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66 キャンプだっ!
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「ごめんな。がっついちゃって」
「そんなの、俺も……だよ……」
本当はいろいろ寄り道するつもりで旭川経由で行くはずだったけれど、時間が遅くなったから山道を行くことにした。
理由が理由だから恥ずかしくて、二人で目を見合わせて苦笑した。
「ごめんね、運転替わってあげられなくて」
免許は持ってるけれど完全にペーパーで、山道の運転なんて絶対に無理だった。
ご両親の事故は山道だと言っていたし大丈夫なのか心配だったけれど、冬磨は「心配すんな。大丈夫だから」と笑った。
「それに、お前がペーパーじゃなくても交替でとか考えてねぇよ」
「……そっか」
「だってお前、すげぇおっちょこちょいじゃん?」
と、冬磨がふはっと笑った。
おっちょこちょいなんて言われたの、初めて会ったとき以来だ。
「運転怖ぇもん」
「や、山道じゃなかったらちゃんと運転できるよ……っ。た、ぶん」
「たぶん、な?」
クスクス笑って俺の頭をくしゃっと撫でる。
「もういいんじゃね? 俺がいればずっとペーパーでもさ」
冬磨の言葉は、もうずっと一緒だろ? と言ってるように聞こえて、嬉しくてぶわっと感情があふれた。
「な?」
「……うん」
素直にうなずくと、冬磨が嬉しそうに笑ってくれた。
「昼はどうすっか。旭川でラーメンでもって思ってたから、ほかはなんも考えてなかったわ……」
「あ、ねぇ冬磨」
「ん?」
「あのね。わがまま言っても……いい?」
俺がそう聞くと、冬磨がふはっと笑った。
「お前、いつもそうやって確認するよな? なんでも言えって。確認いらねぇから」
またくしゃっと頭を撫でながら「でも、確認も可愛いんだよな」とつぶやくから、ずっと確認しようとこっそり思った。
富良野に行くなら、どうしても行きたいところがあった。プリンとチーズケーキとソフトクリームが有名ですごく美味しいところ。
夜はキャンプ場でバーベキューの予定だ。だから、お昼は軽くすませてデザートを食べたい。そう説明すると、冬磨は笑顔で了承してくれた。
「じゃあ昼はコンビニでいっか?」
「うん、いい!」
「時間も短縮になるし丁度いいな」
「あ、でも、冬磨甘いもの大丈夫?」
「俺甘いのすげぇ好き。パンケーキとかクレープとかめっちゃ好き」
「えっ、じゃあ今度――――」
「今度一緒に行こうな?」
「うんっ!」
思いがけず次のデートの約束ができて、俺は飛び上がるくらい嬉しくなった。
コンビニでお昼を買って車の中で軽くすませ、ドライブを楽しみながら富良野を目指す。
途中で滝を見たり、キツネに遭遇したり、冬磨と一緒だとなんでも楽しくて幸せだった。
富良野に入って、子供の頃キャンプの行き帰りに必ず寄ったお店でデザートを堪能する。
コーヒーと一緒にチーズケーキを食べて、そのあとはソフトクリーム。
チーズケーキは二人で半分こにした。
「ん、美味いっ」
「ね、美味し~!」
「プリンはいいのか?」
「プリンは持ち帰るっ!」
「え、持って帰んの?」
「うん、夜に食べたいっ」
「……あー……かわい。お前のまわりに音符が飛んでるのが見えるわ」
「お、音符?」
俺、そんなにウキウキしてたかな。……してたかも。だって、冬磨と一緒ってだけですごく楽しいもん。
プリンを買わずにお店を出ようとする俺を冬磨が止めた。でも、俺は笑顔で冬磨の手を引っ張った。
小走りで冬磨を連れていった先はプリンの自販機。
「えっ、プリンの自販機なんてあるんだ」
「昔来たときはなかったんだ。さっき来たとき見つけたの。だから、せっかくならこっちで買ってみたくて。ね? 楽しそうでしょ?」
「ふはっ。うん、楽しそう」
「でしょっ」
「お前が」
「えっ、じゃなくて自販機がだよ」
「んじゃ、両方」
なんだか腑に落ちないけど、冬磨が楽しそうに笑ってるからいいか、と俺も一緒に笑った。
買ったプリンは保冷バッグに仕舞って出発する。
途中、キャンプ場の近くのスーパーに寄って色々と買い込んだ。
「夜はバーベキューで、朝はどうする?」
「朝はキャンプ場でパンが売ってるよ」
「……ん? お前なんでそんなこと知ってんの?」
不思議そうな顔で聞かれて、なにも伝えていないことに気がついた。
「あ、あのね。子供の頃、毎年父さんとあのキャンプ場に行ってたんだ。中学生までだけど」
「あ、なんだ、そうだったのか。ま、星が好きならそうだよな」
「でも、高校からは部活で忙しくなってずっと行ってなかったから、今日すっごい楽しみっ!」
「そっか。ならよかった。んで、朝はパン売ってるって?」
「うんっ。美味しいロールサンドが売ってるよっ」
そう答えると、冬磨がじっと俺を見つめてからクスクス笑い出した。
「……じゃあそれにしよ」
「……なんで笑ってるの?」
「音符が見えるから」
わしゃわしゃっと頭を撫でて冬磨が笑った。
「焚き火ができるってネットに書いてあったけど……薪も買ってったほうがいいのかな」
「薪も向こうに売ってるよ。キャンプに来てる子供たちが薪売り手伝うの。『薪いかがですか~』って。すっごい可愛いよっ」
「……じゃあそれでいっか」
