135 / 731
第一章 初級編開始
第134話 OLサツキの初級編三日目の特訓、反旗を翻す僧侶に振り回される
しおりを挟む
ぬりかべモンスターは三体。左右にいるニ体は先程と同じ紫色の奴だが、真ん中のは少し色が黒く、何か周りから黒いオーラが出ている様に見える。ちょっと強そうだ。
ウルスラとアールは戦闘に参加するのかな、そう思って後ろを振り向くと、ユラがサツキの腕を引っ張って前を向かせた。
「サツキ、レアものはいいアイテムを落としやすい。一気にやるぞ!」
「わ、分かった! 指示をお願いします!」
ユラは二人でやる気なのだ。折角なら二人じゃなくて四人で戦った方が効率も良さそうだと思うが、まだ怒りが治まらないのかもしれない。用無しと言われたのがショックだったんだろう。冗談なのに。
「さっきのミティアは単体攻撃なんだよな。攻撃力強いんだけど、そこが使いにくい点だ」
「え? あれ単体向けなの?」
何て無駄な火力だ。
ユラが後ろをちらっとだけ見る。
「本当はこいつらは魔法じゃなくてひたすら物理攻撃を繰り返すのが効果的なんだけど、まあ俺とサツキしかいないから仕方ない」
「いや、あの、協力しようよ……」
「嫌だね」
子供みたいなへその曲げっぷりだ。ユラは結構根に持つタイプの様だ。サツキは諦めることにした。
「分かったよ。じゃあ何を唱えればいい?」
すると、ユラがじっとサツキを見つめる。その真剣な眼差しに、そういやユラも相当なイケメンだよな、と思ってついドギマギしてしまった。そんな見つめられると、いくら今は男だからって恥ずかしい。
男になるという誓いはどこへやら、サツキは耐えきれず目を逸した。
「――うん、後で魔力は回復してやるから、ここはディープ・インパクトだサツキ」
「え」
まんま映画のタイトルじゃないすか。そう思ったが、映画なんて知らないだろうし、まあお陰ででっかい隕石の複数攻撃なのも察した。それにそうか、さっきじっと見ていたのは、魔力残量を見ていたに違いない。
「はい! 唱える!」
「は、はいいいっ! 『ディープ・インパクト』!」
すると、また先程の様にすっと周囲が暗くなったかと思うと、今度は地面が揺れ始めた。
「ちょ、ちょっと! 揺れてる!」
ゴゴゴゴ、と音を立てている。怖い怖い、地震!? ていうか隕石じゃなかったの、ディープ・インパクト!
「仕方ないな、掴まっとけ」
ユラが腕をん、と差し出す。サツキは一瞬躊躇したが、男同士だし、と飛びついた。サツキの足にはラムがしがみついている。
「前見て」
「う、うん」
何かが迫ってくる感覚があった。きたきたきた、怖い! サツキが竦みながら呆然と見ていると、先程とは比べ物にならない大きな隕石がひとつ降ってきて、モンスターに当たった。
ドゴオオオオンッ!! と轟音を上げ、辺りが赤一色に染まる。
「ひいいいいいっ!!」
「大丈夫だって、術者側には届かないから」
「怖いよおおおお!!」
無理無理、だって溶岩みたいに溶けた地面がボコボコなっていて、異様過ぎる。アイテム落とすとか言ってるけど、溶けてなくなるんじゃないかこれ。
サツキは震えるしか出来なかった。
ウルスラとアールは戦闘に参加するのかな、そう思って後ろを振り向くと、ユラがサツキの腕を引っ張って前を向かせた。
「サツキ、レアものはいいアイテムを落としやすい。一気にやるぞ!」
「わ、分かった! 指示をお願いします!」
ユラは二人でやる気なのだ。折角なら二人じゃなくて四人で戦った方が効率も良さそうだと思うが、まだ怒りが治まらないのかもしれない。用無しと言われたのがショックだったんだろう。冗談なのに。
「さっきのミティアは単体攻撃なんだよな。攻撃力強いんだけど、そこが使いにくい点だ」
「え? あれ単体向けなの?」
何て無駄な火力だ。
ユラが後ろをちらっとだけ見る。
「本当はこいつらは魔法じゃなくてひたすら物理攻撃を繰り返すのが効果的なんだけど、まあ俺とサツキしかいないから仕方ない」
「いや、あの、協力しようよ……」
「嫌だね」
子供みたいなへその曲げっぷりだ。ユラは結構根に持つタイプの様だ。サツキは諦めることにした。
「分かったよ。じゃあ何を唱えればいい?」
すると、ユラがじっとサツキを見つめる。その真剣な眼差しに、そういやユラも相当なイケメンだよな、と思ってついドギマギしてしまった。そんな見つめられると、いくら今は男だからって恥ずかしい。
男になるという誓いはどこへやら、サツキは耐えきれず目を逸した。
「――うん、後で魔力は回復してやるから、ここはディープ・インパクトだサツキ」
「え」
まんま映画のタイトルじゃないすか。そう思ったが、映画なんて知らないだろうし、まあお陰ででっかい隕石の複数攻撃なのも察した。それにそうか、さっきじっと見ていたのは、魔力残量を見ていたに違いない。
「はい! 唱える!」
「は、はいいいっ! 『ディープ・インパクト』!」
すると、また先程の様にすっと周囲が暗くなったかと思うと、今度は地面が揺れ始めた。
「ちょ、ちょっと! 揺れてる!」
ゴゴゴゴ、と音を立てている。怖い怖い、地震!? ていうか隕石じゃなかったの、ディープ・インパクト!
「仕方ないな、掴まっとけ」
ユラが腕をん、と差し出す。サツキは一瞬躊躇したが、男同士だし、と飛びついた。サツキの足にはラムがしがみついている。
「前見て」
「う、うん」
何かが迫ってくる感覚があった。きたきたきた、怖い! サツキが竦みながら呆然と見ていると、先程とは比べ物にならない大きな隕石がひとつ降ってきて、モンスターに当たった。
ドゴオオオオンッ!! と轟音を上げ、辺りが赤一色に染まる。
「ひいいいいいっ!!」
「大丈夫だって、術者側には届かないから」
「怖いよおおおお!!」
無理無理、だって溶岩みたいに溶けた地面がボコボコなっていて、異様過ぎる。アイテム落とすとか言ってるけど、溶けてなくなるんじゃないかこれ。
サツキは震えるしか出来なかった。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
結婚しても別居して私は楽しくくらしたいので、どうぞ好きな女性を作ってください
シンさん
ファンタジー
サナス伯爵の娘、ニーナは隣国のアルデーテ王国の王太子との婚約が決まる。
国に行ったはいいけど、王都から程遠い別邸に放置され、1度も会いに来る事はない。
溺愛する女性がいるとの噂も!
それって最高!好きでもない男の子供をつくらなくていいかもしれないし。
それに私は、最初から別居して楽しく暮らしたかったんだから!
そんな別居願望たっぷりの伯爵令嬢と王子の恋愛ストーリー
最後まで書きあがっていますので、随時更新します。
表紙はエブリスタでBeeさんに描いて頂きました!綺麗なイラストが沢山ございます。リンク貼らせていただきました。
異世界大使館雑録
あかべこ
ファンタジー
異世界大使館、始めますhttps://www.alphapolis.co.jp/novel/2146286/407589301のゆるゆるスピンオフ。
本編読まないと分かりにくいショートショート集です。本編と一緒にお楽しみください。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる