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55 進軍
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マーリカとキラが城の中庭へ出ると、ユーリス率いる兵団が丁度到着し、荷物を降ろしているところだった。
「キラ! マーリカ嬢!」
目に眩しい七色の鎧に身を包んだユーリスが、キラッキラに太陽光を反射させながら手を振る。だが、目が眩んで表情がよく見えなかった。あれはムーンシュタイナー名物のひとつ、魔魚の鱗の鎧だ。王都に持っていった物をそのまま着てきたらしい。
「あれ、あんなに眩しくなるんですか」
自分の腕に抱えた魔魚の鱗が縫い込まれた鎧を見ながら、キラが頬を引き攣らせつつ呟く。
「そうみたいねえ」
マーリカが、片手をそっと自身の頬に当てて軽く首を傾げた。
「でも、魔物の目も眩みそうよね」
「その前に周りの人間の目がやられそうですけどね」
満面の笑みでこちらに駆け寄ってくるユーリスを実に嫌そうな目つきで見ていたキラが、ハッとした。
「なるほど、目が眩むと」
「どうしたの?」
ムーンシュタイナー領の皆が準備してくれた魔魚の鱗の鎧は、通常の金属製の鎧とは違い皮の服に鱗が縫い付けられている。その為非常に軽量な上、動きやすい。金属の鎧に比べれば衝撃に弱いが、そこは抜かりなく皮を二重にして補強してあった。名匠スティーブの力作である。
キラは自分の鎧をサッと頭から被った。その途端、走ってきていたユーリスが「うっ!」と瞼を押さえて止まる。光に目が眩んだらしい。
「なかなかいい効果ですね」
キラは満足げに頷いた。
次いで、マーリカに向き直る。腕の下や横腹は、革紐を金具に通しギュッと引くことで固定する仕様になっている。その為キラは、端正な顔も鎧もキラキラさせながら、マーリカに頼んだ。
「お嬢、固定していただいても?」
「ええ、勿論よ!」
両手を左右に掲げたキラは、せっせと革紐を絞るマーリカを見て、絶対に他の人間には見せない様な艶やかな笑みを浮かべる。
「お嬢のは、俺がやりますからね」
「え? ええ、でも自分で着られる様にもならないと……」
「やりますから」
「……」
キラの笑顔の圧は凄い。マーリカはコクコクと頷いた。
宣言通り、キラはマーリカに鎧を着させた。隙間などない様にギュッと絞られて若干苦しいが、「魔泉に行くんですよ?」と言われれば、反論出来ない。
そんな二人の様子を生ぬるい目で見守っていたユーリスが、支度を終えた二人に改めて声を掛けた。
「この防具は素晴らしいな。こちらに向かう最中に魔物の襲撃に遭ったんだが、向こうの魔法攻撃を全部跳ね返してくれたぞ」
「えっそうなんですか!?」
刃物類を一切通さない頑丈さが売りだと思っていたが、思いも寄らない追加効果があったらしい。これはいいことを聞いた、とマーリカは心の中で拳を握り締めた。販売単価が上げられるからだ。
「あれ? マーリカ嬢はこの効果を知らなかったのかい? 向こうからの攻撃が全部相手に返って勝手に自滅してくれるから、お陰で魔力も温存出来た」
立派な顎でニカッと笑ったユーリスが、背後を振り返る。荷物を降ろし終わった彼の下につく兵たちは、再び馬上に戻りつつあった。
「これは是非とも全員に行き渡らせたいと思った。だから部下をムーンシュタイナー領に向かわせ、増産依頼を掛けたところだ」
「全員に……!」
戦争で儲けるのは本意ではないが、相手は理屈の通じない魔物だ。それに人命救助になるのだから、とマーリカは自分を納得させた。
そこへ無表情のキラが口を挟む。
「勿論請求は国に行くんですよね?」
とにかく大事なのは踏み倒されないことだと言わんばかりのキラの問いに、ユーリスは苦笑した。
「勿論! 商品代はきちんと国から支払われるぞ」
「そうだといいんですけど……」
ムーンシュタイナー領の危機にも、金も兵力も割かなかった国王だ。本当に大丈夫だろうかという不安が、マーリカの顔にも出ていたのだろう。
マーリカを見たユーリスが、腕で口元を隠しながら、可笑しそうに笑い出す。
「心配しなくても大丈夫だ。本当にもう、国王の狼狽ぶりを是非とも二人にも見せてやりたかったよ」
「狼狽、ですか?」
自国の国王についてこうもはっきり笑うのは不敬罪に当たらないかと心配したが、そもそもユーリスは騎士団の派兵を国王に断られている身だ。自国の国境を守る砦であるメイテール領を見捨てたとも思える保身のみの行動に、国王に対する敬意は激減しているのかもしれなかった。
人心掌握出来ない国王が統べる国。それがウィスロー王国の現状なのだとしたら、将来がかなり不安ではあった。
だが、笑顔のユーリスからは憂いの色は窺えない。ひたすら可笑しそうにクックッと笑っているだけだ。
「マーリカ嬢。君の父君はとんでもない男だったんだな」
「はあ」
よく分からない。だがしかし、今はそんなことを言っているではないだろう。
そんな雰囲気を感じ取ったのか、ユーリスがポン! と手を叩く。
「――よし! では、そろそろ向かおうか!」
「そうですね」
三人が城門の外へ出ると、ユーリスの兵団は騎乗し整列していた。彼らの近くに下馬して待っていたのは、ザッカだ。がっちりした白馬の手綱を握ったザッカが、深々と頭を下げる。二人同時に乗れる様、長めの鞍を付けてくれたらしい。
「キーラム様」
「ああ」
キラが白馬に軽々と跨った後、マーリカに手を差し伸べた。やはり連れて行きたくないのか、まだちょっと不機嫌そうな表情だ。だが、何を言ってもマーリカが聞かないのはもう分かっているのだろう。
キラはマーリカの手をしっかりと掴むと、あぶみに足を掛けたマーリカを馬上に引っ張り上げた。
マーリカが正面を向こうとすると、腰をグイッと掴まれて動きを阻まれる。横向きに座らされたままの状態になってしまった。
「あの御方は……!?」
「いや、分からん。どういうことだ?」
細身の女性が戦場にいるなど、前代未聞のことなのだろう。待機していた兵たちがざわついた。
大勢の兵が自分たちを見ているのに、キラは気にした様子もなくマーリカの耳元で囁く。
「お嬢、核をひとつ取り出して下さい」
「え、ええ」
言われるがままに瓶からひと粒取り出すと、手のひらの上に置いた。
「そのままにしていて下さい」
「分かったわ」
一体何をするのか。マーリカが核を観察している内に、みるみる赤く膨れ上がってくる。それと同時に、魔力がキラの方に流れていくのを感じた。キラが【マグナム】を作っているのだ。
マーリカの手の上の核が魔魚の目玉ぐらいの大きさになり、中に小さな炎が宿る。キラはそれを手に取ると、兵たちに見せる様に掲げた。
「今この時より、キーラム・アルバトナ・メイテールが討伐隊の司令官となった!」
ざわついていた兵たちが、ピタッと口を閉じる。ピリッとした空気が場を占めた。
「ここにおわす我が未来の妻、ムーンシュタイナー男爵マーリカ嬢のみが作り出すことの出来る魔具【マグナム】が、メイテール領を魔物から守ってくれる!」
「へ」
ちょっと待て、今何を言った。焦ったマーリカは目を見開きキラを見上げたが、キラは兵たちの方をキリリとした顔で見ていて、マーリカを見てはくれなかった。
「マーリカ嬢は、我が領の勝利の女神だ!」
キラが叫びながら、背後に控えていたザッカを振り返る。
「上空で射れ」
「はっ」
キラが力一杯空に向けて【マグナム】を投げると、素早い動きで弓を構えたザッカが【マグナム】目掛けて矢を放った。
矢は音を立てながら風を切り。
ドウウウウウウンッ!!!!
