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目が覚めたとき、ぼんやりした頭で、まだ夢の中かなと思った。
幸せなBGMが黒木の心の声だと気づくまで。
『――――…………きだよ野間。好きだ……。野間も俺が好き……か。まだ夢みたいだな。昨日は本当に可愛かった。いままで呪文の裏であんなに好き好き言ってたのか……? くそ、もったいないな。過去に戻ってやり直して全部聞きたい。…………いや、贅沢だな。そんなことしなくてもいまでも充分……死ぬほど幸せだ』
ぎゅっと俺を抱きしめる腕に力がこもる。
こんなに幸せな目覚め、あってもいいのかな。
昨日一日で一生分の幸せをもらった気分だったのに、今日も幸せだ……。
『野間の声……』
「起きたのか?」
「……うん、黒木の声で起きた」
「そ、うか。すまん起こしたか」
『朝は本でも読んでるか……』
「え、やだっ。俺、黒木の声で起きたいっ。すっっげぇ幸せだもんっ」
「……う、わかった」
『あぁ可愛い。可愛すぎる……』
「絶対だからな?」
しっかり目が覚めて、やっと俺は黒木に後ろから抱きしめられていると気づく。
顔が見たい。そう思って振り向こうとしたのに、黒木の腕がそれを阻止するようにさらにグッと強く抱きしめてきた。
「黒木?」
『だめだ。いま野間の顔を見たら……』
俺の顔を見たらなんだよ?
『だめだ……まだ顔も見てないのに……』
だからなんなんだよ、と思った次の瞬間、黒木の心が俺でいっぱいになった。
昨日のアレコレが映像で流れてくる。
……マジで? うそだろ?
もしかして黒木、いますぐ俺がほしいって思ってる?
「すまん……野間。……本で閉ざしていいか?」
「は? なんでっ。俺めっちゃ嬉しくて幸せなのにっ」
「……引いてないのか?」
「引くわけねぇじゃんっ。朝から求められるの幸せすぎるっ」
こんなの初めてじゃんっ。うわっマジかっ。
朝から俺をほしがってる黒木可愛いっ。好きっ。
「可愛いって言うな……」
「だって可愛いしっ」
ふれあっている足先を、甘えるようにスリスリと撫でた。
「なぁ……しよ?」
俺を抱きしめる腕の力が緩まない。黒木と向き合いたいのになんでだよ。
「お前の顔見るときっとまた暴走する……。やるならもう少しゆっくりやりたい。このままじゃダメか?」
「このまま?」
黒木の下半身がグッと押し付けられると、もうそこは硬くなっていた。
「この体勢まま入れたらダメか?」
耳元でささやかれてゾクゾクして身体が震えた。
黒木の顔は見たいけど、ゆっくりやるってどんな感じだろ……期待で後ろがうずく。
「うん……いいよ」
そう答えると、俺を包む腕がやっと緩む。
黒木が腕を伸ばしてゴムとローションを取るあいだに、俺は下をサッと脱いで後ろ手で黒木のものを取り出した。
「おい、そんな急ぐな」
「も……はやくほしい」
「……わかったからちょっと待て」
なだめるように耳にチュッとキスをされた。
わかってる。黒木もいますぐ俺をほしがってる。心が通じ合う。それがなによりも嬉しくて幸せだった。
「後ろ……すぐ入る……?」
昨日あんなにしたんだ。慣らさなくても入るよな?
黒木の指が確認するようにそっと入り込んでくる。
「んん……っ」
「ああ、まだ柔らかい」
「じゃあ……すぐ入れて……」
「……わかった」
すごく愛おしそうに後ろから包み込まれ、また耳にキスを落される。
「は……ぁ、黒木…………、ん……」
ゆっくりと黒木が中に入ってきたとき、熱くて切なげな吐息が耳にかかってゾクッとした。
黒木……気持ちよさそう。
「野間……好きだ」
「ん……、うん……好き……黒木……、あ……」
黒木のものが、ゆっくりゆっくり俺の中を出入りする。
耳に、首に、うなじに、黒木の吐息がかかる。
ぎゅっと抱きしめる腕、耳にかかる吐息、ずっと聞こえる心の声。黒木の全部で愛されてる幸せに全身がとろけた。
黒木、好き。大好き。ずっとずっとこうしていたい……。
「……ん……、あ……、……きもち……ぃ、ン……」
「俺も気持ちいいよ……野間」
昨日の激しいのとは全然違う。ゆっくり溶かされる感じ。
俺、どっちも幸せ……。
幸せなBGMが黒木の心の声だと気づくまで。
『――――…………きだよ野間。好きだ……。野間も俺が好き……か。まだ夢みたいだな。昨日は本当に可愛かった。いままで呪文の裏であんなに好き好き言ってたのか……? くそ、もったいないな。過去に戻ってやり直して全部聞きたい。…………いや、贅沢だな。そんなことしなくてもいまでも充分……死ぬほど幸せだ』
ぎゅっと俺を抱きしめる腕に力がこもる。
こんなに幸せな目覚め、あってもいいのかな。
昨日一日で一生分の幸せをもらった気分だったのに、今日も幸せだ……。
『野間の声……』
「起きたのか?」
「……うん、黒木の声で起きた」
「そ、うか。すまん起こしたか」
『朝は本でも読んでるか……』
「え、やだっ。俺、黒木の声で起きたいっ。すっっげぇ幸せだもんっ」
「……う、わかった」
『あぁ可愛い。可愛すぎる……』
「絶対だからな?」
しっかり目が覚めて、やっと俺は黒木に後ろから抱きしめられていると気づく。
顔が見たい。そう思って振り向こうとしたのに、黒木の腕がそれを阻止するようにさらにグッと強く抱きしめてきた。
「黒木?」
『だめだ。いま野間の顔を見たら……』
俺の顔を見たらなんだよ?
『だめだ……まだ顔も見てないのに……』
だからなんなんだよ、と思った次の瞬間、黒木の心が俺でいっぱいになった。
昨日のアレコレが映像で流れてくる。
……マジで? うそだろ?
もしかして黒木、いますぐ俺がほしいって思ってる?
「すまん……野間。……本で閉ざしていいか?」
「は? なんでっ。俺めっちゃ嬉しくて幸せなのにっ」
「……引いてないのか?」
「引くわけねぇじゃんっ。朝から求められるの幸せすぎるっ」
こんなの初めてじゃんっ。うわっマジかっ。
朝から俺をほしがってる黒木可愛いっ。好きっ。
「可愛いって言うな……」
「だって可愛いしっ」
ふれあっている足先を、甘えるようにスリスリと撫でた。
「なぁ……しよ?」
俺を抱きしめる腕の力が緩まない。黒木と向き合いたいのになんでだよ。
「お前の顔見るときっとまた暴走する……。やるならもう少しゆっくりやりたい。このままじゃダメか?」
「このまま?」
黒木の下半身がグッと押し付けられると、もうそこは硬くなっていた。
「この体勢まま入れたらダメか?」
耳元でささやかれてゾクゾクして身体が震えた。
黒木の顔は見たいけど、ゆっくりやるってどんな感じだろ……期待で後ろがうずく。
「うん……いいよ」
そう答えると、俺を包む腕がやっと緩む。
黒木が腕を伸ばしてゴムとローションを取るあいだに、俺は下をサッと脱いで後ろ手で黒木のものを取り出した。
「おい、そんな急ぐな」
「も……はやくほしい」
「……わかったからちょっと待て」
なだめるように耳にチュッとキスをされた。
わかってる。黒木もいますぐ俺をほしがってる。心が通じ合う。それがなによりも嬉しくて幸せだった。
「後ろ……すぐ入る……?」
昨日あんなにしたんだ。慣らさなくても入るよな?
黒木の指が確認するようにそっと入り込んでくる。
「んん……っ」
「ああ、まだ柔らかい」
「じゃあ……すぐ入れて……」
「……わかった」
すごく愛おしそうに後ろから包み込まれ、また耳にキスを落される。
「は……ぁ、黒木…………、ん……」
ゆっくりと黒木が中に入ってきたとき、熱くて切なげな吐息が耳にかかってゾクッとした。
黒木……気持ちよさそう。
「野間……好きだ」
「ん……、うん……好き……黒木……、あ……」
黒木のものが、ゆっくりゆっくり俺の中を出入りする。
耳に、首に、うなじに、黒木の吐息がかかる。
ぎゅっと抱きしめる腕、耳にかかる吐息、ずっと聞こえる心の声。黒木の全部で愛されてる幸せに全身がとろけた。
黒木、好き。大好き。ずっとずっとこうしていたい……。
「……ん……、あ……、……きもち……ぃ、ン……」
「俺も気持ちいいよ……野間」
昨日の激しいのとは全然違う。ゆっくり溶かされる感じ。
俺、どっちも幸せ……。
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