上 下
120 / 149
冬磨編

48 俺の天使 ※

しおりを挟む
「お前の、この瞳を信じればよかった。俺が大好きだってちゃんと言ってるのにな……。他のセフレにも見せてんのかって……嫉妬しかできなかった」
「とぉま……ごめ……ん」
「なんで天音が謝るんだよ。天音が俺なんかを好きになってくれた奇跡に感謝してるよ」
「か……感謝? ……んぅ……っ……」

 天音の唇を深くふさいだ。
 もう天音がほしくて限界で、荒々しいキスになる。

「……ぁ……っ、ンぅ…………」
「天音……動くよ?」
「ふぁ……っ、ぁ……っ……」

 天音の中をゆっくりゆっくり動いた。

「んん……っ、ン……っ……」

 やばい……気持ちよさが半端じゃない。
 天音の震えも、初めてのときと同じくらいに震えてる。
 この震えも……幸せだからなんだよな。
 聞いていなければ心配になるほどの震え。でも、理由が分かるともう愛おしさしかない。
 天音が、繋いでいる手をさらにぎゅっと強く握ってきた。その仕草もとろけるほど可愛い。

「お前……なんで俺なんか好きになったんだよ」
「ん……っ、なんで……って……? んん……っ」
「マジで奇跡だろ。ほんと俺、幸せすぎる……」
「とぉ……ま、すき……っ、ン……っ、……はぁ……っ……」
「天音……っ」

 抱きながら紡がれる『好き』の言葉に酔いしれる。
 本当に俺なんかがこんなに幸せでいいんだろうか。
 たとえ天音が俺を好きじゃなくても、そばにいられれば幸せだと思ってた。でも、本物の幸せはもう格別だった。
 幸福感で全身が包まれ、まるで身体が浮かび上がるみたいにふわふわする。天音が愛おしくてたまらない。もう愛おしいしかない。
 胸がぎゅっと苦しくてまぶたが熱い。そして、苦しいことが、また幸せで参る……。
 
「とぉま……だいすき……っ、……あ……っ、も……だめ……ぇっ」
「はぁ、よかった、俺もとっくに限界……っ。やべぇ……情けねぇ」
「とぉま……ぁっ」
「ちょっと、強くするよ」
 
 天音の足を優しく持ち上げ肩にかけ、太ももにキスをしてから深く奥まで入り込んだ。

「はぁぁ……っ! ん……っ」
「天音っ。あま……ねっ」

 何度も奥深くを突くと、天音の中が俺のものをきつく締め付け、頭の中が真っ白になっていく。

「んっ、とぉ……っ、ぁぁ……っ、すきぃ……っ! とぉまぁ……っ!」
「天音っ、好きだっ! く……ぅっ……」

 二人同時に果てた。
 こんなに満たされたのは初めてだった。
 天音はもう俺の恋人だ。恋人なんだ。
 本当に……幸せすぎる……。
 いつもうわ言のように呼ばれる名前もずっと俺だけだったんだと気がつき、さらに幸せで震えた。

「ふ、ぅ……っ……」

 天音が俺を力いっぱい抱きしめて泣き出した。

「天音……それ、幸せで泣いてんの?」
「……ん、……うん。幸せ……で……っ」
「あー……俺も泣きそう。やべぇ……。抱き合うってこんな幸せになれるんだな。余韻が半端ねぇ……」 
「と……ま……好き……」
「ほんと……天音、想像以上に可愛いすぎ。マジでやばい……」

 ゆっくりと顔を上げ、愛おしい天音の顔を見つめた。
 好きだよ、天音。
 もう二度と離さない。俺の天使。
 俺は天音の唇にそっと優しいキスを落とした。


 
「あー……やっとできたよ……腕枕」

 終わったあとに、こうして天音を腕に抱きしめられることが最高に嬉しかった。

「ずっとこうしたかった」

 天音を胸に抱きしめ、頭に何度もキスを落とし幸せにひたる。
 俺の胸にすり寄るように抱きつく天音が死ぬほど可愛い。
 これだよこれ。マジで恋人最高。

「天音」
「……なに?」
「顔見せて? お前のが見たい」
「……っ、は……恥ずかしいから……やだ」
「ふはっ。なんでだよ。抱いてるときと同じだろ?」
「だっ……て、いつもは終わったら演技のスイッチ入れてたからっ。そのままでいるの……恥ずかしい……っ」

 天音は顔を隠すように俺の胸に顔をうずめた。

「だめ。見る」

 腕枕はそのまま、天音の頭を優しく枕に沈ませた。
 天音が恥ずかしそうに俺を見つめてくる。
 終わった瞬間、いつも無表情になる天音に何度も落胆した。でも、もうその天音はどこにもいない。
 かわりに、表情豊かで可愛い天使がそこにいた。
 頬を赤く染め、瞳いっぱいで痛いほどに俺を好きだと訴えてくる。うるうるとした可愛い瞳で。
 ポトフを食べる天音も天使だと思ったが、あれはほんの一部だったにすぎないと痛感する。
 表情全開の天音は、簡単に俺の心臓を止めた。確実に止めた。息も忘れるほど動けなかった。

「と……冬磨?」

 天音の呼びかけにハッとした。
 マジでやばい……こんなに真っ白で綺麗な可愛い天音が……俺を好き……?
 どんな奇跡だよ……やばいだろ。

「と、とう……」
「……天音」
「う、ん」
「閉じ込めていい?」
「えっ?」
「ほんと、誰にも見せたくねぇ。俺が養ってやるから、お前ずっと俺ん家にいろ」
「な……なに、言って……っ」

 天音が俺に抱かれるまで誰にも襲われなかった奇跡に感謝しながら、こんなの閉じ込めておかないと危険だろ、と本気で思った。

「ほんと……閉じ込めてぇ」
「冬磨……」
「もう俺、お前のことになると発想がぶっ飛んじまいそう……。好きすぎてやばい。お前、可愛すぎてほんとやばい」

 なんでそんな可愛いんだよ、とふたたび腕の中に閉じ込めるようにきつく抱きしめる。
 天音と出会えて本当によかった。もし出会えていなかったらと考えるとゾッとする。

 もう俺は天音がいないとダメだ。何も出来そうにない。
 だって、生きる意味がもう天音なんだから。

 ずっと俺のそばにいてほしい……。
 できれば永遠に……。
 
 
しおりを挟む
感想 162

あなたにおすすめの小説

悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!

梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!? 【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】 ▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。 ▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。 ▼毎日18時投稿予定

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

もう人気者とは付き合っていられません

花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。 モテるのは当然だ。でも――。 『たまには二人だけで過ごしたい』 そう願うのは、贅沢なのだろうか。 いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。 「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。 ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。 生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。 ※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

どうせ全部、知ってるくせに。

楽川楽
BL
【腹黒美形×単純平凡】 親友と、飲み会の悪ふざけでキスをした。単なる罰ゲームだったのに、どうしてもあのキスが忘れられない…。 飲み会のノリでしたキスで、親友を意識し始めてしまった単純な受けが、まんまと腹黒攻めに捕まるお話。 ※fujossyさんの属性コンテスト『ノンケ受け』部門にて優秀賞をいただいた作品です。

別れの夜に

大島Q太
BL
不義理な恋人を待つことに疲れた青年が、その恋人との別れを決意する。しかし、その別れは思わぬ方向へ。

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます

夏ノ宮萄玄
BL
 オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。  ――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。  懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。  義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

処理中です...