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冬磨編

47 奇跡の可愛さ ※

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 お互いに素肌を合わせ、とろけるようなキスをした。
 
「天音、もうずっとそので俺を見て。ベッドの中だけじゃなくてずっと……」
「……う、ん。もう……演技はしない」
「ん、絶対な」

 お互いに何度も好きだと伝え合い、俺は夢中で愛撫した。

「ほんと可愛い、天音。俺が大好きってその瞳……マジでやばい……」

 本当に奇跡のように可愛い天音。もう絶対に離さない。

「一番見たくない目だったのにな……。天音だけは違った。ずっと見ていたかった。終わったあともずっとその瞳のままならいいのにって……いつも熱の消えた瞳に落胆してた」
「とぉま……」
「やべぇどうしよ。終わったあとの天音が楽しみすぎる」

 今まで何度もガッカリしてきた。終わったあとも大好きの熱が消えない天音の瞳を早く見たい。終わっても可愛いままの天音が楽しみで仕方がなかった。
 天音の後ろを優しくほぐす。いつも天音が自分で準備をするから、俺がやってあげたのは初めてだった。

「もう自分で準備すんなよ? これはもう彼氏の役目な?」
「かれ……し……」

 目を見開いて、また瞳をうるうるさせる天音が本当に愛おしい。
 恋人という言葉にも、彼氏という言葉にも、いちいち感動する天音が可愛すぎる。
 なんて、俺も同じだけどな。

「ん、柔らかい。天音のここ、もうトロトロ」

 もう充分だろう、そう思って指をゆっくりと引き抜き天音に微笑んだ。
 もういいか? そう口を開きかけると、天音が顔をくしゃっとゆがませてまた泣き出した。
 
「……ふ……っぅ……っ、とぉ……ま……っ……」
「天音? どうした?」
 
 天音が俺の身体に手を伸ばし、ぎゅっと抱きしめた。
 
「とぉ……ま……っ、好き……好きぃ……っ……」
 
 さらに力強くぎゅっと抱き締めてくる。
 
「だい……すき……っ、と……ま……」
「あ、天音。ちょっと俺、心臓もたねぇんだけど……っ」

 か……かわいい……っ。だからなんなんだ、この可愛さはっ。

「マジで破壊力やばすぎ……。抱かれてるときは素だったんじゃねぇの? 全然違ぇじゃん……。俺、マジで心臓止まるって……」

 ベッドの上が素の天音なんて嘘だった。演技をやめた天音は本当に可愛すぎてやばい。
 はぁぁ……と深く息をつき、ゆっくりと顔を上げて天音を見つめた。

「甘くみてたわ……天音の可愛さ。もう誰にも見せたくねぇよ……ほんと」
「とぉ……ま」
「ん?」
「わがまま……言っても、いい?」
「えっ、なに、わがまま言ってくれんの? いっぱい言えよ、なんでも聞くから」

 天音がわがままを言ってくれるなんて嬉しすぎる。そんなこと、今までは考えられなかった。
 期待しながら天音の言葉を待っていると、また天音が俺の心臓を止めに来た。

「キス……しながら……入れてほしい」

 天音の演技がまだ俺の中で強く残っていて、可愛いお願いをしてくる姿を想像することができなくて、演技だったと分かった今もそのギャップにやられ、うなだれた。

「なんなのほんと……この可愛い生き物……。奇跡だろ……」
「なに……言って……」
「天音のせいでもうビンビンだから。責任取れよ?」
「……えっと……うん」
「ふはっ。うん、って可愛い」

 顔を真っ赤にして『うん』と答える天音に胸を撃ち抜かれる。今までの『うん』とは全く違う。『うん』一つでこんな可愛いってほんとなんなんだ。

「天音、ゴムは……」
「いらない。そのままが……いい。俺の中に出してほしい。この間の……すごい……すごい幸せだったから」
「天音……」

 乱暴に抱いた記憶しかないのに、幸せだったと言う天音に胸が締め付けられる。本当に優しい。天音の言葉は、まるで天使のように俺を救ってくれた。

「もう、ずっとゴムなんていらない。だって……そのままは俺だけ、でしょ?」
「当たり前だろ。今までも、これからも、ずっと天音だけだよ」
「俺も、冬磨だけ……」

 天音が首に腕を回して俺を見つめる。
 天音の目尻の涙にキスをした。本当に愛おしい。大好きだよ、天音。

「天音……もう、ずっと俺のそばにいろな?」
「……ん……うん……っ。ずっと、ずっとそばにいる……っ。もう……冬磨だけいればいい」
「……はぁ、も……ほんと可愛い」
「んぅ……っ、ん……」

 天音の可愛いわがまま通りに、俺たちは唇を合わせながらゆっくりゆっくり繋がっていった。
 キスをしながら繋がるなんて俺も初めてで、それもこんなに愛おしい天音と繋がれて、もう脳も身体も全てが溶けていく。
 天音の漏らす声も最高に甘くて耳までとろけた。
 しがみつく天音の手をたぐり寄せ恋人繋ぎをすると、天音はまるで子供が泣くみたいに可愛く顔をゆがませた。 

「ぅ゙ぅー…………っ、と……ま……」

 ゆっくりと、やっと奥まで繋がった。
 今まで何度も天音を抱いたのに、幸福感がまるで別物で、繋がるだけで涙がにじんだ。
 俺は音を鳴らして唇を離し、ボロボロとこぼれる天音の涙に何度もキスを落とした。

「天音……ごめんな。ずっと演技なんてさせて。ずっと……気づいてやれなくてごめん」
「……ぅ……っ……」

 天音は、謝らないでと言いたげに必死で首を横に振った。
 
 
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