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両両相俟って、手を携え合う
【53】
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蓬は言っていた。「神名を取り戻せれば消えずに済む」と。つまり誰かが神名を覚えている限り、蓬は存在出来る。蓬を祀っていた神社がない以上、莉亜たち人間の中に蓬の神名を覚えている者はほぼいない。知っている可能性が最も高いのは、蓬の神名を見つけようとしていたセイだ。そしてそのセイは姿が見えないだけで、今も蓬の近くにいる。
そのセイはこうも言っていた。「おれがついているから店主はすぐに消えたりしない」と。胸を張ってそれを断言できるのも、セイが蓬の命綱である神名を知っているからだと考えれば全て繋がる。
蓬が消えずに今も存在していられるのは、セイが消えずに未だこの地上にいるから。そのセイが蓬の神名を覚えているからだと考えられる。
「蓬さんの神名ですが……。私にも分かったような気がします。蓬さんが祀られていた場所の歴史と日本神話について調べていて、もしかするとこれじゃないかって」
あれから莉亜はおにぎり作りの合間に図書館にも足繁く通った。もう一度郷土史を調べ、蓬が司る豊穣の神について調べる中であることに気付いた。
ある時から地図に変化が現れたことを――。
「蓬さんが祀られていた神社周辺の地図を遡って読みましたが、セイさんが生まれる遥かな昔、神社の辺りは天津町と呼ばれていたそうですね。その頃から神社は建っていましたが、神社の名前については何も記載が残されていませんでした」
「書き忘れただけじゃないか」
「でも数百年が経って町の名前が変わったある時から、神社の名前が地図に載るようになりました。その時の神社の名前は彦根神社。これはセイさんの時代の地図にも載っていました。地図同士を照らし合わせた時の神社の位置も合致したので、ある時から急に地図に載ったというこの彦根神社は、蓬さんが祀られていたセイさんの神社の名前で間違いありません」
郷土史のコーナーには天津町に関する情報がほとんどなく、また神社の名前が記載されなかった経緯についても何も記録が残っていなかった。そこで図書館のカウンターでスタッフに尋ねて調べてもらったところ、どうやら数十年前に起こった戦争が原因で、天津町に関する記録がほぼ消失してしまったとのことであった。
「ただの記載漏れなら後から訂正した地図を発行すればいいだけです。何百年にも渡って神社の名前を隠す必要はありません。神社って道を探す時の目印にしやすいですし、祭事や冠婚葬祭の時には人が集まるので、場所が書かれていないと困る人は多いと思います。今とは違ってインターネットで簡単に検索できませんし……。そんな知りたい情報が不十分な地図、誰が使っても不便だと思います」
「それもそうだな……」
「そのことから彦根神社になる前は別の名前を冠した神社だったと考えました。そしてその神社の名称こそ、蓬さんの神名と直接繋がりのあるものでした。だからこそ地図に残せなかったんです。神の名前を記録に残してしまうことは不敬と考えられているから」
もしかすると神社が名前を変えたのに合わせて、当時の人たちは町の名前も変えたのかもしれない。結局のところ、神社と町の名前が同じ由来で付けられたのだとしたら、町の名前を記すことも祀っている神に――蓬に対する不敬と考えたのだろう。今とは違って、昔の人たちは神々を大切にしていた。敬っていたからこそ、無礼がないように神社の名前ごと神名を隠した。
「日本の神話において、豊穣の神として有名な神様は瓊瓊杵尊です。別名は天津彦彦火瓊瓊杵尊。天津というのは町の名前と同じです。もしかして地図に記載されなかった神社の名前というのは、天津神社だったんじゃないですか。そして神社の名称である天津こそ、天津神社で祀る神の神名だった。神名に当たるから地図や記録に残せなかった。違いますか……?」
莉亜が怖々と答え合わせを求めると、蓬は目を瞑って何か思案しているようであった。やがて息を吐き出すと、眉間の皺を深くして莉亜を凝視する。睨み付けるような目線からは蓬が莉亜の言葉に不快を感じているようにも、怒っているようにも見えるので、莉亜の身体は石になったかのように硬直してしまう。
