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12 マグナム誕生
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マーリカは最初、キラの背中に寄りかかってみた。キラの背中は思っていたよりも広くて固く、もうこの時点でマーリカの心臓は破裂寸前の状態だ。
だが、これだとキラが爆風でひっくり返るとマーリカが潰れる。そこでキラは「俺と盾の間に入りましょうか」としれっと言った。
言われるがままにマーリカがキラに背中を向けて立ったところ、「あまり魔力が交換出来ていないかと」と言われてしまう。「俺の方に向きましょうか」と淡々と言われ、心の中で「一攫千金! 一攫千金!」と唱えてなるべく平常心を保つ努力をしながら、キラと向き合って立った。
キラが顔をしかめる。
「もう少し接触面積を増やしましょうか」
「えっ!?」
「殆ど魔力が流れてきてないですから」
キラにとさらりと言われてしまい、マーリカは戸惑った。キラが思わず無表情を徹底出来ず口の端がプルプルと歪むくらい、戸惑った。
「どっ! ど、ど、ど……っどうしたらいいの……っ!?」
「こちらを向いて俺に抱きついて下さい」
貧しく質素な生活を余儀なくされており、本人もそれに完全に慣れ切ってしまっているとはいえ、マーリカは腐っても貴族の令嬢である。未婚の令嬢が異性に抱きつくことなど、通常はあってはならない常識の中で生きてきている。
勿論中には隠れていちゃつく恋人たちもいるにはいるが、少なくともマーリカとその周辺ではありえない行為だった。それだけ色恋沙汰に縁遠かったともいう。
その為、いくら馴染みの深い従者と言えど、乗馬の際背中は預けてはいたものの、正面から抱きついたことはない。マーリカが爆風を受けて気絶をした時に腕に抱かれて運ばれているが、本人にその認識はなかった。
「……お嬢?」
至近距離から美形に見下されて、マーリカは完全に混乱状態に陥った。左右を見ては髪の毛を振り乱す様は、おしとやかさからは程遠い。
「どっ! ど、ど、どこに!?」
「ここに」
キラが、自分の腹筋辺りをさも当然とばかりに指差す。
「ひい……っ!」
「さ、早くお嬢。時間が勿体ないですから」
確かにいつまでも動揺していても、金は転がり込んでこない。マーリカは覚悟を決めた。
「――わ、分かったわ!」
決死の表情のマーリカが、勢いよくキラの胸に抱きつく。見た目よりもがっしりとした身体にくらりとしてしまったマーリカの脈拍は、全力疾走したかの様な早さだ。
だが、これは魔具制作の一環である。羞恥と緊張で今にも口から心臓が飛び出しそうに感じているマーリカは、バカ正直に確認した。
「こっ! これで、いい……のかしら!?」
あからさまに動揺して視線を彷徨わせるマーリカを、キラは珍しく微笑みながら優しく諭した。
「お嬢、ここにまだ隙間がありますよ。これで盾が爆風で押されたら、お嬢が俺にぶつかって怪我しちゃいますから。ね?」
マーリカは、心の中で「ひ、ひいいっ!」と叫びながら、盾を構えたままのキラに更にキツく抱きついた。尚、マーリカはすっかり忘れているが、そもそもキラはこれまで一度も魔具作りに失敗していない。失敗しているのはマーリカだけなので、落ち着いて考えれば「そもそも爆発することなどないので隙間があっても問題ない」ことに気付けた、かもしれない。
気付いたところでキラに言いくるめられるであろう、それがマーリカであったが。
キラは何を考えているのかよく分からない涼しげな表情のまま、盾を持った方の腕でマーリカをぎゅっと引き寄せる。
「――ッ!」
マーリカの耳に、直接キラの心臓の音が響いてきた。心なしか鼓動が早い気がするのは、落ち着いて見えるキラでも魔具に魔力を注ぐことに緊張しているのだろうか、とマーリカは考える。
すると、キラの涼やかな低い声が、触れている部分から振動になって聞こえてきた。
「……お嬢、どうです? 感じます?」
「ひえっ! え、ええ!? 何が!?」
