278 / 731
第二章 中級編開始
第277話 魔術師リアムの中級編四日目の飲み会で一致団結
しおりを挟む
何故皆一様に示し合わせた様に橋本に報告をするのか。理由は一つしかない。
「久住社長が何も手を打たれないので、唯一羽田さんが苦手な私を皆が頼ってくるんですよ」
言い切った。会社の最高権力者に向かって、きっぱりはっきりと。思うに、橋本も羽田避けとして散々皆に利用され、いい加減うんざりしていたのだろう。
「で、過去に何があったんです?」
橋本がいい声で尋ねた。橋本、田端と二人並んで久住社長に圧をかけている。久住社長はそれに耐えられなくなったのだろう、反対側に座る祐介を見てにっこりとあの圧たっぷりの笑顔を返され、その隣にいるツンツン頭の佐川を見てようやくホッとした顔をしたところで、今度は佐川が言った。
「俺が聞いた話ですと、何か麗子さんとお付き合いされる時のいざこざに関わったとかなかったとか。あとは早川さん絡みでも何かある様なことを前にちらっと聞きましたよー」
「えっ早川さんがどうしたの!?」
早川ユメのことが気になる山口が、隣の佐川の肩をゆっさゆっさ揺すった。
リアムが隣の久住社長をちらっと盗み見ると、明らかに動揺している。おしぼりを手に持ち、額をぬぐい始めた。
「は、ははは、何言ってんの佐川くん」
佐川は怯まない。むしろ非常に楽しそうである。
「俺、これは羽田さんから聞いたんっすよねー。随分前ですけど! だから何あったかなーと思ってそれとなく麗子さんに聞いて」
「お前何勝手に聞いてるんだよ!」
久住社長が怒鳴った。場が一瞬でシン、となる。周りの客も突然の怒鳴り声に驚いたに違いない、店全体が一瞬静かになってしまった。暫くして周りのざわざわ声が再度聞こえ始めたが、中には「喧嘩かな」「怒鳴る人ってやあね」などの意見も同時に聞こえた。これは勿論久住社長にも聞こえているに違いない。
佐川は、驚いた顔をしながらも、それでも続けた。強い。
「……聞いたんですけど、何だろうって首を傾げてたから、ああ、麗子さんの知らないところで何かあったんだなっていう予想はしてたんですけどね」
佐川が笑顔のまま身を乗り出した。
「久住社長、ここにいるメンバーなら他言しませんから、もう洗いざらい話してスッキリしちゃいませんか? 俺達、社長が困ってるのを見てるのは辛いんスよ」
ちっとも辛くなんか思っていなそうな表情で、佐川がぺらっぺらの台詞を吐いた。ここまで来ると見事の一言である。
橋本も援護する。
「きちんとお話してくれるなら、三階のメンバーで協力して羽田さんを何とかしてみせますよ。まあ私もいますし」
久住社長が追い詰められた小リスの様に怯えているのが見て取れたが、誰一人助けようとはしなかった。
「久住社長が何も手を打たれないので、唯一羽田さんが苦手な私を皆が頼ってくるんですよ」
言い切った。会社の最高権力者に向かって、きっぱりはっきりと。思うに、橋本も羽田避けとして散々皆に利用され、いい加減うんざりしていたのだろう。
「で、過去に何があったんです?」
橋本がいい声で尋ねた。橋本、田端と二人並んで久住社長に圧をかけている。久住社長はそれに耐えられなくなったのだろう、反対側に座る祐介を見てにっこりとあの圧たっぷりの笑顔を返され、その隣にいるツンツン頭の佐川を見てようやくホッとした顔をしたところで、今度は佐川が言った。
「俺が聞いた話ですと、何か麗子さんとお付き合いされる時のいざこざに関わったとかなかったとか。あとは早川さん絡みでも何かある様なことを前にちらっと聞きましたよー」
「えっ早川さんがどうしたの!?」
早川ユメのことが気になる山口が、隣の佐川の肩をゆっさゆっさ揺すった。
リアムが隣の久住社長をちらっと盗み見ると、明らかに動揺している。おしぼりを手に持ち、額をぬぐい始めた。
「は、ははは、何言ってんの佐川くん」
佐川は怯まない。むしろ非常に楽しそうである。
「俺、これは羽田さんから聞いたんっすよねー。随分前ですけど! だから何あったかなーと思ってそれとなく麗子さんに聞いて」
「お前何勝手に聞いてるんだよ!」
久住社長が怒鳴った。場が一瞬でシン、となる。周りの客も突然の怒鳴り声に驚いたに違いない、店全体が一瞬静かになってしまった。暫くして周りのざわざわ声が再度聞こえ始めたが、中には「喧嘩かな」「怒鳴る人ってやあね」などの意見も同時に聞こえた。これは勿論久住社長にも聞こえているに違いない。
佐川は、驚いた顔をしながらも、それでも続けた。強い。
「……聞いたんですけど、何だろうって首を傾げてたから、ああ、麗子さんの知らないところで何かあったんだなっていう予想はしてたんですけどね」
佐川が笑顔のまま身を乗り出した。
「久住社長、ここにいるメンバーなら他言しませんから、もう洗いざらい話してスッキリしちゃいませんか? 俺達、社長が困ってるのを見てるのは辛いんスよ」
ちっとも辛くなんか思っていなそうな表情で、佐川がぺらっぺらの台詞を吐いた。ここまで来ると見事の一言である。
橋本も援護する。
「きちんとお話してくれるなら、三階のメンバーで協力して羽田さんを何とかしてみせますよ。まあ私もいますし」
久住社長が追い詰められた小リスの様に怯えているのが見て取れたが、誰一人助けようとはしなかった。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
異世界楽々通販サバイバル
shinko
ファンタジー
最近ハマりだしたソロキャンプ。
近くの山にあるキャンプ場で泊っていたはずの伊田和司 51歳はテントから出た瞬間にとてつもない違和感を感じた。
そう、見上げた空には大きく輝く2つの月。
そして山に居たはずの自分の前に広がっているのはなぜか海。
しばらくボーゼンとしていた和司だったが、軽くストレッチした後にこうつぶやいた。
「ついに俺の番が来たか、ステータスオープン!」
【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!
桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。
「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。
異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。
初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!
お人好し底辺テイマーがSSSランク聖獣たちともふもふ無双する
大福金
ファンタジー
次世代ファンタジーカップ【ユニークキャラクター賞】受賞作
《あらすじ》
この世界では12歳になると、自分に合ったジョブが決まる。これは神からのギフトとされこの時に人生が決まる。
皆、華やかなジョブを希望するが何に成るかは神次第なのだ。
そんな中俺はジョブを決める12歳の洗礼式で【魔物使い】テイマーになった。
花形のジョブではないが動物は好きだし俺は魔物使いと言うジョブを気にいっていた。
ジョブが決まれば12歳から修行にでる。15歳になるとこのジョブでお金を稼ぐ事もできるし。冒険者登録をして世界を旅しながらお金を稼ぐ事もできる。
この時俺はまだ見ぬ未来に期待していた。
だが俺は……一年たっても二年たっても一匹もテイム出来なかった。
犬や猫、底辺魔物のスライムやゴブリンでさえテイム出来ない。
俺のジョブは本当に魔物使いなのか疑うほどに。
こんな俺でも同郷のデュークが冒険者パーティー【深緑の牙】に仲間に入れてくれた。
俺はメンバーの為に必死に頑張った。
なのに……あんな形で俺を追放なんて‼︎
そんな無能な俺が後に……
SSSランクのフェンリルをテイム(使役)し無双する
主人公ティーゴの活躍とは裏腹に
深緑の牙はどんどん転落して行く……
基本ほのぼのです。可愛いもふもふフェンリルを愛でます。
たまに人の為にもふもふ無双します。
ざまぁ後は可愛いもふもふ達とのんびり旅をして行きます。
もふもふ仲間はどんどん増えて行きます。可愛いもふもふ仲間達をティーゴはドンドン無自覚にタラシこんでいきます。
他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!
七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる