77 / 149
冬磨編
5 あまりに綺麗で息を呑む ※
しおりを挟む
天音が漏らす吐息、ビクビクと震える身体、バスローブを握りしめる手、何もかもがクる。なんだこれ。信じられない、この俺が。
あの事故のあと、こんなに高ぶりを感じたことはない。
俺は人肌には飢えているが、行為自体は冷めてるとよく言われる。それなりに成り立つ程度にしか興奮を覚えない。ヒデには今日も一回かと文句を言われる。でも、天音なら何回でもできそうだ。
天音の反応に高揚しながらそんなことを考えていると、ふいに天音が俺のうなじを撫で、そして乳首にふれてきた。
どっちの手も、どこかぎこちないその動き。乳首のほうは遠慮がちにふれてくるから、たまらず笑ってしまった。
「っ、天音、くすぐったい」
仕返しにと、俺は耳をなぶるように舐めてやった。
「ん……っ、……っ……」
これだけしても消え入りそうにしか漏れない天音の喘ぎ声。
身体の震えもすごい。
もしかして俺は、ものすごい勘違いをしていたのかもしれない。
天音の『セフレしかいない』という言葉で、自分と同じ基準で考えてしまった。さすがに俺ほどじゃないにしても、それなりにいるのかと、こういう行為は慣れてるのかと勝手に思い込んだ。
でも、たとえセフレが一人でも『セフレしかいない』と言うかもしれないし、経験値なんて人それぞれだ。もしかすると天音は、それほど経験がないのかもしれない。
「天音、緊張してる? もっと力抜いて。声も抑えんな」
バスローブを脱がせた天音の身体は、白くて華奢で透き通るように綺麗で、また俺の下半身がずくんと疼く。
女の身体とは全く違う。ちゃんと骨ばった男の身体なのに、あまりに綺麗で息を呑んだ。
――――ふれたい。
俺はまるで本能に従うように天音の身体にふれた。
ゆっくりと、そっと優しく。
「……ん……っ、ぁ……っ……」
どこを撫でてもビクビクと震え、かすかに漏らす控えめな声。
「マジか。天音、そういう感じ? ギャップやばいな。すごい……クる」
「……は……っぁ……」
耳元で喋るだけでも、わずかに背中を仰け反らせる。
まじでやばい。すげぇ可愛い……ほんとやばい。
ベッドに入るまでの天音は、無表情で遠慮のない強気な口調で、でも、その裏にどこか可愛さをにじませる不思議な子、そんな印象だった。
それなのになんなんだ。今の天音は、もう完全に小動物みたいな可愛らしさだ。
俺がなにをしても可愛く反応する。今までにないタイプのせいか、高揚感が半端ない。
ただ、天音の震えが少し気になった。緊張のせいだとしても尋常じゃない。感度がいいだけか?
天音は、吐息か喘ぎかわからない小さな可愛い声を上げながら、一生懸命に俺のバスローブの結び目を解こうとする。
俺の舌と手の愛撫に耐えられず、吐息を漏らしては指が止まる天音の可愛いさに、自然と口角が上がった。
俺の心はとっくに死んでいると思ってた。
でも、まだちゃんと生きてるんだと天音が教えてくれた。
天音が……教えてくれた。
ようやく結び目が解け、俺がバスローブを脱ぐと、天音はまた乳首にふれてきた。その指は、やっぱりどこかぎこちない。
「……ぁ……っ…………」
そして、また俺の愛撫に耐えられず、吐息と一緒に指の動きが止まる。
乳首にも天音の震えが伝わってきて、可愛すぎる……と悶えそうになった。
乳首に添えられているだけだった天音の指が離れていって、諦めたように腕を背中に回してきた。俺は思わず笑った。
「なに、もう諦めたの? もっとさわれよ、俺の乳首」
笑いながら顔を上げると、天音は瞳いっぱいに涙をためていた。
目が合うと、ハッとしたようにぎゅっと目を閉じて目尻から涙がこぼれ落ちる。
「天音? なんで泣いてる?」
俺が問いかけても何も答えない。
たった今、わずかに感情が見えた気がした天音の表情は、もう無表情だ。
「おい、天音? なんだよ……大丈夫か?」
嫌な予感がした。
もしかして、抱かれるのが怖い……?
いや、まさか……違うよな?
天音の無表情が少しでも変化しないか注視しながら、少し芯を持ちはじめてる天音のそれを優しく撫でてみた。
「はっ、……ぁ……っ……」
喘ぎ声と一緒にビクビクと腰が浮く。
表情はわずかに動いたが、恐怖心というよりも快楽にゆがんだように見えた。
「怖い……わけじゃねぇよな? 答えなかったらこのまま続けるぞ? 天音、どうした?」
なんで泣いた?
涙の理由は?
