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第四章 マンドラゴラの王様
43 滑落
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吾郎くんが掴みかかると、ウドさんは怒りを隠さずに怒鳴る。
「なんで邪魔するんですカ! もしや貴方達も、これで一攫千金を狙ってるんじゃないですカ!」
「そんなことじゃないんです! 森の皆が、それは抜いちゃ駄目だって叫んでるんです!」
私がウドさんに向かって懸命に叫ぶと、ウドさんの手の動きがようやく止まった。だけど、怪訝そうな顔をしている。
「何故デス? この森は、ここが聖域だとワタシを導いてくれたのに?」
ウドさんはそう言うと、こともあろうか吾郎くんの顔面を肘で思い切り殴った。パッと鮮血が舞う。鼻血だった。キング・マンドラゴラに酷いことをしたら、アーニャさんに斧で殺されるんじゃなかったのか。
それでも吾郎くんは、ウドさんに絡める手の力を緩めない。必死の形相で、ウドさんに訴えかけた。
「駄目だ! 皆が守ってた場所なんだ!」
私も急いで立ち上がると、ウドさんの左腕にしがみつく。
「落ち着いてくだサーイ。マンドラゴラの根は、抜いても問題ありませんカラ」
呆れた様に笑うウドさんは、私達の懸命な攻めをものともせず、再びスコップを地面に突き刺してしまった。
「ここのは駄目なんだ! 皆がそう言ってる!」
「フン、欲に目が眩んだキング・マンドラゴラなんて、アーニャが聞いたら泣きますネ」
ウドさんから見たら、マンドラゴラの根は媚薬の材料でしかないのだろう。金、金、金だ。
「違う、違うんだ! やめて!」
二人がかりで止めているのにも関わらず、ウドさんはふんふんと鼻歌を歌いながら楽しそうに掘り進める。何か手はないか。何か――。
そして、ハッと気付いた。
「吾郎くん! 根っこで縛っちゃおう!」
「――あ! そうだ!」
吾郎くんが、ウドさんに絡めていた手をぱっと離す。すると、今度はウドさんが吾郎くんの手首を両脇に挟み、封じ込めてしまった。なんていう馬鹿力だ。
「ワタシはマンドラゴラの奥サンがいるんですヨ? 手のひらを使わなければあの技が使えないことくらい、ちゃんと分かってますネ」
「離せ!」
血をダラダラと鼻から流したまま、吾郎くんが必死で抵抗する。だけど、熊みたいなウドさんはびくともしない。
「オウ、そろそろ底じゃないですかネ?」
「やめ……っ!」
――ドン。という地響きがした。
「ん? 何デス? 日本は地震が多いとは聞きますからネ」
地面に触れている脛が、地下から湧き起こる振動を感じ取っている。正体不明の何かが、ザワザワと地面の奥底から私に向かって叫ぶ声が聞こえた気がした。ハヤク、ハヤク、根ヲ戻シテ。
――手遅レニナル前ニ。
「この!」
焦燥感に襲われる。ウドさんには、感謝の気持ちの方が強かった。だけど、この蛮行を許すわけにはいかないのだ。
私は、思い切りウドさんの腕に噛み付いた。パワーはあっても、痛みに強いとは限らない。
「ノオオオオッ!」
「ギャッ!」
ウドさんは必死の形相で私の頭をひっつかむと、登ってきた道の方に思い切り投げた。身体が、宙に浮く。
「ああっ!」
全身が地面にぶつかる衝撃に、息が詰まった。咄嗟に頭は庇ったけど、それでも頭がぐらんぐらんする。
「美空!」
ウドさんが私を放り投げる時に手が自由になった吾郎くんが、四つん這いになりながら私の元に駆け寄る。
「美空! 美空!」
「怪我シマス言ってるデショー!」
ウドさんは、何故私達がこんなにも懸命に止めているのかを理解していないのだ。ただ単に、根っこを渡したくないと思っているんだろう。
「う……」
痛みを堪えつつ目を開けると、顔中血まみれ且つ涙だらけの吾郎くんが目の前にいた。そして視界に飛び込んできた、思い切り地面にスコップを蹴り込むウドさんの姿。
「だ……駄目えーっ!」
そして、それは来た。
寝そべっている地面が、小刻みに振動している。吾郎くんが繋ごうとした私の手が、身体ごと後方にずるりと滑り落ちて行った。
「美空!」
「吾郎くん! ウドさんを! ウドさんを早く止めて!」
まるで滑り台に寝そべっているかの様に、私だけが振動と共に後方へと移動していく。吾郎くんと私の間の地面が、パカリと割れた。
「やだ! 美空!」
吾郎くんの手から、細い柔らかそうな根っこが伸びたかと思うと、滑っていく私の手首に絡みつく。だけど、身体は重力に逆らえず、後方に落ちようとしていた。どんどん地面は傾いて沈んでいき、吾郎くんと私の距離が開いていく。地響きと共に、周囲の土砂が下へ滑落していくのが視界の端に映った。
「吾郎くん! ウドさんを――」
「やだー!」
吾郎くんは立ち上がると、もう片方の手からバッと根っこを蜘蛛の糸の様に出す。近くに生えていた大きな木の太い幹に、それが巻きついた。
「イエス! とうとう手に入れましたネ! キング・マンドラゴラの根を……ワッツ? 美空サン!」
ウドさんは、根っこを掘るのに夢中になり過ぎて、土砂崩れが起きていることに今気が付いたらしい。夢中になり過ぎだ。一応、私の心配はしてくれているらしい。根っからの悪人ではないんだろう。ただ、手段が強引で非人道的なだけで。
吾郎くんの足許の地面も、どんどん崩れ落ちていく。
「美空!」
「ご、吾郎くん!」
私が寝そべっている地面は巨大な滑り台となり、どんどん下へと流れ落ち、今や吾郎くんと繋がったか弱そうな根っこで辛うじて滑り落ちずに済んでいるだけだった。この地面も、いつ消失するか分からない。先程まで立っていた場所は遥か高所にあり、ウドさんが立ち竦む姿も上半分しかみえなかった。
怖かった。このまま、かつての人身御供たちの様に私も聖域に呑まれてしまうのか。泣きながら私を助けようと必死に抗うこの人を、一人置いて。
涙が滲んだ。私が聖域の土に還ったら、吾郎くんは枯れずに済むだろうか。根の養分として聖域と繋がっていたら、吾郎くんは私の身体が土となっても生きられるだろうか。
「美空! 美空!」
吾郎くんの泣き声が響く。続いて、ウドさんの切羽詰まった声も届いた。
「美空サン! 生きてマスカ! キング死んだらアーニャ怒りますね! 絶対生きて下さいネ!」
基準がアーニャさん。徹底しているな、と思い、こんな事態を招いたウドさんだけど、憎み切れない自分がいた。
「なんで邪魔するんですカ! もしや貴方達も、これで一攫千金を狙ってるんじゃないですカ!」
「そんなことじゃないんです! 森の皆が、それは抜いちゃ駄目だって叫んでるんです!」
私がウドさんに向かって懸命に叫ぶと、ウドさんの手の動きがようやく止まった。だけど、怪訝そうな顔をしている。
「何故デス? この森は、ここが聖域だとワタシを導いてくれたのに?」
ウドさんはそう言うと、こともあろうか吾郎くんの顔面を肘で思い切り殴った。パッと鮮血が舞う。鼻血だった。キング・マンドラゴラに酷いことをしたら、アーニャさんに斧で殺されるんじゃなかったのか。
それでも吾郎くんは、ウドさんに絡める手の力を緩めない。必死の形相で、ウドさんに訴えかけた。
「駄目だ! 皆が守ってた場所なんだ!」
私も急いで立ち上がると、ウドさんの左腕にしがみつく。
「落ち着いてくだサーイ。マンドラゴラの根は、抜いても問題ありませんカラ」
呆れた様に笑うウドさんは、私達の懸命な攻めをものともせず、再びスコップを地面に突き刺してしまった。
「ここのは駄目なんだ! 皆がそう言ってる!」
「フン、欲に目が眩んだキング・マンドラゴラなんて、アーニャが聞いたら泣きますネ」
ウドさんから見たら、マンドラゴラの根は媚薬の材料でしかないのだろう。金、金、金だ。
「違う、違うんだ! やめて!」
二人がかりで止めているのにも関わらず、ウドさんはふんふんと鼻歌を歌いながら楽しそうに掘り進める。何か手はないか。何か――。
そして、ハッと気付いた。
「吾郎くん! 根っこで縛っちゃおう!」
「――あ! そうだ!」
吾郎くんが、ウドさんに絡めていた手をぱっと離す。すると、今度はウドさんが吾郎くんの手首を両脇に挟み、封じ込めてしまった。なんていう馬鹿力だ。
「ワタシはマンドラゴラの奥サンがいるんですヨ? 手のひらを使わなければあの技が使えないことくらい、ちゃんと分かってますネ」
「離せ!」
