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42 事の始まり
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そう。マーリカは思い出したのだ。以前船の上で、サイファがマーリカに「これまでのことをどう思っている」と聞き、マーリカが「起きてしまったことは仕方ない」と答えたら、ありがとうと抱き締められたことを。
何故サイファはそんなことを聞いたのか。
答えは簡単だ。黒竜を放ったのが、ゴルゴア王国だからだ。だからサイファは責任を感じた。だからサイファは、マーリカが前向きな言葉を告げるとありがとうと言った。
つまり、黒竜の到来は自然発生的なものではない。人為的なものだ。そう考えれば、今回魔物がメイテール領で暴れている理由も自ずと知れるのではないか。
「ちょっと待て! ゴルゴアが落としただと!? 一体どういうことだ!」
マーリカとサイファの話を聞いていたキラが、血相を変えてサイファの元に駆け寄り掴み掛かる。
「おいサイファ! 説明しろ!」
キラの剣幕に、サイファは両手を挙げて降参の意を表した。
「キラ落ち着け。勿論ちゃんと説明するさ。アイツらの暴挙には、俺もいい加減腹に据えかねていたからな」
「アイツら? おい、意味が分からないぞ」
キラが訝しげな表情を浮かべると、サイファはこれまで黙って聞いていたムーンシュタイナー卿とユーリスを見た後、深々と頭を下げた。
「嘘偽りのない話をしたい。なるべくお時間は取らせない様にするから、聞いていただけないだろうか」
ユーリスとムーンシュタイナー卿が、顔を見合わせる。ムーンシュタイナー卿がどうぞと手で合図を送ると、ユーリスがこくりと頷いた。
「嘘偽りのないという貴方の言葉を信じましょう。サイファール・レイ・ゴルゴア王子」
「……ま、バレてるよな、あんたには」
サイファは苦笑しながら頭をぼりぼりと掻くと、彼が知り得る限りの情報を語り出した。
◇
事の発端は、帝国メグダボルの次期皇帝選出の条件となる『英雄の称号』獲得競争に、帝国の第四皇子のアルム・メグダボルと第五皇子で双子の弟、セルム・メグダボルがあっさりと負けてしまったことにある。
精霊の祝福と言われる『英雄の称号』を複数手に入れていたのならば、見込みのある有能な皇子として次期皇帝の補佐として任命されていたかもしれない。だが、彼らが手に入れたのは僅かひとりひとつずつで、それも後の調査によれば、他の皇子が得た物を奪って手に入れたものだったという。
皇帝は、このことを軽く受け止めなかった。妃を幾人も迎え皇子を十人も持つ好色家と名高い皇帝ではあるが、長年大陸一の国土を誇るメグダボルに安寧をもたらしただけあり、非常に優れた為政者であった。
端的に言えば、公私混同をしない冷酷な面があるのだ。
だが、確たる証拠が得られない。何故なら、同伴した護衛たちは軒並み死んでしまったからだ。死人に口なしとはよく言ったもので、そのお陰でアルムとセルムは皇帝の追求から逃れることが出来た。こうなると、国政には参加させずとも、幽閉や爵位剥奪などの刑に処すことは叶わない。
そうこうしている内に、アルムとセルムは母親の母国であるゴルゴア王国へ遊学という名義で逃げてしまった。次期皇帝に内定した第二皇子の失脚を待つのか、それともそもそも権力には興味がないのか。双子の意図は全く読めなかったが、母親を帝国メグダボルに置いてきていることもあり、あからさまな妨害はしないだろう、と当初は思われていた。
ゴルゴア王国としては、現国王の妹の子供で、しかも大国メグダボルの皇子である。日頃から評判がよくないとはいえ、冷遇する訳にもいかない。皇帝が実際に二人のことをどう考えているかが分からない以上、下手に扱うことは出来なかった。
最初の数ヶ月は、双子は大人しく過ごしていた。だが平穏だったのはその数ヶ月だけで、段々と彼らの素行が明らかになってくる。