すると、天音がぎゅっと俺に抱きついて、震える声でささやいた。
「……きもち……いい……っ。とぉま……」
予想もしなかった『気持ちいい』という言葉と、舌っ足らずに呼ばれた俺の名に、ドクンと心臓が跳ね上がった。
「……っ、おま……っ。はぁ、マジか。こんな興奮するの久しぶり」
一気に熱を集めて硬くなった自分のもの。
いや……こんなことは、久しぶりどころか初めてかもしれないな。
あの事故のあと、こんなに高ぶりを感じたことはない。
俺は人肌には飢えているが、行為自体は冷めてるとよく言われる。それなりに成り立つ程度にしか興奮を覚えない。ヒデには今日も一回かと文句を言われる。でも、天音なら何回でもできそうだ。
天音の反応に高揚しながらそんなことを考えていると、ふいに天音が俺のうなじを撫で、そして乳首にふれてきた。
どっちの手も、どこかぎこちないその動き。乳首のほうは遠慮がちにふれてくるから、たまらず笑ってしまった。
「っ、天音、くすぐったい」
仕返しにと、俺は耳をなぶるように舐めてやった。
「ん……っ、……っ……」
これだけしても消え入りそうにしか漏れない天音の喘ぎ声。
身体の震えもすごい。
もしかして俺は、ものすごい勘違いをしていたのかもしれない。
天音の『セフレしかいない』という言葉で、自分と同じ基準で考えてしまった。さすがに俺ほどじゃないにしても、それなりにいるのかと、こういう行為は慣れてるのかと勝手に思い込んだ。
でも、たとえセフレが一人でも『セフレしかいない』と言うかもしれないし、経験値なんて人それぞれだ。もしかすると天音は、それほど経験がないのかもしれない。
「天音、緊張してる? もっと力抜いて。声も抑えんな」
バスローブを脱がせた天音の身体は、白くて華奢で透き通るように綺麗で、また俺の下半身がずくんと疼く。
女の身体とは全く違う。ちゃんと骨ばった男の身体なのに、あまりに綺麗で息を呑んだ。
――――ふれたい。
俺はまるで本能に従うように天音の身体にふれた。
ゆっくりと、そっと優しく。
「……ん……っ、ぁ……っ……」
どこを撫でてもビクビクと震え、かすかに漏らす控えめな声。
「マジか。天音、そういう感じ? ギャップやばいな。すごい……クる」
「……は……っぁ……」
耳元で喋るだけでも、わずかに背中を仰け反らせる。
まじでやばい。すげぇ可愛い……ほんとやばい。
ベッドに入るまでの天音は、無表情で遠慮のない強気な口調で、でも、その裏にどこか可愛さをにじませる不思議な子、そんな印象だった。
それなのになんなんだ。今の天音は、もう完全に小動物みたいな可愛らしさだ。
俺がなにをしても可愛く反応する。今までにないタイプのせいか、高揚感が半端ない。
ただ、天音の震えが少し気になった。緊張のせいだとしても尋常じゃない。感度がいいだけか?
天音は、吐息か喘ぎかわからない小さな可愛い声を上げながら、一生懸命に俺のバスローブの結び目を解こうとする。
俺の舌と手の愛撫に耐えられず、吐息を漏らしては指が止まる天音の可愛いさに、自然と口角が上がった。
俺の心はとっくに死んでいると思ってた。
でも、まだちゃんと生きてるんだと天音が教えてくれた。
天音が……教えてくれた。
ようやく結び目が解け、俺がバスローブを脱ぐと、天音はまた乳首にふれてきた。その指は、やっぱりどこかぎこちない。
「……ぁ……っ…………」
そして、また俺の愛撫に耐えられず、吐息と一緒に指の動きが止まる。
乳首にも天音の震えが伝わってきて、可愛すぎる……と悶えそうになった。
乳首に添えられているだけだった天音の指が離れていって、諦めたように腕を背中に回してきた。俺は思わず笑った。
「なに、もう諦めたの? もっとさわれよ、俺の乳首」
笑いながら顔を上げると、天音は瞳いっぱいに涙をためていた。
目が合うと、ハッとしたようにぎゅっと目を閉じて目尻から涙がこぼれ落ちる。
「天音? なんで泣いてる?」
俺が問いかけても何も答えない。
たった今、わずかに感情が見えた気がした天音の表情は、もう無表情だ。
「おい、天音? なんだよ……大丈夫か?」
嫌な予感がした。
もしかして、抱かれるのが怖い……?
いや、まさか……違うよな?
天音の無表情が少しでも変化しないか注視しながら、少し芯を持ちはじめてる天音のそれを優しく撫でてみた。
「はっ、……ぁ……っ……」
喘ぎ声と一緒にビクビクと腰が浮く。
表情はわずかに動いたが、恐怖心というよりも快楽にゆがんだように見えた。
「怖い……わけじゃねぇよな? 答えなかったらこのまま続けるぞ? 天音、どうした?」
なんで泣いた?
涙の理由は?
すると、天音がぎゅっと俺に抱きついて、震える声でささやいた。
「……きもち……いい……っ。とぉま……」
予想もしなかった『気持ちいい』という言葉と、舌っ足らずに呼ばれた俺の名に、ドクンと心臓が跳ね上がった。
「……っ、おま……っ。はぁ、マジか。こんな興奮するの久しぶり」
一気に熱を集めて硬くなった自分のもの。
いや……こんなことは、久しぶりどころか初めてかもしれないな。
88
お気に入りに追加
2,094
あなたにおすすめの小説
悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
▼毎日18時投稿予定
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
もう人気者とは付き合っていられません
花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。
モテるのは当然だ。でも――。
『たまには二人だけで過ごしたい』
そう願うのは、贅沢なのだろうか。
いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。
「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。
ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。
生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。
※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
どうせ全部、知ってるくせに。
楽川楽
BL
【腹黒美形×単純平凡】
親友と、飲み会の悪ふざけでキスをした。単なる罰ゲームだったのに、どうしてもあのキスが忘れられない…。
飲み会のノリでしたキスで、親友を意識し始めてしまった単純な受けが、まんまと腹黒攻めに捕まるお話。
※fujossyさんの属性コンテスト『ノンケ受け』部門にて優秀賞をいただいた作品です。
【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる