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冬磨編
5 あまりに綺麗で息を呑む ※
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天音が漏らす吐息、ビクビクと震える身体、バスローブを握りしめる手、何もかもがクる。なんだこれ。信じられない、この俺が。
あの事故のあと、こんなに高ぶりを感じたことはない。
俺は人肌には飢えているが、行為自体は冷めてるとよく言われる。それなりに成り立つ程度にしか興奮を覚えない。ヒデには今日も一回かと文句を言われる。でも、天音なら何回でもできそうだ。
天音の反応に高揚しながらそんなことを考えていると、ふいに天音が俺のうなじを撫で、そして乳首にふれてきた。
どっちの手も、どこかぎこちないその動き。乳首のほうは遠慮がちにふれてくるから、たまらず笑ってしまった。
「っ、天音、くすぐったい」
仕返しにと、俺は耳をなぶるように舐めてやった。
「ん……っ、……っ……」
これだけしても消え入りそうにしか漏れない天音の喘ぎ声。
身体の震えもすごい。
もしかして俺は、ものすごい勘違いをしていたのかもしれない。
天音の『セフレしかいない』という言葉で、自分と同じ基準で考えてしまった。さすがに俺ほどじゃないにしても、それなりにいるのかと、こういう行為は慣れてるのかと勝手に思い込んだ。
でも、たとえセフレが一人でも『セフレしかいない』と言うかもしれないし、経験値なんて人それぞれだ。もしかすると天音は、それほど経験がないのかもしれない。
「天音、緊張してる? もっと力抜いて。声も抑えんな」
バスローブを脱がせた天音の身体は、白くて華奢で透き通るように綺麗で、また俺の下半身がずくんと疼く。
女の身体とは全く違う。ちゃんと骨ばった男の身体なのに、あまりに綺麗で息を呑んだ。
――――ふれたい。
俺はまるで本能に従うように天音の身体にふれた。
ゆっくりと、そっと優しく。
「……ん……っ、ぁ……っ……」
どこを撫でてもビクビクと震え、かすかに漏らす控えめな声。
「マジか。天音、そういう感じ? ギャップやばいな。すごい……クる」
「……は……っぁ……」
耳元で喋るだけでも、わずかに背中を仰け反らせる。
まじでやばい。すげぇ可愛い……ほんとやばい。
ベッドに入るまでの天音は、無表情で遠慮のない強気な口調で、でも、その裏にどこか可愛さをにじませる不思議な子、そんな印象だった。
それなのになんなんだ。今の天音は、もう完全に小動物みたいな可愛らしさだ。
俺がなにをしても可愛く反応する。今までにないタイプのせいか、高揚感が半端ない。
ただ、天音の震えが少し気になった。緊張のせいだとしても尋常じゃない。感度がいいだけか?
天音は、吐息か喘ぎかわからない小さな可愛い声を上げながら、一生懸命に俺のバスローブの結び目を解こうとする。
俺の舌と手の愛撫に耐えられず、吐息を漏らしては指が止まる天音の可愛いさに、自然と口角が上がった。
俺の心はとっくに死んでいると思ってた。
でも、まだちゃんと生きてるんだと天音が教えてくれた。
天音が……教えてくれた。
ようやく結び目が解け、俺がバスローブを脱ぐと、天音はまた乳首にふれてきた。その指は、やっぱりどこかぎこちない。
「……ぁ……っ…………」
そして、また俺の愛撫に耐えられず、吐息と一緒に指の動きが止まる。
乳首にも天音の震えが伝わってきて、可愛すぎる……と悶えそうになった。
乳首に添えられているだけだった天音の指が離れていって、諦めたように腕を背中に回してきた。俺は思わず笑った。
「なに、もう諦めたの? もっとさわれよ、俺の乳首」
笑いながら顔を上げると、天音は瞳いっぱいに涙をためていた。
目が合うと、ハッとしたようにぎゅっと目を閉じて目尻から涙がこぼれ落ちる。
「天音? なんで泣いてる?」
俺が問いかけても何も答えない。
たった今、わずかに感情が見えた気がした天音の表情は、もう無表情だ。
「おい、天音? なんだよ……大丈夫か?」
嫌な予感がした。
もしかして、抱かれるのが怖い……?
いや、まさか……違うよな?
天音の無表情が少しでも変化しないか注視しながら、少し芯を持ちはじめてる天音のそれを優しく撫でてみた。
「はっ、……ぁ……っ……」
喘ぎ声と一緒にビクビクと腰が浮く。
表情はわずかに動いたが、恐怖心というよりも快楽にゆがんだように見えた。
「怖い……わけじゃねぇよな? 答えなかったらこのまま続けるぞ? 天音、どうした?」
なんで泣いた?
涙の理由は?
すると、天音がぎゅっと俺に抱きついて、震える声でささやいた。
「……きもち……いい……っ。とぉま……」
予想もしなかった『気持ちいい』という言葉と、舌っ足らずに呼ばれた俺の名に、ドクンと心臓が跳ね上がった。
「……っ、おま……っ。はぁ、マジか。こんな興奮するの久しぶり」
一気に熱を集めて硬くなった自分のもの。
いや……こんなことは、久しぶりどころか初めてかもしれないな。
あの事故のあと、こんなに高ぶりを感じたことはない。
俺は人肌には飢えているが、行為自体は冷めてるとよく言われる。それなりに成り立つ程度にしか興奮を覚えない。ヒデには今日も一回かと文句を言われる。でも、天音なら何回でもできそうだ。
天音の反応に高揚しながらそんなことを考えていると、ふいに天音が俺のうなじを撫で、そして乳首にふれてきた。
どっちの手も、どこかぎこちないその動き。乳首のほうは遠慮がちにふれてくるから、たまらず笑ってしまった。
「っ、天音、くすぐったい」
仕返しにと、俺は耳をなぶるように舐めてやった。
「ん……っ、……っ……」
これだけしても消え入りそうにしか漏れない天音の喘ぎ声。
身体の震えもすごい。
もしかして俺は、ものすごい勘違いをしていたのかもしれない。
天音の『セフレしかいない』という言葉で、自分と同じ基準で考えてしまった。さすがに俺ほどじゃないにしても、それなりにいるのかと、こういう行為は慣れてるのかと勝手に思い込んだ。
でも、たとえセフレが一人でも『セフレしかいない』と言うかもしれないし、経験値なんて人それぞれだ。もしかすると天音は、それほど経験がないのかもしれない。
「天音、緊張してる? もっと力抜いて。声も抑えんな」
バスローブを脱がせた天音の身体は、白くて華奢で透き通るように綺麗で、また俺の下半身がずくんと疼く。
女の身体とは全く違う。ちゃんと骨ばった男の身体なのに、あまりに綺麗で息を呑んだ。
――――ふれたい。
俺はまるで本能に従うように天音の身体にふれた。
ゆっくりと、そっと優しく。
「……ん……っ、ぁ……っ……」
どこを撫でてもビクビクと震え、かすかに漏らす控えめな声。
「マジか。天音、そういう感じ? ギャップやばいな。すごい……クる」
「……は……っぁ……」
耳元で喋るだけでも、わずかに背中を仰け反らせる。
まじでやばい。すげぇ可愛い……ほんとやばい。
ベッドに入るまでの天音は、無表情で遠慮のない強気な口調で、でも、その裏にどこか可愛さをにじませる不思議な子、そんな印象だった。
それなのになんなんだ。今の天音は、もう完全に小動物みたいな可愛らしさだ。
俺がなにをしても可愛く反応する。今までにないタイプのせいか、高揚感が半端ない。
ただ、天音の震えが少し気になった。緊張のせいだとしても尋常じゃない。感度がいいだけか?
天音は、吐息か喘ぎかわからない小さな可愛い声を上げながら、一生懸命に俺のバスローブの結び目を解こうとする。
俺の舌と手の愛撫に耐えられず、吐息を漏らしては指が止まる天音の可愛いさに、自然と口角が上がった。
俺の心はとっくに死んでいると思ってた。
でも、まだちゃんと生きてるんだと天音が教えてくれた。
天音が……教えてくれた。
ようやく結び目が解け、俺がバスローブを脱ぐと、天音はまた乳首にふれてきた。その指は、やっぱりどこかぎこちない。
「……ぁ……っ…………」
そして、また俺の愛撫に耐えられず、吐息と一緒に指の動きが止まる。
乳首にも天音の震えが伝わってきて、可愛すぎる……と悶えそうになった。
乳首に添えられているだけだった天音の指が離れていって、諦めたように腕を背中に回してきた。俺は思わず笑った。
「なに、もう諦めたの? もっとさわれよ、俺の乳首」
笑いながら顔を上げると、天音は瞳いっぱいに涙をためていた。
目が合うと、ハッとしたようにぎゅっと目を閉じて目尻から涙がこぼれ落ちる。
「天音? なんで泣いてる?」
俺が問いかけても何も答えない。
たった今、わずかに感情が見えた気がした天音の表情は、もう無表情だ。
「おい、天音? なんだよ……大丈夫か?」
嫌な予感がした。
もしかして、抱かれるのが怖い……?
いや、まさか……違うよな?
天音の無表情が少しでも変化しないか注視しながら、少し芯を持ちはじめてる天音のそれを優しく撫でてみた。
「はっ、……ぁ……っ……」
喘ぎ声と一緒にビクビクと腰が浮く。
表情はわずかに動いたが、恐怖心というよりも快楽にゆがんだように見えた。
「怖い……わけじゃねぇよな? 答えなかったらこのまま続けるぞ? 天音、どうした?」
なんで泣いた?
涙の理由は?
すると、天音がぎゅっと俺に抱きついて、震える声でささやいた。
「……きもち……いい……っ。とぉま……」
予想もしなかった『気持ちいい』という言葉と、舌っ足らずに呼ばれた俺の名に、ドクンと心臓が跳ね上がった。
「……っ、おま……っ。はぁ、マジか。こんな興奮するの久しぶり」
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