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第Ⅷ章 銀の箱庭
絡繰箱
しおりを挟む「くっ、なんだと!」
「ダグ、乗せられるな!」
ロッソは構わず話した。
「振興団体キサナドゥは当然知っているね? 彼らは、集合場所を示す印を、街中につけて仲間たちに知らせているんだそうだ」
「ハン、それがどう関係するってんだ?」
エリオは負けずと強がって見せた。
「Ⅹという文字、これはキサナドゥの頭文字であり、ローマ数字の十を表すものであるんだ。つまり暗号だね」
青年たちは、まるで話が見えなかった。
「暗号はこの話には関係ないのだけれど……答えは、それ書く方法にある。噂通りⅩの文字は直ぐに消えてしまう。世界中でそうなんだ。実際に、この目で見てきたからねぇ。そして、その文字を消すのに彼らは特別な呪術を使う」
エリオは腰のそれに手を掛けながら、相手に気づかれないように、徐々に近づいた。
「――先人の遺産、人工降雨装置を使うんだ」
「ん?」
エリオには何のことか、さっぱりわからなかった。
「人口で降らせた雨に印を消す薬品を混ぜたんだよ。その薬品は人に全く害がないので悪しからず」
「まさか……」
「その雨は、思いもよらぬ効果をもたらしたんだ!」
熱狂的な話しぶりは、聞き手に恐怖心を植え付けた。
「『対ロボット薬』だ……無敵なロボットに唯一対抗できる手段! キサナドゥの連中は宝の持ち腐れをしていたようだがね。我々はこれを『シバルバー』と呼んで、流用させてもらった」
それが、今もロボット狩りで使用されている、エックスの文字の入ったボトルの正体だった。
「じゃあ、イオは……」
後ろにいる彼を気に掛け、首を後ろにひねった。
「本格的に実用化したのは、最近だから、例のモノはキサナドゥが垂れ流していたものにより、機能を停止させたのかな?」
「言い逃れするな!」
ロッソは両手を上げ、はぐらかすジェスチャーをした。
「やあやあ。君の後ろにいるお友達は、固まってしまったようだね」
だいぶショッキングだったかなと嘲笑った。
「くそっ!」
エリオは抜き身をロッソに向けた。
ロッソも自身の剣を抜いて対峙する。
室内に金属同士がぶつかる音が響いた。
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