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4 ティナ乱心
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ティナは、大人しく帰って行った。俺が跡を継がずに城を去ろうと思っていると聞いたところで、恐らくは信じていないと思われる。
公爵家への打診など、当然のことながら行なえる訳がない。父王にバレたら最後、結婚式当日まで幽閉塔に閉じ込められて過ごすことになるのは間違いない。
俺にだって、公爵家の後ろ盾が王家にとってどれだけ重要なのかは理解していた。ただ、その相手が俺でなくてもよくない? というだけの話だ。
とりあえず、今日は何事も起こらないだろう。そう高を括っていたが、甘かった。
「アリスタ様! アリスタ様!」
自室に戻り、イリスがどこかへといなくなっている間にだらけていると、扉をガンガンと叩く声がある。この声は、宰相だ。俺とイリスの存在を知っている、おじいちゃん的存在の人である。
ちょっと頭は固めだが、俺のことが大好き過ぎて、全国を探し回って俺とそっくりなイリスを探してきた情熱の人である。
警戒しなくてもいい。俺はキイ、と音を立てて開く扉から顔を覗かせた。
「どうしたのネス」
ネス、とは俺と宰相である彼が二人の時にだけ呼ぶ愛称である。髪の毛は真っ白になり、顔の皺も大分増えた。この人にだけは最後に去る時にちゃんと話をしようと思っていたから、丁度いい。
そんな呑気なことを考えていた俺は、本当に甘かったのだ。
「大変です! ティナ様が! ティナ様が!」
「は? ティナがどうし……」
「ああ! いらっしゃいました!」
「は? へ?」
ネスがワタワタとしていると、無駄に豪奢な通路の奥からどよめきが聞こえる。どうやら衛兵たちが騒いでいる様だ。
ティナの身に何かあったのか。昼間に久々に合った、あの儚げで冷たい声の持ち主の緑色の瞳を思い出す。
色も何もかも、タチアナに本当に似ている。もしかしたら親戚なのかもしれないな、と考えた。
美しい女性ならば、平民から妾に取り上げられることも時にはある。平民に残った血と公爵家に引き継がれた血が、同時期に同様の姿を作り出す可能性だって無きにしもあらずだ。
曲がり角に、衛兵の後ろ姿が見えた。そして、その奥から見えるのは水色の豪華なドレスの裾。
「どきなさい衛兵如きが!」
ティナの声が、信じられないほど横柄な言葉を放つ。え? と思っても、誰も俺を責められないだろう。
「ですが! この先は許可を受けた方しか入ることは許されておりません!」
「この私を誰だと思っているの! 公爵家の人間を知らないとでも!?」
「ですが……!」
「どきなさいって言ってるでしょう! お父様に言いつけるわよ!」
俺は、口をぽかんと情けなく開けてその光景を見ていることしか出来なかった。誰あれ。ティナってあんなだったの? 今までのあのたおやかで冷たくも美しい静かな女性は、もしや演技だったのか。
今一体、何が起きてるの。
俺は文字通り固まった。
ティナは、どんどん衛兵の壁を突破してくる。公爵令嬢に傷ひとつ付けたらとんでもない未来しか待っていないから、止めたくても力尽くとはいかないのが悲しいところだ。
「アリスタ様! 今宵は私がお相手致します! 逃げずにそこでお待ち下さい!」
「え!? お相手!? ちょっと待って、何!? 何の相手!?」
「衛兵、どきなさいってばあああ!」
「ティナ様あああ!」
「絶対抱かせてみせるわあああ!」
もう滅茶苦茶だ。どうしよう、何故ティナは今更俺の夜の相手をするなどと言い出したのか。そこで、ああ、きっと公爵にばれてそれで既成事実を作ってくる様に言われたのに違いないと気付く。
だからあんな酷い言葉遣いで己を奮い立て、好きでもない俺に抱かれようとしているのか。
――だが、正直怖くて抱ける気はしない。何あの急変。怖すぎる。
すると。
「アリスタ様!」
俺の部屋の中から、イリスが焦った表情を浮かべて俺の腕を引っ張った。
「え――あっイリス! 今までどこに!」
もしかして部屋にいたのだろうか。だが、イリスは俺の質問には答えなかった。真剣な眼差しで、俺をイリスの部屋へとぐいぐい引っ張っていく。
「えっちょ、何? あのっ」
「アリスタ様! 私の部屋は今、隠し通路が開いた状態となっております。そこを通ってまずはお逃げ下さい!」
俺は心底驚いた。あのイリスが、俺を守るという本来の仕事をしている。一体どうしたというのか。天変地異が起こる前触れかもしれない。
「明日雪でも降るのかな……?」
「馬鹿なことを仰ってないで! 早く!」
何かよく分からないが、未だに扉の外でギャーギャーおかしな音量で騒いでいるティナから俺を守ってくれるらしい。時折、今宵この身に子種を、とか聞こえる。恐怖しかなかった。
思わず、普段は俺をおののかせている筈のイリスの腕にしがみつく。
「お、お前がティナを抱いてくれるのか……?」
「抱く訳がないでしょう!」
物凄い形相で、即答された。違うのか。まあ考えてみたら、影武者が公爵令嬢を抱いたら大問題だ。まあバレなきゃ問題ないだろうが。
イリスは、忌々しげに舌打ちをした。いや、俺一応王子様なんだけど。
「私が最初にいただく予定のアリスタ様の純潔を、あんな汚らわしい雌豚に奪われてなるものですか!」
あ、そっちですか。そこはぶれないのか。さすがはイリス。そしてこっちも怖い。ていうか公爵令嬢を雌豚はいくらなんでも酷すぎないか?
