともじうおの食事跡でしょう。
　あなたも見たことがあるのではないでしょうか？ きちんと確認したはずなのにいつの間にか生えている誤字や、何故か抜けている文字達を。それらはもじうおたちが、採ってきた誤字ごちそうを、まるでリスのように文字の海に貯蓄した結果なのです。
　　　(´～｀)ﾓｸﾞﾓｸﾞ
　　　　　　　　　　　　　　ﾖﾝﾀﾞ?(   ╹▽╹ )

　では、もじうおに誤字ごちそうを貯蓄されてしまった場合はどうすればいいのでしょう。その時は、とにかく誤字ごちそうを食べさせて、貯蓄する穴を塞いでしまえばいいのです。あなたが今これを読んでいる媒体に、必ず何らかの入力機器があるはず。それで誤字を選んで、消去するところを押してみましょう。PCならDeleteやBackSpace、スマートフォンならバツマークや「消去」の表示があります。そこを押した瞬間、もじうおたちはどんな場所からも誤字ごちそうの匂いを嗅ぎつけて、すぐさま集まってくるのです。彼らがごちそうを食べている瞬間を、私達が見ることはできません。なので、あたかも文字が消去されているように見えるのです。
　　　　ｽﾔｽﾔ(。-ω-)
　　　　　　　　起きろよぅ

　おや、お腹いっぱいになって眠たくなってしまったのでしょうか。彼らはここまでたくさんの誤字ごちそうを食べてくれました。もじうおは、たしかにいるのです。今日もごちそうを食べて、文字の海の中で、おだやかに。