【完結】本気だと相手にされないのでビッチを演じることにした

たっこ

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冬磨編

7 勘違いしちゃうだろ…… ※

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「天音、俺もう余裕ねぇ……。こんなん初めてだわ……。もう入れていい?」

 こんなに余裕がないのも、ほしくてたまらないのも、何もかもが初めてだ。

「……い……れて。……きて……とぉま」
「天音」

 怖くないから、大丈夫だから。俺が誰よりも優しく抱いてやるから。
 後ろから天音を優しく抱きしめて頬にキスをした。
 ゴムとローションを手に取り準備する。

「天音、いい?」
「うん……」
「……やっぱ前からじゃだめ?」
「……うしろがいい…………っつってんだろ……」

 忘れかけていた強気な天音が突如顔を出す。

「ふはっ。お前のそのギャップ、最高」

 ギャップなのに、そっちも可愛い。どっちも可愛い。もう……全部可愛い。なんなんだ、ほんと。
 天音の中に、俺自身をゆっくりと沈めていく。
 少しだけ進めて馴染ませて、そしてまたゆっくりと。
 天音の中……やばい。

「あぁ……、ぁ…………っ」
「天音……っ、もっと力抜いて」

 怖くて力入ってんのか?
 こんなキツいとすぐイッちゃいそうでやばい。
 すると、突然中がぎゅうっと締まり、危うくそのまま爆発するところだった。

「……っおい、締め付けんなって……っ、はぁっ……」

 まさかゆるめ方がわからない?
 いやまさか、初めてじゃないんだからそれはないな。からかってるのか?
 ゆるめてと言ってるのに締め付けるイタズラとか……どんだけ可愛いんだよ。

「お前、こんな震えてんのにからかうとか……心配した俺笑えるな」

 心配は杞憂だったかな。それならよかった。ホッとした。
 安心して天音の中に沈み込んでいく。

「んっ、あぁ……っ……」

 奥までたどり着くと、天音はブルブルと大きく震えて可愛い声を上げ、俺は身体も耳も犯された。
 高揚感が半端ない。こんなに感情が高ぶるなんて……嘘だろ。
 この締め付けも、物理的にやばい。
 天音の背中に倒れ込み、深く息を吐き出した。

「天音……頼むから、もうちょい力抜いて……」
「……締まってる……っほうが、きもちぃだろ……」

 そんなことを言ってくる天音にため息がでた。

「……っとにお前、よくわかんねぇ」

 俺は天音をゆっくり優しく抱きたいのに、これじゃもたないかもしれない。
 でも、締まってる方が気持ちいだろ、って。そりゃ気持ちいけどさ、と笑いが込み上げる。
 ほんと天音は新鮮。どこにもいない。こんな小悪魔みたいに可愛い奴。

「マジでもたないかも。……動くよ」

 チュッと背中にキスをして身体を起こし、ゆっくりと優しく天音の中で動いた。

「あっ、……んっ、……と……ま……」
「……きっつ。……ははっ、やば……っ。えー……マジか」

 ぎゅうぎゅう締め付ける中も、天音の声も、震える身体も、何もかもがほんとにやばい。
 いつもの物理的な刺激だけでイク感じとは全く違う。足のつま先から頭のてっぺんまで快感が貫いていく。
 だめだ、もうほんともたない。こらえきれない。
 これは諦めて一回出したほうがいいな。
 そう思って、天音の奥深くにグッと突き入れた。

「あぁっ…………!」

 天音を後ろから包み込むように強く抱きしめる。

「天音、マジ……ごめん。…………ぅっ……っ」

 とっくに限界だったから、数回深く突いただけで俺はあっけなく果てた。
 ほんと嘘だろ。いつもは相手がイクのに合わせてなんとか出してるこの俺が。これじゃもう早漏だろ。やべぇ……情けない。
 ゆっくり天音の中から自身を抜くと、天音がふるっと震えて「……ん……っ……」と小さく声を漏らした。
 ……あー……可愛い。なんでそんな可愛いんだほんと。
 いま出したばかりなのに、もう復活してきた俺のそこ。
 まじか。さすがに早すぎだろ。ほんとどうした、俺。

 天音が脱力したように腰を落とし、ベッドに完全にうつ伏せ状態になった。
 息は上がり、身体の震えもそのままだ。
 ただ力が入らないだけだとわかっていながら、からかうように俺は聞いた。

「なに、天音。次は寝バックがいいの?」
「…………え……次?」

 少しだけ顔を上げ、不思議そうな声色で聞いてくる。
 なんだよ、もう次はないと思った?
 まだ俺しかイッてないのに、もう終わりだと思った?