「うんっ」
ただの買い物も、冬磨がずっと楽しそうだから俺もすごく楽しかった。
「そんなの、俺も……だよ……」
本当はいろいろ寄り道するつもりで旭川経由で行くはずだったけれど、時間が遅くなったから山道を行くことにした。
理由が理由だから恥ずかしくて、二人で目を見合わせて苦笑した。
「ごめんね、運転替わってあげられなくて」
免許は持ってるけれど完全にペーパーで、山道の運転なんて絶対に無理だった。
ご両親の事故は山道だと言っていたし大丈夫なのか心配だったけれど、冬磨は「心配すんな。大丈夫だから」と笑った。
「それに、お前がペーパーじゃなくても交替でとか考えてねぇよ」
「……そっか」
「だってお前、すげぇおっちょこちょいじゃん?」
と、冬磨がふはっと笑った。
おっちょこちょいなんて言われたの、初めて会ったとき以来だ。
「運転怖ぇもん」
「や、山道じゃなかったらちゃんと運転できるよ……っ。た、ぶん」
「たぶん、な?」
クスクス笑って俺の頭をくしゃっと撫でる。
「もういいんじゃね? 俺がいればずっとペーパーでもさ」
冬磨の言葉は、もうずっと一緒だろ? と言ってるように聞こえて、嬉しくてぶわっと感情があふれた。
「な?」
「……うん」
素直にうなずくと、冬磨が嬉しそうに笑ってくれた。
「昼はどうすっか。旭川でラーメンでもって思ってたから、ほかはなんも考えてなかったわ……」
「あ、ねぇ冬磨」
「ん?」
「あのね。わがまま言っても……いい?」
俺がそう聞くと、冬磨がふはっと笑った。
「お前、いつもそうやって確認するよな? なんでも言えって。確認いらねぇから」
またくしゃっと頭を撫でながら「でも、確認も可愛いんだよな」とつぶやくから、ずっと確認しようとこっそり思った。
富良野に行くなら、どうしても行きたいところがあった。プリンとチーズケーキとソフトクリームが有名ですごく美味しいところ。
夜はキャンプ場でバーベキューの予定だ。だから、お昼は軽くすませてデザートを食べたい。そう説明すると、冬磨は笑顔で了承してくれた。
「じゃあ昼はコンビニでいっか?」
「うん、いい!」
「時間も短縮になるし丁度いいな」
「あ、でも、冬磨甘いもの大丈夫?」
「俺甘いのすげぇ好き。パンケーキとかクレープとかめっちゃ好き」
「えっ、じゃあ今度――――」
「今度一緒に行こうな?」
「うんっ!」
思いがけず次のデートの約束ができて、俺は飛び上がるくらい嬉しくなった。
コンビニでお昼を買って車の中で軽くすませ、ドライブを楽しみながら富良野を目指す。
途中で滝を見たり、キツネに遭遇したり、冬磨と一緒だとなんでも楽しくて幸せだった。
富良野に入って、子供の頃キャンプの行き帰りに必ず寄ったお店でデザートを堪能する。
コーヒーと一緒にチーズケーキを食べて、そのあとはソフトクリーム。
チーズケーキは二人で半分こにした。
「ん、美味いっ」
「ね、美味し~!」
「プリンはいいのか?」
「プリンは持ち帰るっ!」
「え、持って帰んの?」
「うん、夜に食べたいっ」
「……あー……かわい。お前のまわりに音符が飛んでるのが見えるわ」
「お、音符?」
俺、そんなにウキウキしてたかな。……してたかも。だって、冬磨と一緒ってだけですごく楽しいもん。
プリンを買わずにお店を出ようとする俺を冬磨が止めた。でも、俺は笑顔で冬磨の手を引っ張った。
小走りで冬磨を連れていった先はプリンの自販機。
「えっ、プリンの自販機なんてあるんだ」
「昔来たときはなかったんだ。さっき来たとき見つけたの。だから、せっかくならこっちで買ってみたくて。ね? 楽しそうでしょ?」
「ふはっ。うん、楽しそう」
「でしょっ」
「お前が」
「えっ、じゃなくて自販機がだよ」
「んじゃ、両方」
なんだか腑に落ちないけど、冬磨が楽しそうに笑ってるからいいか、と俺も一緒に笑った。
買ったプリンは保冷バッグに仕舞って出発する。
途中、キャンプ場の近くのスーパーに寄って色々と買い込んだ。
「夜はバーベキューで、朝はどうする?」
「朝はキャンプ場でパンが売ってるよ」
「……ん? お前なんでそんなこと知ってんの?」
不思議そうな顔で聞かれて、なにも伝えていないことに気がついた。
「あ、あのね。子供の頃、毎年父さんとあのキャンプ場に行ってたんだ。中学生までだけど」
「あ、なんだ、そうだったのか。ま、星が好きならそうだよな」
「でも、高校からは部活で忙しくなってずっと行ってなかったから、今日すっごい楽しみっ!」
「そっか。ならよかった。んで、朝はパン売ってるって?」
「うんっ。美味しいロールサンドが売ってるよっ」
そう答えると、冬磨がじっと俺を見つめてからクスクス笑い出した。
「……じゃあそれにしよ」
「……なんで笑ってるの?」
「音符が見えるから」
わしゃわしゃっと頭を撫でて冬磨が笑った。
「焚き火ができるってネットに書いてあったけど……薪も買ってったほうがいいのかな」
「薪も向こうに売ってるよ。キャンプに来てる子供たちが薪売り手伝うの。『薪いかがですか~』って。すっごい可愛いよっ」
「……じゃあそれでいっか」
「うんっ」
ただの買い物も、冬磨がずっと楽しそうだから俺もすごく楽しかった。
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