「いつかアリスタ様が自らその可憐な股を私に開く日を夢見て我慢していたというのに、あの女ときたら……!」
「ちょっとイリス、お前やっぱりおかしいぞ」
「とにかく今は早く!」
イリスが、滅茶苦茶余裕のない表情でぐいっと俺の背中を押す。
「アリスタ様あ!」
ティナの怒声が、間近に迫っていた。
「ここはおまかせを!」
イリスの部屋の扉が閉められる瞬間、俺の視界に一瞬だけティナの姿が見えた。
豪華な、贅沢な水色のドレス。華奢な首も胸も大胆に肌が見える仕様だ。
「――――!」
衝撃が走った。
どれだ。何がどこからねじ曲がり、どれが真実なのか。閉じられた扉の奥で、イリスが冷静に冷酷に対処している声が漏れ伝わる。イリスにしなだれかかっているのか、甘えた雌の声が聞こえ始めた。
改めてイリスの部屋を見回す。しょっちゅう俺を狙ってくるので間違っても入ることはなかった部屋だったが、元は衣装部屋になっていた場所だ。隠し通路があるのは、王族の部屋ならば納得だ。
壁の奥、イリスの衣装が掛けられた衣装棚の中が、暗闇になっている。そして、机に置かれた火が灯ったままの燭台。
イリスは、これを持って外に出ていたのだ。俺と同時に存在出来ないから、どこかに用事がある時は身を隠していかねばならない。だから、隠し通路を使っていたのだ。ちっとも知らなかった。
「イリス、ネス……」
怒鳴り合いの声が聞こえる方向を見、唇をクッと噛み締める。
――さよなら。
声を出さず、言った。
公爵家への打診など、当然のことながら行なえる訳がない。父王にバレたら最後、結婚式当日まで幽閉塔に閉じ込められて過ごすことになるのは間違いない。
俺にだって、公爵家の後ろ盾が王家にとってどれだけ重要なのかは理解していた。ただ、その相手が俺でなくてもよくない? というだけの話だ。
とりあえず、今日は何事も起こらないだろう。そう高を括っていたが、甘かった。
「アリスタ様! アリスタ様!」
自室に戻り、イリスがどこかへといなくなっている間にだらけていると、扉をガンガンと叩く声がある。この声は、宰相だ。俺とイリスの存在を知っている、おじいちゃん的存在の人である。
ちょっと頭は固めだが、俺のことが大好き過ぎて、全国を探し回って俺とそっくりなイリスを探してきた情熱の人である。
警戒しなくてもいい。俺はキイ、と音を立てて開く扉から顔を覗かせた。
「どうしたのネス」
ネス、とは俺と宰相である彼が二人の時にだけ呼ぶ愛称である。髪の毛は真っ白になり、顔の皺も大分増えた。この人にだけは最後に去る時にちゃんと話をしようと思っていたから、丁度いい。
そんな呑気なことを考えていた俺は、本当に甘かったのだ。
「大変です! ティナ様が! ティナ様が!」
「は? ティナがどうし……」
「ああ! いらっしゃいました!」
「は? へ?」
ネスがワタワタとしていると、無駄に豪奢な通路の奥からどよめきが聞こえる。どうやら衛兵たちが騒いでいる様だ。
ティナの身に何かあったのか。昼間に久々に合った、あの儚げで冷たい声の持ち主の緑色の瞳を思い出す。
色も何もかも、タチアナに本当に似ている。もしかしたら親戚なのかもしれないな、と考えた。
美しい女性ならば、平民から妾に取り上げられることも時にはある。平民に残った血と公爵家に引き継がれた血が、同時期に同様の姿を作り出す可能性だって無きにしもあらずだ。
曲がり角に、衛兵の後ろ姿が見えた。そして、その奥から見えるのは水色の豪華なドレスの裾。
「どきなさい衛兵如きが!」
ティナの声が、信じられないほど横柄な言葉を放つ。え? と思っても、誰も俺を責められないだろう。
「ですが! この先は許可を受けた方しか入ることは許されておりません!」
「この私を誰だと思っているの! 公爵家の人間を知らないとでも!?」
「ですが……!」
「どきなさいって言ってるでしょう! お父様に言いつけるわよ!」
俺は、口をぽかんと情けなく開けてその光景を見ていることしか出来なかった。誰あれ。ティナってあんなだったの? 今までのあのたおやかで冷たくも美しい静かな女性は、もしや演技だったのか。
今一体、何が起きてるの。
俺は文字通り固まった。
ティナは、どんどん衛兵の壁を突破してくる。公爵令嬢に傷ひとつ付けたらとんでもない未来しか待っていないから、止めたくても力尽くとはいかないのが悲しいところだ。
「アリスタ様! 今宵は私がお相手致します! 逃げずにそこでお待ち下さい!」
「え!? お相手!? ちょっと待って、何!? 何の相手!?」
「衛兵、どきなさいってばあああ!」
「ティナ様あああ!」
「絶対抱かせてみせるわあああ!」
もう滅茶苦茶だ。どうしよう、何故ティナは今更俺の夜の相手をするなどと言い出したのか。そこで、ああ、きっと公爵にばれてそれで既成事実を作ってくる様に言われたのに違いないと気付く。
だからあんな酷い言葉遣いで己を奮い立て、好きでもない俺に抱かれようとしているのか。
――だが、正直怖くて抱ける気はしない。何あの急変。怖すぎる。
すると。
「アリスタ様!」
俺の部屋の中から、イリスが焦った表情を浮かべて俺の腕を引っ張った。
「え――あっイリス! 今までどこに!」
もしかして部屋にいたのだろうか。だが、イリスは俺の質問には答えなかった。真剣な眼差しで、俺をイリスの部屋へとぐいぐい引っ張っていく。
「えっちょ、何? あのっ」
「アリスタ様! 私の部屋は今、隠し通路が開いた状態となっております。そこを通ってまずはお逃げ下さい!」
俺は心底驚いた。あのイリスが、俺を守るという本来の仕事をしている。一体どうしたというのか。天変地異が起こる前触れかもしれない。
「明日雪でも降るのかな……?」
「馬鹿なことを仰ってないで! 早く!」
何かよく分からないが、未だに扉の外でギャーギャーおかしな音量で騒いでいるティナから俺を守ってくれるらしい。時折、今宵この身に子種を、とか聞こえる。恐怖しかなかった。
思わず、普段は俺をおののかせている筈のイリスの腕にしがみつく。
「お、お前がティナを抱いてくれるのか……?」
「抱く訳がないでしょう!」
物凄い形相で、即答された。違うのか。まあ考えてみたら、影武者が公爵令嬢を抱いたら大問題だ。まあバレなきゃ問題ないだろうが。
イリスは、忌々しげに舌打ちをした。いや、俺一応王子様なんだけど。
「私が最初にいただく予定のアリスタ様の純潔を、あんな汚らわしい雌豚に奪われてなるものですか!」
あ、そっちですか。そこはぶれないのか。さすがはイリス。そしてこっちも怖い。ていうか公爵令嬢を雌豚はいくらなんでも酷すぎないか?
「いつかアリスタ様が自らその可憐な股を私に開く日を夢見て我慢していたというのに、あの女ときたら……!」
「ちょっとイリス、お前やっぱりおかしいぞ」
「とにかく今は早く!」
イリスが、滅茶苦茶余裕のない表情でぐいっと俺の背中を押す。
「アリスタ様あ!」
ティナの怒声が、間近に迫っていた。
「ここはおまかせを!」
イリスの部屋の扉が閉められる瞬間、俺の視界に一瞬だけティナの姿が見えた。
豪華な、贅沢な水色のドレス。華奢な首も胸も大胆に肌が見える仕様だ。
「――――!」
衝撃が走った。
どれだ。何がどこからねじ曲がり、どれが真実なのか。閉じられた扉の奥で、イリスが冷静に冷酷に対処している声が漏れ伝わる。イリスにしなだれかかっているのか、甘えた雌の声が聞こえ始めた。
改めてイリスの部屋を見回す。しょっちゅう俺を狙ってくるので間違っても入ることはなかった部屋だったが、元は衣装部屋になっていた場所だ。隠し通路があるのは、王族の部屋ならば納得だ。
壁の奥、イリスの衣装が掛けられた衣装棚の中が、暗闇になっている。そして、机に置かれた火が灯ったままの燭台。
イリスは、これを持って外に出ていたのだ。俺と同時に存在出来ないから、どこかに用事がある時は身を隠していかねばならない。だから、隠し通路を使っていたのだ。ちっとも知らなかった。
「イリス、ネス……」
怒鳴り合いの声が聞こえる方向を見、唇をクッと噛み締める。
――さよなら。
声を出さず、言った。
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