大きな火花と共に、【マグナム】が爆ぜた。
キラが、兵たちに向けて叫ぶ。
「我らには勝利の女神がついている!」
シン、とした直後。
「キーラム様! 御子様!」
「マーリカ様! 勝利の女神よ!」
地が揺れるほどの歓声の中、キラは腰に下げていた剣を抜き、天に向けて掲げる。
「勝利を我らの手に!」
「勝利を我らの手に!!!!」
「全軍、行軍せよ!」
ウオオオオオオオオッ! という鬨の声を合図に、キラは白馬を森に向けた。
「キラ! マーリカ嬢!」
目に眩しい七色の鎧に身を包んだユーリスが、キラッキラに太陽光を反射させながら手を振る。だが、目が眩んで表情がよく見えなかった。あれはムーンシュタイナー名物のひとつ、魔魚の鱗の鎧だ。王都に持っていった物をそのまま着てきたらしい。
「あれ、あんなに眩しくなるんですか」
自分の腕に抱えた魔魚の鱗が縫い込まれた鎧を見ながら、キラが頬を引き攣らせつつ呟く。
「そうみたいねえ」
マーリカが、片手をそっと自身の頬に当てて軽く首を傾げた。
「でも、魔物の目も眩みそうよね」
「その前に周りの人間の目がやられそうですけどね」
満面の笑みでこちらに駆け寄ってくるユーリスを実に嫌そうな目つきで見ていたキラが、ハッとした。
「なるほど、目が眩むと」
「どうしたの?」
ムーンシュタイナー領の皆が準備してくれた魔魚の鱗の鎧は、通常の金属製の鎧とは違い皮の服に鱗が縫い付けられている。その為非常に軽量な上、動きやすい。金属の鎧に比べれば衝撃に弱いが、そこは抜かりなく皮を二重にして補強してあった。名匠スティーブの力作である。
キラは自分の鎧をサッと頭から被った。その途端、走ってきていたユーリスが「うっ!」と瞼を押さえて止まる。光に目が眩んだらしい。
「なかなかいい効果ですね」
キラは満足げに頷いた。
次いで、マーリカに向き直る。腕の下や横腹は、革紐を金具に通しギュッと引くことで固定する仕様になっている。その為キラは、端正な顔も鎧もキラキラさせながら、マーリカに頼んだ。
「お嬢、固定していただいても?」
「ええ、勿論よ!」
両手を左右に掲げたキラは、せっせと革紐を絞るマーリカを見て、絶対に他の人間には見せない様な艶やかな笑みを浮かべる。
「お嬢のは、俺がやりますからね」
「え? ええ、でも自分で着られる様にもならないと……」
「やりますから」
「……」
キラの笑顔の圧は凄い。マーリカはコクコクと頷いた。
宣言通り、キラはマーリカに鎧を着させた。隙間などない様にギュッと絞られて若干苦しいが、「魔泉に行くんですよ?」と言われれば、反論出来ない。
そんな二人の様子を生ぬるい目で見守っていたユーリスが、支度を終えた二人に改めて声を掛けた。
「この防具は素晴らしいな。こちらに向かう最中に魔物の襲撃に遭ったんだが、向こうの魔法攻撃を全部跳ね返してくれたぞ」
「えっそうなんですか!?」
刃物類を一切通さない頑丈さが売りだと思っていたが、思いも寄らない追加効果があったらしい。これはいいことを聞いた、とマーリカは心の中で拳を握り締めた。販売単価が上げられるからだ。
「あれ? マーリカ嬢はこの効果を知らなかったのかい? 向こうからの攻撃が全部相手に返って勝手に自滅してくれるから、お陰で魔力も温存出来た」
立派な顎でニカッと笑ったユーリスが、背後を振り返る。荷物を降ろし終わった彼の下につく兵たちは、再び馬上に戻りつつあった。
「これは是非とも全員に行き渡らせたいと思った。だから部下をムーンシュタイナー領に向かわせ、増産依頼を掛けたところだ」
「全員に……!」
戦争で儲けるのは本意ではないが、相手は理屈の通じない魔物だ。それに人命救助になるのだから、とマーリカは自分を納得させた。
そこへ無表情のキラが口を挟む。
「勿論請求は国に行くんですよね?」
とにかく大事なのは踏み倒されないことだと言わんばかりのキラの問いに、ユーリスは苦笑した。
「勿論! 商品代はきちんと国から支払われるぞ」
「そうだといいんですけど……」
ムーンシュタイナー領の危機にも、金も兵力も割かなかった国王だ。本当に大丈夫だろうかという不安が、マーリカの顔にも出ていたのだろう。