兄のアルムは大の女好きで、夜伽に専門の女性を呼んでいるまではまだよかった。それが段々と城に勤める侍女や舞踏会で出会った貴族令嬢へと広がっていくにつれ、アルムは危険だと影で噂されるようになった。
だが、腐っても大国の皇子だ。うまく立ち回れば、皇子妃となれるかもしれない。野望を諦め切れない女たちに囲まれたアルムは、やがて王宮の一室に自分専用のハーレムを作り始めた。
これには国王も王太子も苦言を呈したが、自国は一夫多妻制が認められているのだと主張されてしまう。滞在国が一夫多妻を認めないからといって、国賓の国の法律を尊重せず自国の法に基づき裁くのか、と詰め寄られた。
国際問題に発展させてもいいのだぞと言われてしまえば、令嬢側からの苦情がないことから、それ以上深く追求することが出来なくなった。
弟のセルムは、兄とは違い人間嫌いが顕著だった。基本は王立図書館に引きこもり、読書の日々だ。こちらの皇子は問題なさそうだとゴルゴア側は安堵していたが、それも束の間だった。
やがて暇を持て余し始めたセルムは、王宮にある魔導研究所に興味を示し始める。その時、魔導研究所は魔物と魔泉の研究を行なっているところだった。
各地に突如として現れる魔泉。何故突然現れるのか、魔法で封印する以外に手立てはないのか。当初は、国に平和をもたらす為の研究だったのだ。
それがいつからか、魔泉を強制的に広げたら敵国に大量の魔物を放てるのでは、魔泉を広げて出てくることが可能になった大型魔物を人間が制御して、敵国への攻撃に使えないか、といった方向へと研究が切り替わっていた。
元々、研究者は研究熱心だ。そこに倫理観の欠けた権限を持つ者が仲間に加わった所為で、心の奥で疑問に思っていた「もしも」の研究が行なえる様になってしまったのだ。
その後双子は、国で一番の権力者である国王に狙いを定めた。
アルムは、第一王子の生みの親である正妃と国王が昔から不仲であり、第一王子誕生後に迎えた妾の方を溺愛していることに目をつけた。
不仲な正妃以外、妃とは認められない。だが国王は、いつも明るく聡明な平民出の妾を妃と呼べたらどんなにかいいか、と常日頃思っていた。
第二王子は権力に興味がない様に見える。だが、それが本心かと問われれば、国王には分からなかった。その為、愛する妾との間に生まれた可愛い子であるが故に、国王は我が国にも一夫多妻制が導入出来れば、と考える様になってしまった。
セルムはというと、帝国メグダボルは年々弱体化しており、古臭い『英雄の称号』の契約も時代遅れだと説いた。もし自分たちが皇帝になった暁には、ゴルゴア王国は一番の友好国となり恩恵を受けることができるだろうとも囁く。
魔物と魔泉の研究を進めれば、それも不可能な話ではない。強大な魔物を意図的にメグダボルに送り出せば、大陸の覇者となるのは我々だ。
二人とも、はっきりとは言わなかった。言葉を巧みに操りながら、少しずつ少しずつ、国王を洗脳していったのだ。王太子が気付いた時には、国王は双子に取り込まれた後だった。双子は国王に同情し、国王が欲しい言葉のみを奏でた。
心地よい言葉ばかりを聞かされた国王は、それを諫言だと受け取れないほど、双子に傾倒してしまっていた。
無論、王太子もサイファも、国王に目を覚ましてもらいたいと必死で訴えかけた。双子にも、他国に無期限で滞在するだけでなく国王をたぶらかすなど何事か、と幾度も噛み付いた。
だが、セルム率いる魔導研究所は、闇の魔具や闇魔法で魔泉を広げられることを発見してしまった。そこから出てきた大型の魔物の核に特殊な紋が組み込まれた魔法陣を展開し、枷をつけることに成功してしまった。
黒竜は、炎に特化した枷を付与されていた。だが、枷も必ずしも完全にかけられる訳ではなく、時には失敗もする。術者側の問題か、黒竜の持つ抵抗力が高すぎたのか、黒竜は命じられて同族の竜と死闘をさせられていた時、突然逃げ出した。