「天津神社で祀る神、つまり俺のことか」
「蓬さんの神名は天津。それが私が見つけた神名です」
さすがにここまで言ってしまったら怒られるかもしれないと莉亜は身構える。しかし蓬は怒髪天を衝くどころか、おかしなものを見た時のように急に大声で笑い出したのだった。これには莉亜だけではなく、切り火たちも驚いたようで誰もが呆気に取られて蓬を凝視してしまう。
「もしかして……間違えましたか?」
「いや。そうじゃない。言われて思い出したからだ。お前の言う通り、セイは俺の神名を見つけてきた。本人は自信なさそうだったが、あれは確かに俺の神名だった」
「そうなんですか?」
「さすがにあの時は肝が冷えた。まさか本当に見つけてしまうとは思わなかった。咄嗟のことで誤魔化したつもりだったが、きっと気付いてしまっただろうな。それが俺の神名だと」
蓬の話によると、セイが神饌であるおにぎりを持って来るようになって少し経ったある日、突然言ってきたという。
『蓬の神名というのは、天津ではないか』と。
「セイもお前と同じ考えで神名を当ててきた。セイは父親からの口伝えで神社の前の名前が天津神社だと知っていた。だが自宅にあった俺に関する古文書には、神社のことを天津神社とは一切記載していなかった。彦根神社に名が変わってからは記載が残っているのに、と。どうやらそこから気付いたらしい。俺の神名は神社の名前と同じ。俺の神名は――天津だ」
神社の名前が変わったのも、どこかの時代で神の神名を神社の名前にしているのは不敬となったのだろう。そこから神名とは全く関係ない名前として、彦根神社に変わったのかもしれない。
「セイは俺こそが瓊瓊杵尊だと言っていたが、あっちは上位の神で、今でも日本の各地で信仰されている。下位の神でも末端にいるような俺とは違って、存在を忘れられることもなければ、そう簡単に力を失うこともない」
「じゃあ蓬さんは別の豊穣の神ということですか?」
「それは……すまない。姿と一緒に忘れてしまった。今の俺が覚えているのは、セイとの思い出と――セイとお前が見つけてきてくれた神名だけだ」
「じゃあ神名を取り戻したんですね! 良かった、これで蓬さんが消えずに済みます!!」
「ああ。お前のおかげだ。ありがとう……莉亜」
そうして蓬はこれまで見たことがないまでに相好を崩す。どこまでも裏表なく清々しいまでの笑みは、セイにとても似通っていた。蓬がセイに似せているわけではない。きっと二人の内面が同じなのだろう。それこそ出会った時から。
表面上は全く違うように見えても、お互いに相手を思い遣るあまり自分を蔑ろにする。自分と引き換えにセイの願いを叶えようとした蓬だけではなく、蓬のために自分の名前と姿を貸したセイも。
心が同じだからこそ、内から溢れる表情が重なる。だからこそ瓜二つとも言える笑みに見えるのだろう。
「ところでおにぎりの味はどうですか? 味覚が戻った以上、このおにぎりがセイさんと同じものかどうか分かりますよね」
「そうだな。今ならこれがセイの味だと言えるな。全てのカラクリが分かったからか、拍子抜けしてどこか違うような気もするが、だがこれが思い出の味だ。俺とセイにとっての……」
そう言いながら残っていたおにぎりを食べていた蓬だったが、急に言葉尻が弱くなる。不審に思った莉亜が見つめていると、不意に蓬の肩が震え出したのだった。
「蓬さん……?」
俯きながらおにぎりを食べているので莉亜からは顔が見えない。それでも感傷にひたっているのは分かる。頭の中で渦巻く何かを堪えているのも。
その姿がまるで初めて蓬のおにぎりを食べた時の自分自身のようにも見えて――。
「泣いているんですか……?」
「泣くわけがあるか。人間でもあるまいし……」
「でも、蓬さんの頬を流れていますよ。涙が……」
震えるような掠れ声の蓬にまた否定されるのかと思ったが、頬を流れる雫を掬った蓬は一瞬驚いた後に笑みを浮かべたのだった。
「そうだな。神も食い物一つで涙を流すのだな」
「美味しいものを食べて感動するのは、人も神も関係ないですから」
「俺もまだまだ人に疎いらしいな。そんなことも知らないとは」
またおにぎりを一口食べると、蓬は懐かしむようにどこか遠くを見ていながら話し続ける。