マーリカを見たユーリスが、腕で口元を隠しながら、可笑しそうに笑い出す。
「心配しなくても大丈夫だ。本当にもう、国王の狼狽ぶりを是非とも二人にも見せてやりたかったよ」
「狼狽、ですか?」
自国の国王についてこうもはっきり笑うのは不敬罪に当たらないかと心配したが、そもそもユーリスは騎士団の派兵を国王に断られている身だ。自国の国境を守る砦であるメイテール領を見捨てたとも思える保身のみの行動に、国王に対する敬意は激減しているのかもしれなかった。
人心掌握出来ない国王が統べる国。それがウィスロー王国の現状なのだとしたら、将来がかなり不安ではあった。
だが、笑顔のユーリスからは憂いの色は窺えない。ひたすら可笑しそうにクックッと笑っているだけだ。
「マーリカ嬢。君の父君はとんでもない男だったんだな」
「はあ」
よく分からない。だがしかし、今はそんなことを言っているではないだろう。
そんな雰囲気を感じ取ったのか、ユーリスがポン! と手を叩く。
「――よし! では、そろそろ向かおうか!」
「そうですね」
三人が城門の外へ出ると、ユーリスの兵団は騎乗し整列していた。彼らの近くに下馬して待っていたのは、ザッカだ。がっちりした白馬の手綱を握ったザッカが、深々と頭を下げる。二人同時に乗れる様、長めの鞍を付けてくれたらしい。
「キーラム様」
「ああ」
キラが白馬に軽々と跨った後、マーリカに手を差し伸べた。やはり連れて行きたくないのか、まだちょっと不機嫌そうな表情だ。だが、何を言ってもマーリカが聞かないのはもう分かっているのだろう。
キラはマーリカの手をしっかりと掴むと、あぶみに足を掛けたマーリカを馬上に引っ張り上げた。
マーリカが正面を向こうとすると、腰をグイッと掴まれて動きを阻まれる。横向きに座らされたままの状態になってしまった。
「あの御方は……!?」
「いや、分からん。どういうことだ?」
細身の女性が戦場にいるなど、前代未聞のことなのだろう。待機していた兵たちがざわついた。
大勢の兵が自分たちを見ているのに、キラは気にした様子もなくマーリカの耳元で囁く。
「お嬢、核をひとつ取り出して下さい」
「え、ええ」
言われるがままに瓶からひと粒取り出すと、手のひらの上に置いた。
「そのままにしていて下さい」
「分かったわ」
一体何をするのか。マーリカが核を観察している内に、みるみる赤く膨れ上がってくる。それと同時に、魔力がキラの方に流れていくのを感じた。キラが【マグナム】を作っているのだ。
マーリカの手の上の核が魔魚の目玉ぐらいの大きさになり、中に小さな炎が宿る。キラはそれを手に取ると、兵たちに見せる様に掲げた。
「今この時より、キーラム・アルバトナ・メイテールが討伐隊の司令官となった!」
ざわついていた兵たちが、ピタッと口を閉じる。ピリッとした空気が場を占めた。
「ここにおわす我が未来の妻、ムーンシュタイナー男爵マーリカ嬢のみが作り出すことの出来る魔具【マグナム】が、メイテール領を魔物から守ってくれる!」
「へ」
ちょっと待て、今何を言った。焦ったマーリカは目を見開きキラを見上げたが、キラは兵たちの方をキリリとした顔で見ていて、マーリカを見てはくれなかった。
「マーリカ嬢は、我が領の勝利の女神だ!」
キラが叫びながら、背後に控えていたザッカを振り返る。
「上空で射れ」
「はっ」
キラが力一杯空に向けて【マグナム】を投げると、素早い動きで弓を構えたザッカが【マグナム】目掛けて矢を放った。
矢は音を立てながら風を切り。
ドウウウウウウンッ!!!!
大きな火花と共に、【マグナム】が爆ぜた。
キラが、兵たちに向けて叫ぶ。
「我らには勝利の女神がついている!」
シン、とした直後。
「キーラム様! 御子様!」
「マーリカ様! 勝利の女神よ!」
地が揺れるほどの歓声の中、キラは腰に下げていた剣を抜き、天に向けて掲げる。
「勝利を我らの手に!」
「勝利を我らの手に!!!!」
「全軍、行軍せよ!」
ウオオオオオオオオッ! という鬨の声を合図に、キラは白馬を森に向けた。
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