「だから、魔力交換しているのを感じてますかってことですよ」
繰り返すが、マーリカは異性と殆ど触れ合ったことがない。その上今くっついているのは、マーリカのイチオシ、美形従者キラである。
恋愛感情というものすらいまいち理解出来ていないほど初心なマーリカだが、現在マーリカの中で一番アツいのは間違いなく目の前のキラだ。そんなキラに自ら抱きついた上、普段なら憎まれ口ばかりのキラが、今はやけに優しい。
これでは、取り乱すなという方が無理だろう。
キラが、囁き声で続ける。口の端が時折可笑しそうにピク、ピク、と動いていることに、マーリカは一切気付いていなかった。
「……俺は感じてますよ。お嬢と触れてる部分から、魔力が流れてきてますね」
「そっ! そ、そ、そう……かもしれないわっ」
「ふ……っ」
「な、なに!?」
「いえ、もう少しこのまま溜めたら、魔具制作に戻りましょうか」
「え、ええ!」
何も事情を知らない者がこの光景を見たら、眉目秀麗な騎士が姫を守る姿の様に見えただろう。内情は、資金確保の為の魔具制作の作業の一環であり、令嬢が従者に振り回されている姿だったが。
尚、実際に相性は問題ないらしく、接触面が増えた途端、本当にマーリカの魔力はどんどんキラの方に流れていった。不思議な感覚に、マーリカは目を瞑る。
「じゃあそろそろ作ってみますから、しっかりしがみついて」
「わ、分かったわ!」
キラが盾を構えた。もう片方の手を核に翳すと、真剣な眼差しで魔力を注いでいく。
元はマーリカの小指の爪程度の大きさだった黒光りしている核は、魔力を浴びてゆっくりと膨らみ始めた。赤味が増していくと、段々と表面から透過していき、最後に中心部に小さな宝石の様に揺らめく炎が灯る。
「わあ……っ! さすがキラね!」
「爆発しないでよかったですよ。さ、どんどん作りましょうか。ほら、手が緩んでますよ」
「ひ……っま、任せて!」
こうして、火の属性が詰まった魔具が二人の共同作業で完成した。これを身に着けていれば、火種がなくとも火を起こせる。旅先や家庭でも、使用用途は多岐に渡るだろう。ちなみに、力一杯ぶつければ爆発するというちょっぴり恐ろしい武器にもなる代物だ。
二人並び、木箱の中に敷き詰められた、魔魚の目玉程度の大きさに膨らんだ赤い球体を見下ろした。キラが満足げな顔をマーリカに向ける。マーリカと目が合うと、珍しく微笑んだ。
「では、これに名前を付けましょうか」
「名前? そ、そうね……」
あまり見つめられると恥ずかしい。先程までの接触もあり、マーリカは気恥ずかしさから、考えるふりをして目線を魔具に落とす。
マーリカの緑眼は、虹彩の部分が多めだからか、おっとりとして見られることが多かった。一部では「ずっと見つめられたい」と語る令息もいたが、社交界デビュー以降マーリカが一向に舞踏会に出席しない為、彼らの願いは叶わないままだ。
実は、舞踏会のエスコートをしたいという誘いの手紙も、これまで何通か届いていた。手紙には「貴女の新緑の如く輝く瞳を独り占めしたい」などという歯の浮く言葉が書いてあったりしたが、それらは全てキラとムーンシュタイナー卿が勝手に開封し、即座に断りの手紙を出していた。勿論マーリカは一切知らされていない。
「――これなんかはどうかしら!?」
マーリカがぱっと顔を上げた。頬は興奮からか桃色に染まり、それが見る者の心を時に和ませ、時にざわつかせることも、経験の足りないマーリカは知らない。
「マーリカ・グロリア・ナダス・ムーンシュタイナーの頭文字を取って、【マグナム】! なんだか格好いいんじゃないかしら!」
しれっと自分の名前を付けようとする辺りが如何にもマーリカらしいが、マーリカの提案にキラは「いいんじゃないですか」とあっさりと頷いた。
「お嬢らしい力強さが出ていると思います」
普通の令嬢なら、力強さと言われても喜びはしない。だが、マーリカは違った。
「ふふ! キラのお墨付きがあるなら、これは絶対売れるわね! 爆破くらい勢いよく売れないかしら!」
「そうですね。次は販促について考えないと……」
キラが呟いた途端、マーリカが嬉々として挙手する。
