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異形の者

異形の者2

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不気味な笑い声がピタリと止まると、 異形な者は指の隙間から俺達を品定めでもする様に視線を泳がせる。

俺へと向けられる奴の崩れた笑みに背筋が凍りつくようだった


「あなたニきめたぁあアーー!! イヒヒヒ…… っ……!! 」


俺の景色は一瞬にして空を映し出していた、肩に激痛が走り必死に状況を理解しようと脳がフル回転して行く


「な、何が…… !? ぐぁ……ぁあ!! 」


背中に伝わる地面の冷たさ、 俺は両肩を鷲掴みにされ地面へと押し倒されていた


「ハ、ハク様ぁぁあ!? 」


ササラの焦りの声が聞こえてくる。 俺は直ぐに体を捻りなんとか奴から抜け出す為に抗うが、 体を動かすたびに徐々に肩へと指先は食い込んでいく。

徐々に奴の腕から覗く筋肉が肥大して行くのが見えた。


「ぐっ、うぁぁああ……! 」


俺の顔を除きこんだヤツの表情は満悦そうに歪んでいた……

異形の者は俺の肩に食い込む指を強引に引き抜くと、 左手の指先に付着した俺の血液を長い舌で舐め取っていく


「あアぁあアーーッ! さいこウぅ…… あなタいイわぁァ……!! おいシいわァぁあーー!?

さいコ…… う…… ッ? …… う…… ?

…… あひっッ!? げッヒ……!? 」


突然ヤツの目はグルリと白目へと変わると、
一瞬だがもう片方の肩に食い込むヤツの指先が緩んだのを感じた。

俺はアポカリプスで態勢の悪い中、 何とか斬りつけその場を脱出する事に成功するのだった

ササラ、 アリス、 リムの3人は急いで俺の元へと駆けつけてくる


「ハク様!! 大丈夫ですか!! 」

「動き…… 速すぎる…… 反応できない…… 」

「肩大丈夫なの!? 酷い出血…… 」


俺は3人を庇うように前に立つとヤツを確認する、 斬られた状態のまま地面を転がり回っていた。

ヤツは全身を掻き毟り、 辺りに奇声を撒き散らしていく……


「あひッっッイーーー! イヒヒヒッ…… ひひヒッ! げっヒッ。 ヒィぃいいーー……! 」

「ササラ…… 今のうちにアイツを仕留めるぞ! アリスとリムは、 周りに注意して何かあれば教えてくれ……
それと、 出来るだけアイツからは離れておいてほしい! 」


アリスとリムは青ざめた表情で頷いていた


「ハク様…… 無理しないでっ! 」

「周辺の警戒…… 了解した……信じてる」


俺も2人に頷き返す。 再び襲って来れば勝ち目はない、 アリスとリムに至っては捕まれば命は無いだろう……

ヤツの動きは速すぎる、 2m以上もある巨体が消えて見えるぐらいに……

俺は無意識にアポカリプスを強く握り締めていた、 思わず肩から伝わる痛みに顔を歪めてしまう


「ササラ! 光の衝撃波をアイツへ叩き込んでくれ! 一気にカタをつけるぞっ! 」

「はい!! 」


光の衝撃波は砂塵を巻き上げて異形者へと衝突する!

砂埃の中で今もなお不気味な笑い声がこだましている


「ササラまだだ!! 」

「はあぁぁっー!! 」


ササラは何度も何度もセラフィムから強力な衝撃波を繰り出していた、 連続して繰り出される光の衝撃波による轟音が鳴り響く……

衝撃波により視界は巻き上がった砂埃で奪われて行く……


「ヴ…… ひッぃィひイヒヒィーーー! 」


止まることの無い不快な金切り声。俺は駆け出すと金切り声の元凶に飛躍していく……

元の世界では考えられない跳躍力だった。

地面へとアポカリプスの切っ先を向け一気に下降して行く


「これで終わりだぁぁあ!! 」

「あびぃッ? ぐがァァぁッーーーー!? 」


肉を突き刺す感触が手に伝わると、 直ぐに硬い物へとブチ当たった衝撃が腕に伝わる、 着地と同時に発生した風圧で視界は一気にクリアに変わっていく


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