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43 小春の悩み
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春彦が、感慨深げに言う。
「……アイス、やっと食べに来られたな」
「三年かかっちゃったもんね」
やっぱり今回のお誘いは、春彦もそういうつもりだったらしい。私は自分のイチゴアイスの残りを齧ると、機嫌のよさそうな春彦の横顔を見つめた。
春彦が退院するまでの間、窓枠の向こうに春彦がいなくて、最初の頃はその喪失感に我ながら驚いた。
だけど、リハビリを頑張り退院してきた春彦が勉強も頑張っている姿を見て、今は自分の悶々とした気持ちには蓋をしてそっと見守ろうと決意した。健気のひと言だと、我ながら思う。
勿論、だからといってそんな私を春彦がただ放置する筈もなく、入院中に入手したスマホでしょっちゅう私に連絡を取り始めた。
相変わらずただの幼馴染みの関係なのに、その束縛ぶりは龍にも負けず劣らずだ。思わずえっちゃんに愚痴ると、「小春ってさ、ふらふらしてるから男が心配になるんだよ。よ! 魔性の女!」と言われた。「よっ」てなに、「よっ」て。
確かに、ふらふら……はしていたかもしれない。ここのところ、あまりにも周りに危なっかしいと言われ続けたお陰で、私自身もそうらしいと認め始めたところだ。だから、今度こそ春彦の注意をよく聞いて守ろうと思っている。
私だって学ぶのだ。なので「見た目がよくてもすぐについていかないって決めたよ!」とえっちゃんに伝えると、溜息を吐かれた。今回の一番の反省点だったけど、何が違うんだろう。
柔和な笑顔が止まらない春彦が、私を見下ろしながら言った。
「なあ小春、暫く俺の勉強が忙しくて朝の挨拶くらいだっただろ?」
「はい?」
いや、それは違う。私の変顔にも、春彦は笑顔を返す。暑すぎたのと勉強しすぎたのとで、脳みそが溶けちゃったんだろうか。記憶障害。あり得るかもしれない。
あれは絶対、朝の挨拶くらいという程度のものじゃない。断言できた。
朝の挨拶は元より、小春は今日は何をするんだ、外に行くなら俺もついて行く。おつかいに行くと答えれば、俺も勉強の息抜きをしたいから一緒に行く。小春の夏休みの課題の進捗状況を見せろ、全然やってないから俺が見てやる。母さんが会いたがってるから晩飯を食いに来い、と連日それはもう小まめに誘いが来ていた記憶が私にはある。おかしいな。春彦の記憶と違うんだろうか。
三年間意識不明だった人に勉強を教わる自分のおつむの出来のお粗末さには、情けなさを実感して正直面白くはなかったけど、春彦はずっとこの当たり前の日常に恋焦がれていた。そう思ってしまうと、無下にも扱えない。それに教わりながら取り組んだ方が、確実に早く終わる。
第一、私自身に大した用事がなかったという最大の理由もあって、結果として夏休み期間は何だかんだ言いながらもずっと春彦と過ごしていた。純粋なただのお出かけはこれが初めてだけど。
まあ、春彦は龍とは違い、井ノ原くんが部活で忙しい時にえっちゃんと遊んでも、公募の絵を仕上げる為に部室に顔を出して部長とくだを巻いてもうるさく言うことはない。「GPSを付けられてないよね?」とはえっちゃんの言葉だけど、それに関しては恐ろし過ぎて春彦にはまだ聞けていなかった。
「残り、全部あげるよ」
メロンシャーベットを私に差し出したので、今度は素直に受け取る。
「本当? 食べちゃうよ」
「うん」
春彦が、私を眩しそうに見た。
「……でさ。ようやく進学も決まったし、残りの夏休みを満喫したいんだけど」
「満喫? 何したいの?」
「あ、ほら、垂れてる」
全部いいと言われたのでその言葉通り残りの春彦のアイスを齧ってやろうとしていたら、春彦は私の手に垂れていたアイスをウェットティッシュでサッと拭き取っていった。
用意がすこぶるいい。だけど、私がアイスを垂らすと見越して持参してきている辺り、若干子供扱い感は否めなかった。
「今日の神社の祭り、一緒に行こうよ」
春彦は、相変わらず笑顔のままだ。断られるなんて思っていないんだろう。当日になって誘ってくるのがその証拠だ。
だけど甘い。私にだって、先約というものはあるのだ。
私は誇らしげにふんぞり返った。
「あ、それ、えっちゃんと井ノ原くんに一緒に行こうって誘われてるんだよね!」
途端、春彦が同情顔になる。
「それさ、憐れんで誘われてるだけのやつだよね? ていうか、熱々のカップルに挟まって小春はそれでいいのか?」
相変わらず遠慮もくそもなくグサグサと物事の本質を突いてくる春彦に、一瞬殺意を覚えた。
春彦が、慰めるように眉を垂らしながら微笑む。この顔も腹立たしくて、唇を尖らせた。
そういえば、とふと龍の顔を思い出す。
龍には見せることが難しかった私の色んな表情を、春彦に見せることには全く抵抗がない。隣にいて楽なのは、やはり勝手知ったる春彦なんだなあとしみじみ思った。
春彦が私の隣に居続ける限り、外に彼氏を作ることは無理なのかもしれない。私がそれを望む、望まないを問わず。
「俺と一緒に行こうよ。えっちゃんとは、祭りの会場で合流すればいいだろ」
えっちゃんたちと行けば、かなりの高確率でお邪魔虫になることは予め想定している。だけど、ここまでオブラートなんてこの世に存在しないとばかりに遠慮なく言われると、私だって面白くない。
「……でも、約束だし」
「小春」
春彦が、コーンを包んでいた紙だけになったアイスの残骸を私の手から取ると、ギラギラの太陽の光が反射する瞳でじっと私を見つめ始めた。
「な、なに」
春彦が現世に戻ってきてからというもの、事ある毎にこの目をされる。
――熱を感じている気がしちゃうから、早く何かを喋ってよ。
多分そういう意味なんだろうなとは予想はしていても、あの日春彦が龍に切った啖呵の中にあった言葉の意味すらまだ尋ねられていないほどのへたれな私が、無遠慮に聞ける筈もない。
実はもしかしたら春彦も同じことを思っていて、それで最終確認を引き伸ばしている可能性もあるんじゃないか。
聞きたくても聞けない。龍の時とは全く違う悩みに、私は日々悩まされていた。
もしかしたら今日がその日なんだろうか。アイスを食べに誘ってきたのが何よりの証拠じゃないか。
いつも以上に引く気のない春彦の勢いに、やっぱりそうなのかなという気がぷんぷんしてくる。
自分がどう判断するのかすら相変わらず場当たり的な私は、すでに及び腰になりつつあった。
だって、違ったら恥ずかしいじゃないか。もし違っていたら、その後どんな顔をしたらいいか分からなくなってしまう。
だけど、弱気な私の背中を押したのも、春彦のひと言だった。
「俺、小春の浴衣姿を見てみたいんだ。絶対似合うよ」
おだてられたら調子に乗る。それが私なのを、春彦はよく理解している。
きっと、暑さのせいだろう。
私は顔を火照らせると、小さく頷いたのだった。
「……アイス、やっと食べに来られたな」
「三年かかっちゃったもんね」
やっぱり今回のお誘いは、春彦もそういうつもりだったらしい。私は自分のイチゴアイスの残りを齧ると、機嫌のよさそうな春彦の横顔を見つめた。
春彦が退院するまでの間、窓枠の向こうに春彦がいなくて、最初の頃はその喪失感に我ながら驚いた。
だけど、リハビリを頑張り退院してきた春彦が勉強も頑張っている姿を見て、今は自分の悶々とした気持ちには蓋をしてそっと見守ろうと決意した。健気のひと言だと、我ながら思う。
勿論、だからといってそんな私を春彦がただ放置する筈もなく、入院中に入手したスマホでしょっちゅう私に連絡を取り始めた。
相変わらずただの幼馴染みの関係なのに、その束縛ぶりは龍にも負けず劣らずだ。思わずえっちゃんに愚痴ると、「小春ってさ、ふらふらしてるから男が心配になるんだよ。よ! 魔性の女!」と言われた。「よっ」てなに、「よっ」て。
確かに、ふらふら……はしていたかもしれない。ここのところ、あまりにも周りに危なっかしいと言われ続けたお陰で、私自身もそうらしいと認め始めたところだ。だから、今度こそ春彦の注意をよく聞いて守ろうと思っている。
私だって学ぶのだ。なので「見た目がよくてもすぐについていかないって決めたよ!」とえっちゃんに伝えると、溜息を吐かれた。今回の一番の反省点だったけど、何が違うんだろう。
柔和な笑顔が止まらない春彦が、私を見下ろしながら言った。
「なあ小春、暫く俺の勉強が忙しくて朝の挨拶くらいだっただろ?」
「はい?」
いや、それは違う。私の変顔にも、春彦は笑顔を返す。暑すぎたのと勉強しすぎたのとで、脳みそが溶けちゃったんだろうか。記憶障害。あり得るかもしれない。
あれは絶対、朝の挨拶くらいという程度のものじゃない。断言できた。
朝の挨拶は元より、小春は今日は何をするんだ、外に行くなら俺もついて行く。おつかいに行くと答えれば、俺も勉強の息抜きをしたいから一緒に行く。小春の夏休みの課題の進捗状況を見せろ、全然やってないから俺が見てやる。母さんが会いたがってるから晩飯を食いに来い、と連日それはもう小まめに誘いが来ていた記憶が私にはある。おかしいな。春彦の記憶と違うんだろうか。
三年間意識不明だった人に勉強を教わる自分のおつむの出来のお粗末さには、情けなさを実感して正直面白くはなかったけど、春彦はずっとこの当たり前の日常に恋焦がれていた。そう思ってしまうと、無下にも扱えない。それに教わりながら取り組んだ方が、確実に早く終わる。
第一、私自身に大した用事がなかったという最大の理由もあって、結果として夏休み期間は何だかんだ言いながらもずっと春彦と過ごしていた。純粋なただのお出かけはこれが初めてだけど。
まあ、春彦は龍とは違い、井ノ原くんが部活で忙しい時にえっちゃんと遊んでも、公募の絵を仕上げる為に部室に顔を出して部長とくだを巻いてもうるさく言うことはない。「GPSを付けられてないよね?」とはえっちゃんの言葉だけど、それに関しては恐ろし過ぎて春彦にはまだ聞けていなかった。
「残り、全部あげるよ」
メロンシャーベットを私に差し出したので、今度は素直に受け取る。
「本当? 食べちゃうよ」
「うん」
春彦が、私を眩しそうに見た。
「……でさ。ようやく進学も決まったし、残りの夏休みを満喫したいんだけど」
「満喫? 何したいの?」
「あ、ほら、垂れてる」
全部いいと言われたのでその言葉通り残りの春彦のアイスを齧ってやろうとしていたら、春彦は私の手に垂れていたアイスをウェットティッシュでサッと拭き取っていった。
用意がすこぶるいい。だけど、私がアイスを垂らすと見越して持参してきている辺り、若干子供扱い感は否めなかった。
「今日の神社の祭り、一緒に行こうよ」
春彦は、相変わらず笑顔のままだ。断られるなんて思っていないんだろう。当日になって誘ってくるのがその証拠だ。
だけど甘い。私にだって、先約というものはあるのだ。
私は誇らしげにふんぞり返った。
「あ、それ、えっちゃんと井ノ原くんに一緒に行こうって誘われてるんだよね!」
途端、春彦が同情顔になる。
「それさ、憐れんで誘われてるだけのやつだよね? ていうか、熱々のカップルに挟まって小春はそれでいいのか?」
相変わらず遠慮もくそもなくグサグサと物事の本質を突いてくる春彦に、一瞬殺意を覚えた。
春彦が、慰めるように眉を垂らしながら微笑む。この顔も腹立たしくて、唇を尖らせた。
そういえば、とふと龍の顔を思い出す。
龍には見せることが難しかった私の色んな表情を、春彦に見せることには全く抵抗がない。隣にいて楽なのは、やはり勝手知ったる春彦なんだなあとしみじみ思った。
春彦が私の隣に居続ける限り、外に彼氏を作ることは無理なのかもしれない。私がそれを望む、望まないを問わず。
「俺と一緒に行こうよ。えっちゃんとは、祭りの会場で合流すればいいだろ」
えっちゃんたちと行けば、かなりの高確率でお邪魔虫になることは予め想定している。だけど、ここまでオブラートなんてこの世に存在しないとばかりに遠慮なく言われると、私だって面白くない。
「……でも、約束だし」
「小春」
春彦が、コーンを包んでいた紙だけになったアイスの残骸を私の手から取ると、ギラギラの太陽の光が反射する瞳でじっと私を見つめ始めた。
「な、なに」
春彦が現世に戻ってきてからというもの、事ある毎にこの目をされる。
――熱を感じている気がしちゃうから、早く何かを喋ってよ。
多分そういう意味なんだろうなとは予想はしていても、あの日春彦が龍に切った啖呵の中にあった言葉の意味すらまだ尋ねられていないほどのへたれな私が、無遠慮に聞ける筈もない。
実はもしかしたら春彦も同じことを思っていて、それで最終確認を引き伸ばしている可能性もあるんじゃないか。
聞きたくても聞けない。龍の時とは全く違う悩みに、私は日々悩まされていた。
もしかしたら今日がその日なんだろうか。アイスを食べに誘ってきたのが何よりの証拠じゃないか。
いつも以上に引く気のない春彦の勢いに、やっぱりそうなのかなという気がぷんぷんしてくる。
自分がどう判断するのかすら相変わらず場当たり的な私は、すでに及び腰になりつつあった。
だって、違ったら恥ずかしいじゃないか。もし違っていたら、その後どんな顔をしたらいいか分からなくなってしまう。
だけど、弱気な私の背中を押したのも、春彦のひと言だった。
「俺、小春の浴衣姿を見てみたいんだ。絶対似合うよ」
おだてられたら調子に乗る。それが私なのを、春彦はよく理解している。
きっと、暑さのせいだろう。
私は顔を火照らせると、小さく頷いたのだった。
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