「私が店と交渉をしたいわ!」
「お嬢が交渉したら損しそうだから止めて下さい」
即座にキラに断られたマーリカは、ぷうっと頬を膨らませたのだった。
だが、これだとキラが爆風でひっくり返るとマーリカが潰れる。そこでキラは「俺と盾の間に入りましょうか」としれっと言った。
言われるがままにマーリカがキラに背中を向けて立ったところ、「あまり魔力が交換出来ていないかと」と言われてしまう。「俺の方に向きましょうか」と淡々と言われ、心の中で「一攫千金! 一攫千金!」と唱えてなるべく平常心を保つ努力をしながら、キラと向き合って立った。
キラが顔をしかめる。
「もう少し接触面積を増やしましょうか」
「えっ!?」
「殆ど魔力が流れてきてないですから」
キラにとさらりと言われてしまい、マーリカは戸惑った。キラが思わず無表情を徹底出来ず口の端がプルプルと歪むくらい、戸惑った。
「どっ! ど、ど、ど……っどうしたらいいの……っ!?」
「こちらを向いて俺に抱きついて下さい」
貧しく質素な生活を余儀なくされており、本人もそれに完全に慣れ切ってしまっているとはいえ、マーリカは腐っても貴族の令嬢である。未婚の令嬢が異性に抱きつくことなど、通常はあってはならない常識の中で生きてきている。
勿論中には隠れていちゃつく恋人たちもいるにはいるが、少なくともマーリカとその周辺ではありえない行為だった。それだけ色恋沙汰に縁遠かったともいう。
その為、いくら馴染みの深い従者と言えど、乗馬の際背中は預けてはいたものの、正面から抱きついたことはない。マーリカが爆風を受けて気絶をした時に腕に抱かれて運ばれているが、本人にその認識はなかった。
「……お嬢?」
至近距離から美形に見下されて、マーリカは完全に混乱状態に陥った。左右を見ては髪の毛を振り乱す様は、おしとやかさからは程遠い。
「どっ! ど、ど、どこに!?」
「ここに」
キラが、自分の腹筋辺りをさも当然とばかりに指差す。
「ひい……っ!」
「さ、早くお嬢。時間が勿体ないですから」
確かにいつまでも動揺していても、金は転がり込んでこない。マーリカは覚悟を決めた。
「――わ、分かったわ!」
決死の表情のマーリカが、勢いよくキラの胸に抱きつく。見た目よりもがっしりとした身体にくらりとしてしまったマーリカの脈拍は、全力疾走したかの様な早さだ。
だが、これは魔具制作の一環である。羞恥と緊張で今にも口から心臓が飛び出しそうに感じているマーリカは、バカ正直に確認した。
「こっ! これで、いい……のかしら!?」
あからさまに動揺して視線を彷徨わせるマーリカを、キラは珍しく微笑みながら優しく諭した。
「お嬢、ここにまだ隙間がありますよ。これで盾が爆風で押されたら、お嬢が俺にぶつかって怪我しちゃいますから。ね?」
マーリカは、心の中で「ひ、ひいいっ!」と叫びながら、盾を構えたままのキラに更にキツく抱きついた。尚、マーリカはすっかり忘れているが、そもそもキラはこれまで一度も魔具作りに失敗していない。失敗しているのはマーリカだけなので、落ち着いて考えれば「そもそも爆発することなどないので隙間があっても問題ない」ことに気付けた、かもしれない。
気付いたところでキラに言いくるめられるであろう、それがマーリカであったが。
キラは何を考えているのかよく分からない涼しげな表情のまま、盾を持った方の腕でマーリカをぎゅっと引き寄せる。
「――ッ!」
マーリカの耳に、直接キラの心臓の音が響いてきた。心なしか鼓動が早い気がするのは、落ち着いて見えるキラでも魔具に魔力を注ぐことに緊張しているのだろうか、とマーリカは考える。
すると、キラの涼やかな低い声が、触れている部分から振動になって聞こえてきた。
「……お嬢、どうです? 感じます?」
「ひえっ! え、ええ!? 何が!?」
「だから、魔力交換しているのを感じてますかってことですよ」
繰り返すが、マーリカは異性と殆ど触れ合ったことがない。その上今くっついているのは、マーリカのイチオシ、美形従者キラである。