「……天音。もしかしてさ……」 

 いつもそんな風に抱かれてるのか?
 相手がイッたらそこで終わり。そうなのか?

「いや……なんでもない」

 問いただそうかと思ったが思い直す。
 そんな胸くそ悪いセフレの話はあとにしよう。

「天音まだ出してないじゃん。まだ終わんないよ? ……ちょっと情けないけど持ちそうになくてさ。わざと一回出した。次はもっと長く楽しもうぜ」

 天音を最高に気持ちよくさせたい。
 恐怖心なんてどっかに吹っ飛ぶくらい、最高に優しく抱いてやりたい。

「……ふ……っ…………」

 天音がかすかに声を漏らし、枕に顔をうずめた。
 なんだ今の声。
 もしかして泣いてる?
 心配になって「どうした?」と聞くと「このまま……寝バックでやって」と返ってくる。

「……んだよ、泣いてんのかと思った。ビビらせんなよ」

 ホッと息をついて天音の背中に覆いかぶさった。
 天音が泣くとほんと焦る。泣かせてる奴を想像して怒りが湧く。

「天音、マジでなんかちょいちょいハラハラさせるな? わざとか?」
「ハラハラ……? なんで……」

 天音といると感情が揺さぶられる。
 死んだと思っていた心が激しく動き出す。
 久しぶりの感覚……いや、もしかすると初めてかもしれないその心の忙しさに胸が熱くなる。

「…………ま、いっか。じゃあこのままいくよ?」

 俺は新しいゴムを手に取りながらそう伝えた。
 とりあえず、天音から色々聞き出すのはあとにしよう。

「え……もう?」

 驚く天音の頬にキス落とし、俺はゆっくりと中に入っていった。

「はぁ……天音の中……マジでやばい」
「ぁ……っ、とぉ……ま……」
「……っとに、かわい」

 入れた瞬間に天音の声のトーンが変わる。その高めの可愛い声で呼ばれる俺の名前にゾクゾクする。
 ふと、枕にしがみつく天音の震える手が目に入った。
 身体の震えを包み込むように抱きしめても、まだ手が残ってた。
 天音の手の甲に俺の手を重ね、ぎゅっと握る。セフレにすることじゃないな、とは思ったけれど、天音を安心させてあげたかった。
 大丈夫だからもう震えるな、天音。
 俺はゆっくりと腰を動かし、最高に優しく天音を抱いた。

「ンっ、……や……っ、……ぁ……っ……」
「天音のその控えめな声、マジでやばいな……。余計にクる。もっと鳴かせたい」

 もっと感じて、もっとよがれ。

「んんっ、ぁ……っ、あぁ……っ……」
「いいね。もっと鳴けよ、天音」

 ほかのセフレには聞かせないような可愛い声を俺に聞かせろよ。

「あ……っ、と……ま……っ、……っ……」

 ほんと可愛い。もっと呼べよ俺の名前。
 そう思ってから気がつく。ほかのセフレとやるときはそいつの名前を呼んでんだよな。こんな風に、うわ言みたいに……。

「あ……っ、とぉまぁ……っ!」

 天音はイクときも俺の名を呼んだ。

「勘違いしちゃうだろ……」

 俺を好きなのかと思っちゃうじゃん。
 お前のセフレ、みんな勘違いしてんじゃねぇの?

「ほんと、かわい……」

 いつもなら好意を向けられると心が冷めるのに、天音に向けられるなら全然嫌じゃないな、なんて思ってる自分がいた。
 俺に興味もなさそうな瞳を知ってるから安心してそう思うだけか?
 なんにしても、とにかく可愛い。
 天音の身体が落ち着くまで、頬やうなじにキスをしながら優しく抱きしめ頭を撫でる。
 天音がイクのに合わせて出すこともできた。でも、まだ終わらせたくなかった。もっと天音を抱いていたかった。

 しばらく待ったあと、ふたたび天音を抱いた。
 前からがいいと俺が言うと、前は嫌いだと天音が言い放ち、前から、後ろから、と言い合った末に俺が折れた。
 そして天音は、二度目の絶頂の瞬間にも俺の名を呼びながら果てた。

 だから……勘違いしちゃうだろって……。
 ほんと小悪魔だな。
 
 
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マスターの日常 短編集
冬磨×天音のおまけ♡LINE風会話
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