心が聞こえる二人の恋の物語

たっこ

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 キスをしながら黒木の手が身体中を這う。

「……んっ、く……ろき、……アッ、あぁっ」

 ビクンとして反った背中に、黒木が手を差し入れてきた。

「はぁン……ッ!」
 
 背中をそっと撫でられて、ゾクゾクと快感が走った。
 
「背中もか?」

 黒木はクッと笑うと、背中を撫でながら俺の身体をうつ伏せにした。

「あ……くろ……き……」

 顔が見えない。寂しい……。そんなことを思う余裕があったのは一瞬だった。

「……アッ、は……ぁっ、……ンンッ!」

 後ろから首や耳を舐められながら、黒木の指が背骨にそってツーっと撫で上げる。
 ゾクゾクが止まらなくて、背中が何度ものけ反った。
 
「それやだっ、アッ、あぁっ! はぁっ、くろきぃっ、やぁ……っ」

 やばいやばいやばいっ。すげぇ気持ちい……っ

「また、ちぐはぐだな」
 
 黒木はそう言って楽しそうに笑う。

「う……うっさいっ。あ……ぁンッ、言うな……よっ! あぁ……っ、ンンッ、やば……いぃ……っ」
『ほんと、可愛いな……。もっと鳴かせたい』
「ああ……っ、ンッ、……ひぁっ!」
 
 舌が首から背中に下がっていって、手は脇腹を優しく撫でる。やばい気持ちい……黒木の舌も手も……優しい。
 脇腹なんてこしょばいだけのはずなのに。同時に背中を舐められながら快感が全身にまわる。
 黒木の心からまた『可愛い』が何度も流れてきて、よけいにゾクゾクが止まらない。

「んん……っ、アッ、きもち……いぃ、はぁっっ、くろきぃ……っ」

 執拗に背中を愛撫され続けて、もう頭が真っ白になってきた。黒木がほしい。もう我慢できない。後ろがうずいてしかたない……。
 パチンとローションを開ける音がして、一気に期待が高まる。
 黒木の心から、俺を抱いている映像が見えてきた。黒木も俺をほしいと思ってくれてる。嬉しくてそれだけでもう抱かれてる気分になって幸せになれた。

「じゃあもうコレいらないか?」

 俺の後ろに、ヌルヌルとなにかがこすられる。
 たぶんローションで準備された黒木のものだ。

「な……にそれ。AVのセリフみてぇ」

 おかしくなって笑う俺に黒木が聞いた。

「お前本当に見たことあるのか?」
「……ん? あるよ?」

 父さんの隠してるDVDの場所なんて知ってるし。

「なるほど。隠しごとはお前には通用しないもんな」
「黒木……も……いいから早く……」

 俺がいつものように前を向こうとしたら「後ろのままで」と止められた。

「後ろのほうが負担が少ないらしい」
「そ……なの?」
「もう無理しすぎだから、後ろからな。ちょっと腰上げろ」
「……ん。でもなんか……これ恥ずい……」
「大丈夫だ、可愛いから」

 またもう……なんでも可愛いんじゃん。
 黒木が心を聞いてクッと笑う。

「頭は下ろしとけ」

 手をついて上げていた上半身を、黒木がそっと優しく押す。俺は言われるままに突っ張っていた手を解いて頭を下ろした。

「こう?」
「そう。その方が楽だろ」
「……ん」

 やばい。黒木がめっちゃ優しくてキュンてなる……。
 ローションを後ろに塗られて、黒木の指がゆっくりと入ってきた。

「はぁっっ、あっ、もう……指いいって……、んんっ」
「一応な。大丈夫そうだ。すぐ入れていいか?」
「うん。入れて……」

 もう待てない。黒木が早くほしい……。
 
「はぁ、ほんと……。このときだけはお前の心が聞こえなければいいのにと思うよ」
「え……なんで……?」
「お前がすぐ煽るからだ。ひどくしそうで怖くなる……」

 黒木はすぐ俺が煽るっていうけどよくわからない。
 黒木のものがヌルヌルと後ろをくすぐって、ゆっくりと優しく入ってきた。

「……んっ、あ……黒木……っ、はぁ……っ」

 俺はこの瞬間が好きだ。黒木が俺の中に少しづつ入ってくる。あったかい黒木のもの。俺と黒木を繋ぐもの。

「……入った。……野間、平気か?」
「……ん。黒木でいっぱい……嬉しい……」
「……はぁ……ほんと、天然小悪魔……」
「え?」
 
 ボソッとつぶやかれた言葉に首をかしげる。
 なに、天然小悪魔って。
 
「なんでもない。……もうなじんでるな」

 黒木はそう言うと、俺の中をゆっくりと動き始めた。

 
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