黒竜は枷に抗う様に飛びに飛んで、やがて力尽きて隣国のとある領に墜落する。黒龍はもう立ち上がることが出来ず、その場で身体の中に刻まれた枷を吐き出すかの如く炎を吐き出し続けた。
マーリカが水魔法で火を収めるまで、ずっと。
何故サイファはそんなことを聞いたのか。
答えは簡単だ。黒竜を放ったのが、ゴルゴア王国だからだ。だからサイファは責任を感じた。だからサイファは、マーリカが前向きな言葉を告げるとありがとうと言った。
つまり、黒竜の到来は自然発生的なものではない。人為的なものだ。そう考えれば、今回魔物がメイテール領で暴れている理由も自ずと知れるのではないか。
「ちょっと待て! ゴルゴアが落としただと!? 一体どういうことだ!」
マーリカとサイファの話を聞いていたキラが、血相を変えてサイファの元に駆け寄り掴み掛かる。
「おいサイファ! 説明しろ!」
キラの剣幕に、サイファは両手を挙げて降参の意を表した。
「キラ落ち着け。勿論ちゃんと説明するさ。アイツらの暴挙には、俺もいい加減腹に据えかねていたからな」
「アイツら? おい、意味が分からないぞ」
キラが訝しげな表情を浮かべると、サイファはこれまで黙って聞いていたムーンシュタイナー卿とユーリスを見た後、深々と頭を下げた。
「嘘偽りのない話をしたい。なるべくお時間は取らせない様にするから、聞いていただけないだろうか」
ユーリスとムーンシュタイナー卿が、顔を見合わせる。ムーンシュタイナー卿がどうぞと手で合図を送ると、ユーリスがこくりと頷いた。
「嘘偽りのないという貴方の言葉を信じましょう。サイファール・レイ・ゴルゴア王子」
「……ま、バレてるよな、あんたには」
サイファは苦笑しながら頭をぼりぼりと掻くと、彼が知り得る限りの情報を語り出した。
◇
事の発端は、帝国メグダボルの次期皇帝選出の条件となる『英雄の称号』獲得競争に、帝国の第四皇子のアルム・メグダボルと第五皇子で双子の弟、セルム・メグダボルがあっさりと負けてしまったことにある。
精霊の祝福と言われる『英雄の称号』を複数手に入れていたのならば、見込みのある有能な皇子として次期皇帝の補佐として任命されていたかもしれない。だが、彼らが手に入れたのは僅かひとりひとつずつで、それも後の調査によれば、他の皇子が得た物を奪って手に入れたものだったという。
皇帝は、このことを軽く受け止めなかった。妃を幾人も迎え皇子を十人も持つ好色家と名高い皇帝ではあるが、長年大陸一の国土を誇るメグダボルに安寧をもたらしただけあり、非常に優れた為政者であった。
端的に言えば、公私混同をしない冷酷な面があるのだ。
だが、確たる証拠が得られない。何故なら、同伴した護衛たちは軒並み死んでしまったからだ。死人に口なしとはよく言ったもので、そのお陰でアルムとセルムは皇帝の追求から逃れることが出来た。こうなると、国政には参加させずとも、幽閉や爵位剥奪などの刑に処すことは叶わない。
そうこうしている内に、アルムとセルムは母親の母国であるゴルゴア王国へ遊学という名義で逃げてしまった。次期皇帝に内定した第二皇子の失脚を待つのか、それともそもそも権力には興味がないのか。双子の意図は全く読めなかったが、母親を帝国メグダボルに置いてきていることもあり、あからさまな妨害はしないだろう、と当初は思われていた。
ゴルゴア王国としては、現国王の妹の子供で、しかも大国メグダボルの皇子である。日頃から評判がよくないとはいえ、冷遇する訳にもいかない。皇帝が実際に二人のことをどう考えているかが分からない以上、下手に扱うことは出来なかった。
最初の数ヶ月は、双子は大人しく過ごしていた。だが平穏だったのはその数ヶ月だけで、段々と彼らの素行が明らかになってくる。
兄のアルムは大の女好きで、夜伽に専門の女性を呼んでいるまではまだよかった。それが段々と城に勤める侍女や舞踏会で出会った貴族令嬢へと広がっていくにつれ、アルムは危険だと影で噂されるようになった。