血をダラダラと鼻から流したまま、吾郎くんが必死で抵抗する。だけど、熊みたいなウドさんはびくともしない。
「オウ、そろそろ底じゃないですかネ?」
「やめ……っ!」
――ドン。という地響きがした。
「ん? 何デス? 日本は地震が多いとは聞きますからネ」
地面に触れている脛が、地下から湧き起こる振動を感じ取っている。正体不明の何かが、ザワザワと地面の奥底から私に向かって叫ぶ声が聞こえた気がした。ハヤク、ハヤク、根ヲ戻シテ。
――手遅レニナル前ニ。
「この!」
焦燥感に襲われる。ウドさんには、感謝の気持ちの方が強かった。だけど、この蛮行を許すわけにはいかないのだ。
私は、思い切りウドさんの腕に噛み付いた。パワーはあっても、痛みに強いとは限らない。
「ノオオオオッ!」
「ギャッ!」
ウドさんは必死の形相で私の頭をひっつかむと、登ってきた道の方に思い切り投げた。身体が、宙に浮く。
「ああっ!」
全身が地面にぶつかる衝撃に、息が詰まった。咄嗟に頭は庇ったけど、それでも頭がぐらんぐらんする。
「美空!」
ウドさんが私を放り投げる時に手が自由になった吾郎くんが、四つん這いになりながら私の元に駆け寄る。
「美空! 美空!」
「怪我シマス言ってるデショー!」
ウドさんは、何故私達がこんなにも懸命に止めているのかを理解していないのだ。ただ単に、根っこを渡したくないと思っているんだろう。
「う……」
痛みを堪えつつ目を開けると、顔中血まみれ且つ涙だらけの吾郎くんが目の前にいた。そして視界に飛び込んできた、思い切り地面にスコップを蹴り込むウドさんの姿。
「だ……駄目えーっ!」
そして、それは来た。
寝そべっている地面が、小刻みに振動している。吾郎くんが繋ごうとした私の手が、身体ごと後方にずるりと滑り落ちて行った。
「美空!」
「吾郎くん! ウドさんを! ウドさんを早く止めて!」
まるで滑り台に寝そべっているかの様に、私だけが振動と共に後方へと移動していく。吾郎くんと私の間の地面が、パカリと割れた。
「やだ! 美空!」
吾郎くんの手から、細い柔らかそうな根っこが伸びたかと思うと、滑っていく私の手首に絡みつく。だけど、身体は重力に逆らえず、後方に落ちようとしていた。どんどん地面は傾いて沈んでいき、吾郎くんと私の距離が開いていく。地響きと共に、周囲の土砂が下へ滑落していくのが視界の端に映った。
「吾郎くん! ウドさんを――」
「やだー!」
吾郎くんは立ち上がると、もう片方の手からバッと根っこを蜘蛛の糸の様に出す。近くに生えていた大きな木の太い幹に、それが巻きついた。
「イエス! とうとう手に入れましたネ! キング・マンドラゴラの根を……ワッツ? 美空サン!」
ウドさんは、根っこを掘るのに夢中になり過ぎて、土砂崩れが起きていることに今気が付いたらしい。夢中になり過ぎだ。一応、私の心配はしてくれているらしい。根っからの悪人ではないんだろう。ただ、手段が強引で非人道的なだけで。
吾郎くんの足許の地面も、どんどん崩れ落ちていく。
「美空!」
「ご、吾郎くん!」
私が寝そべっている地面は巨大な滑り台となり、どんどん下へと流れ落ち、今や吾郎くんと繋がったか弱そうな根っこで辛うじて滑り落ちずに済んでいるだけだった。この地面も、いつ消失するか分からない。先程まで立っていた場所は遥か高所にあり、ウドさんが立ち竦む姿も上半分しかみえなかった。
怖かった。このまま、かつての人身御供たちの様に私も聖域に呑まれてしまうのか。泣きながら私を助けようと必死に抗うこの人を、一人置いて。
涙が滲んだ。私が聖域の土に還ったら、吾郎くんは枯れずに済むだろうか。根の養分として聖域と繋がっていたら、吾郎くんは私の身体が土となっても生きられるだろうか。
「美空! 美空!」
吾郎くんの泣き声が響く。続いて、ウドさんの切羽詰まった声も届いた。
「美空サン! 生きてマスカ! キング死んだらアーニャ怒りますね! 絶対生きて下さいネ!」
基準がアーニャさん。徹底しているな、と思い、こんな事態を招いたウドさんだけど、憎み切れない自分がいた。
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