「お前のおにぎりは美味いな。俺にも作り方を教えてくれ」
「勿論です!」
莉亜の返事に気を良くしたのか、蓬は口角を緩めるといつになく穏やかな表情になる。そうして柔らかな声色で呟いたのだった。
「お前のも美味かったよ……セイ。ずっと素直になれなくて……悪かった」
そのセイはこうも言っていた。「おれがついているから店主はすぐに消えたりしない」と。胸を張ってそれを断言できるのも、セイが蓬の命綱である神名を知っているからだと考えれば全て繋がる。
蓬が消えずに今も存在していられるのは、セイが消えずに未だこの地上にいるから。そのセイが蓬の神名を覚えているからだと考えられる。
「蓬さんの神名ですが……。私にも分かったような気がします。蓬さんが祀られていた場所の歴史と日本神話について調べていて、もしかするとこれじゃないかって」
あれから莉亜はおにぎり作りの合間に図書館にも足繁く通った。もう一度郷土史を調べ、蓬が司る豊穣の神について調べる中であることに気付いた。
ある時から地図に変化が現れたことを――。
「蓬さんが祀られていた神社周辺の地図を遡って読みましたが、セイさんが生まれる遥かな昔、神社の辺りは天津町と呼ばれていたそうですね。その頃から神社は建っていましたが、神社の名前については何も記載が残されていませんでした」
「書き忘れただけじゃないか」
「でも数百年が経って町の名前が変わったある時から、神社の名前が地図に載るようになりました。その時の神社の名前は彦根神社。これはセイさんの時代の地図にも載っていました。地図同士を照らし合わせた時の神社の位置も合致したので、ある時から急に地図に載ったというこの彦根神社は、蓬さんが祀られていたセイさんの神社の名前で間違いありません」
郷土史のコーナーには天津町に関する情報がほとんどなく、また神社の名前が記載されなかった経緯についても何も記録が残っていなかった。そこで図書館のカウンターでスタッフに尋ねて調べてもらったところ、どうやら数十年前に起こった戦争が原因で、天津町に関する記録がほぼ消失してしまったとのことであった。
「ただの記載漏れなら後から訂正した地図を発行すればいいだけです。何百年にも渡って神社の名前を隠す必要はありません。神社って道を探す時の目印にしやすいですし、祭事や冠婚葬祭の時には人が集まるので、場所が書かれていないと困る人は多いと思います。今とは違ってインターネットで簡単に検索できませんし……。そんな知りたい情報が不十分な地図、誰が使っても不便だと思います」
「それもそうだな……」
「そのことから彦根神社になる前は別の名前を冠した神社だったと考えました。そしてその神社の名称こそ、蓬さんの神名と直接繋がりのあるものでした。だからこそ地図に残せなかったんです。神の名前を記録に残してしまうことは不敬と考えられているから」
もしかすると神社が名前を変えたのに合わせて、当時の人たちは町の名前も変えたのかもしれない。結局のところ、神社と町の名前が同じ由来で付けられたのだとしたら、町の名前を記すことも祀っている神に――蓬に対する不敬と考えたのだろう。今とは違って、昔の人たちは神々を大切にしていた。敬っていたからこそ、無礼がないように神社の名前ごと神名を隠した。
「日本の神話において、豊穣の神として有名な神様は瓊瓊杵尊です。別名は天津彦彦火瓊瓊杵尊。天津というのは町の名前と同じです。もしかして地図に記載されなかった神社の名前というのは、天津神社だったんじゃないですか。そして神社の名称である天津こそ、天津神社で祀る神の神名だった。神名に当たるから地図や記録に残せなかった。違いますか……?」
莉亜が怖々と答え合わせを求めると、蓬は目を瞑って何か思案しているようであった。やがて息を吐き出すと、眉間の皺を深くして莉亜を凝視する。睨み付けるような目線からは蓬が莉亜の言葉に不快を感じているようにも、怒っているようにも見えるので、莉亜の身体は石になったかのように硬直してしまう。
「天津神社で祀る神、つまり俺のことか」
「蓬さんの神名は天津。それが私が見つけた神名です」
さすがにここまで言ってしまったら怒られるかもしれないと莉亜は身構える。しかし蓬は怒髪天を衝くどころか、おかしなものを見た時のように急に大声で笑い出したのだった。これには莉亜だけではなく、切り火たちも驚いたようで誰もが呆気に取られて蓬を凝視してしまう。
「もしかして……間違えましたか?」
「いや。そうじゃない。言われて思い出したからだ。お前の言う通り、セイは俺の神名を見つけてきた。本人は自信なさそうだったが、あれは確かに俺の神名だった」
「そうなんですか?」
「さすがにあの時は肝が冷えた。まさか本当に見つけてしまうとは思わなかった。咄嗟のことで誤魔化したつもりだったが、きっと気付いてしまっただろうな。それが俺の神名だと」
蓬の話によると、セイが神饌であるおにぎりを持って来るようになって少し経ったある日、突然言ってきたという。
『蓬の神名というのは、天津ではないか』と。
「セイもお前と同じ考えで神名を当ててきた。セイは父親からの口伝えで神社の前の名前が天津神社だと知っていた。だが自宅にあった俺に関する古文書には、神社のことを天津神社とは一切記載していなかった。彦根神社に名が変わってからは記載が残っているのに、と。どうやらそこから気付いたらしい。俺の神名は神社の名前と同じ。俺の神名は――天津だ」
神社の名前が変わったのも、どこかの時代で神の神名を神社の名前にしているのは不敬となったのだろう。そこから神名とは全く関係ない名前として、彦根神社に変わったのかもしれない。
「セイは俺こそが瓊瓊杵尊だと言っていたが、あっちは上位の神で、今でも日本の各地で信仰されている。下位の神でも末端にいるような俺とは違って、存在を忘れられることもなければ、そう簡単に力を失うこともない」
「じゃあ蓬さんは別の豊穣の神ということですか?」
「それは……すまない。姿と一緒に忘れてしまった。今の俺が覚えているのは、セイとの思い出と――セイとお前が見つけてきてくれた神名だけだ」
「じゃあ神名を取り戻したんですね! 良かった、これで蓬さんが消えずに済みます!!」
「ああ。お前のおかげだ。ありがとう……莉亜」
そうして蓬はこれまで見たことがないまでに相好を崩す。どこまでも裏表なく清々しいまでの笑みは、セイにとても似通っていた。蓬がセイに似せているわけではない。きっと二人の内面が同じなのだろう。それこそ出会った時から。
表面上は全く違うように見えても、お互いに相手を思い遣るあまり自分を蔑ろにする。自分と引き換えにセイの願いを叶えようとした蓬だけではなく、蓬のために自分の名前と姿を貸したセイも。
心が同じだからこそ、内から溢れる表情が重なる。だからこそ瓜二つとも言える笑みに見えるのだろう。
「ところでおにぎりの味はどうですか? 味覚が戻った以上、このおにぎりがセイさんと同じものかどうか分かりますよね」
「そうだな。今ならこれがセイの味だと言えるな。全てのカラクリが分かったからか、拍子抜けしてどこか違うような気もするが、だがこれが思い出の味だ。俺とセイにとっての……」
そう言いながら残っていたおにぎりを食べていた蓬だったが、急に言葉尻が弱くなる。不審に思った莉亜が見つめていると、不意に蓬の肩が震え出したのだった。
「蓬さん……?」
俯きながらおにぎりを食べているので莉亜からは顔が見えない。それでも感傷にひたっているのは分かる。頭の中で渦巻く何かを堪えているのも。
その姿がまるで初めて蓬のおにぎりを食べた時の自分自身のようにも見えて――。
「泣いているんですか……?」
「泣くわけがあるか。人間でもあるまいし……」
「でも、蓬さんの頬を流れていますよ。涙が……」
震えるような掠れ声の蓬にまた否定されるのかと思ったが、頬を流れる雫を掬った蓬は一瞬驚いた後に笑みを浮かべたのだった。
「そうだな。神も食い物一つで涙を流すのだな」
「美味しいものを食べて感動するのは、人も神も関係ないですから」
「俺もまだまだ人に疎いらしいな。そんなことも知らないとは」
またおにぎりを一口食べると、蓬は懐かしむようにどこか遠くを見ていながら話し続ける。
「お前のおにぎりは美味いな。俺にも作り方を教えてくれ」
「勿論です!」
莉亜の返事に気を良くしたのか、蓬は口角を緩めるといつになく穏やかな表情になる。そうして柔らかな声色で呟いたのだった。
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