恋愛感情というものすらいまいち理解出来ていないほど初心なマーリカだが、現在マーリカの中で一番アツいのは間違いなく目の前のキラだ。そんなキラに自ら抱きついた上、普段なら憎まれ口ばかりのキラが、今はやけに優しい。
これでは、取り乱すなという方が無理だろう。
キラが、囁き声で続ける。口の端が時折可笑しそうにピク、ピク、と動いていることに、マーリカは一切気付いていなかった。
「……俺は感じてますよ。お嬢と触れてる部分から、魔力が流れてきてますね」
「そっ! そ、そ、そう……かもしれないわっ」
「ふ……っ」
「な、なに!?」
「いえ、もう少しこのまま溜めたら、魔具制作に戻りましょうか」
「え、ええ!」
何も事情を知らない者がこの光景を見たら、眉目秀麗な騎士が姫を守る姿の様に見えただろう。内情は、資金確保の為の魔具制作の作業の一環であり、令嬢が従者に振り回されている姿だったが。
尚、実際に相性は問題ないらしく、接触面が増えた途端、本当にマーリカの魔力はどんどんキラの方に流れていった。不思議な感覚に、マーリカは目を瞑る。
「じゃあそろそろ作ってみますから、しっかりしがみついて」
「わ、分かったわ!」
キラが盾を構えた。もう片方の手を核に翳すと、真剣な眼差しで魔力を注いでいく。
元はマーリカの小指の爪程度の大きさだった黒光りしている核は、魔力を浴びてゆっくりと膨らみ始めた。赤味が増していくと、段々と表面から透過していき、最後に中心部に小さな宝石の様に揺らめく炎が灯る。
「わあ……っ! さすがキラね!」
「爆発しないでよかったですよ。さ、どんどん作りましょうか。ほら、手が緩んでますよ」
「ひ……っま、任せて!」
こうして、火の属性が詰まった魔具が二人の共同作業で完成した。これを身に着けていれば、火種がなくとも火を起こせる。旅先や家庭でも、使用用途は多岐に渡るだろう。ちなみに、力一杯ぶつければ爆発するというちょっぴり恐ろしい武器にもなる代物だ。
二人並び、木箱の中に敷き詰められた、魔魚の目玉程度の大きさに膨らんだ赤い球体を見下ろした。キラが満足げな顔をマーリカに向ける。マーリカと目が合うと、珍しく微笑んだ。
「では、これに名前を付けましょうか」
「名前? そ、そうね……」
あまり見つめられると恥ずかしい。先程までの接触もあり、マーリカは気恥ずかしさから、考えるふりをして目線を魔具に落とす。
マーリカの緑眼は、虹彩の部分が多めだからか、おっとりとして見られることが多かった。一部では「ずっと見つめられたい」と語る令息もいたが、社交界デビュー以降マーリカが一向に舞踏会に出席しない為、彼らの願いは叶わないままだ。
実は、舞踏会のエスコートをしたいという誘いの手紙も、これまで何通か届いていた。手紙には「貴女の新緑の如く輝く瞳を独り占めしたい」などという歯の浮く言葉が書いてあったりしたが、それらは全てキラとムーンシュタイナー卿が勝手に開封し、即座に断りの手紙を出していた。勿論マーリカは一切知らされていない。
「――これなんかはどうかしら!?」
マーリカがぱっと顔を上げた。頬は興奮からか桃色に染まり、それが見る者の心を時に和ませ、時にざわつかせることも、経験の足りないマーリカは知らない。
「マーリカ・グロリア・ナダス・ムーンシュタイナーの頭文字を取って、【マグナム】! なんだか格好いいんじゃないかしら!」
しれっと自分の名前を付けようとする辺りが如何にもマーリカらしいが、マーリカの提案にキラは「いいんじゃないですか」とあっさりと頷いた。
「お嬢らしい力強さが出ていると思います」
普通の令嬢なら、力強さと言われても喜びはしない。だが、マーリカは違った。
「ふふ! キラのお墨付きがあるなら、これは絶対売れるわね! 爆破くらい勢いよく売れないかしら!」
「そうですね。次は販促について考えないと……」
キラが呟いた途端、マーリカが嬉々として挙手する。
「私が店と交渉をしたいわ!」
「お嬢が交渉したら損しそうだから止めて下さい」
即座にキラに断られたマーリカは、ぷうっと頬を膨らませたのだった。
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