だが、腐っても大国の皇子だ。うまく立ち回れば、皇子妃となれるかもしれない。野望を諦め切れない女たちに囲まれたアルムは、やがて王宮の一室に自分専用のハーレムを作り始めた。
これには国王も王太子も苦言を呈したが、自国は一夫多妻制が認められているのだと主張されてしまう。滞在国が一夫多妻を認めないからといって、国賓の国の法律を尊重せず自国の法に基づき裁くのか、と詰め寄られた。
国際問題に発展させてもいいのだぞと言われてしまえば、令嬢側からの苦情がないことから、それ以上深く追求することが出来なくなった。
弟のセルムは、兄とは違い人間嫌いが顕著だった。基本は王立図書館に引きこもり、読書の日々だ。こちらの皇子は問題なさそうだとゴルゴア側は安堵していたが、それも束の間だった。
やがて暇を持て余し始めたセルムは、王宮にある魔導研究所に興味を示し始める。その時、魔導研究所は魔物と魔泉の研究を行なっているところだった。
各地に突如として現れる魔泉。何故突然現れるのか、魔法で封印する以外に手立てはないのか。当初は、国に平和をもたらす為の研究だったのだ。
それがいつからか、魔泉を強制的に広げたら敵国に大量の魔物を放てるのでは、魔泉を広げて出てくることが可能になった大型魔物を人間が制御して、敵国への攻撃に使えないか、といった方向へと研究が切り替わっていた。
元々、研究者は研究熱心だ。そこに倫理観の欠けた権限を持つ者が仲間に加わった所為で、心の奥で疑問に思っていた「もしも」の研究が行なえる様になってしまったのだ。
その後双子は、国で一番の権力者である国王に狙いを定めた。
アルムは、第一王子の生みの親である正妃と国王が昔から不仲であり、第一王子誕生後に迎えた妾の方を溺愛していることに目をつけた。
不仲な正妃以外、妃とは認められない。だが国王は、いつも明るく聡明な平民出の妾を妃と呼べたらどんなにかいいか、と常日頃思っていた。
第二王子は権力に興味がない様に見える。だが、それが本心かと問われれば、国王には分からなかった。その為、愛する妾との間に生まれた可愛い子であるが故に、国王は我が国にも一夫多妻制が導入出来れば、と考える様になってしまった。
セルムはというと、帝国メグダボルは年々弱体化しており、古臭い『英雄の称号』の契約も時代遅れだと説いた。もし自分たちが皇帝になった暁には、ゴルゴア王国は一番の友好国となり恩恵を受けることができるだろうとも囁く。
魔物と魔泉の研究を進めれば、それも不可能な話ではない。強大な魔物を意図的にメグダボルに送り出せば、大陸の覇者となるのは我々だ。
二人とも、はっきりとは言わなかった。言葉を巧みに操りながら、少しずつ少しずつ、国王を洗脳していったのだ。王太子が気付いた時には、国王は双子に取り込まれた後だった。双子は国王に同情し、国王が欲しい言葉のみを奏でた。
心地よい言葉ばかりを聞かされた国王は、それを諫言だと受け取れないほど、双子に傾倒してしまっていた。
無論、王太子もサイファも、国王に目を覚ましてもらいたいと必死で訴えかけた。双子にも、他国に無期限で滞在するだけでなく国王をたぶらかすなど何事か、と幾度も噛み付いた。
だが、セルム率いる魔導研究所は、闇の魔具や闇魔法で魔泉を広げられることを発見してしまった。そこから出てきた大型の魔物の核に特殊な紋が組み込まれた魔法陣を展開し、枷をつけることに成功してしまった。
黒竜は、炎に特化した枷を付与されていた。だが、枷も必ずしも完全にかけられる訳ではなく、時には失敗もする。術者側の問題か、黒竜の持つ抵抗力が高すぎたのか、黒竜は命じられて同族の竜と死闘をさせられていた時、突然逃げ出した。
黒竜は枷に抗う様に飛びに飛んで、やがて力尽きて隣国のとある領に墜落する。黒龍はもう立ち上がることが出来ず、その場で身体の中に刻まれた枷を吐き出すかの如く炎を吐き出し続けた。
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