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第二部 後編
08 ネズミからの予告状
しおりを挟む黒髪の彼は言った。
「ロボットに縛られない世界を……見せてあげるよ?」
彼の漆黒の瞳と目を合わせると、呑み込まれる感覚に襲われた。
次に言う赤毛の彼は、ロゼをその鋭い金眼で射抜いた。
「マキナなしでも、楽しいと言わせる。来い、ロゼ」
「うん――!」
差し出された二人の手、その両方を取った。
少女を攫った二人の青年は、満足げに笑い、柵の傍で屈んだ。
ダグラスは少女に優しく指示した。
「足掛けて。そう……――ポール、受け止めてやれ」
「おー。こっちは大丈夫」
ポールは二人に担がれた少女を柵の外へ出した。
ゆっくりと地上へ降ろされた。もうここは孤児院の敷地外だ。
不法侵入者の二人は、それを確認して、自分たちも外へ出る体勢を取った。
「エリオ」
「おう」柵の真横で少し屈み込んだ。
ダグラスは差し出された手の平をバネにして柵の縁に飛び乗った。
エリオは彼を見上げ「ん」と言って片手を上げた。
次は自分を引っ張り上げろという催促だ。
「はい」と答えて、手首をしっかり掴み引き上げた。
華麗に着地する二人の姿に、ロゼは興奮を隠しきれなかった。
「す、すごい。かっこいい……!」
と勝手に口が呟いていた。
「ええ?」エリオが訊き返した。
「早くここから離れた方が」
とポールが言った。緊張で顔が強張っている。
「そうだな、ロゼ」
「……うん!」
エリオとロゼは微笑み合った。
改めて再会できた喜びに浸った。
「本当に何も言わずにいいの?」
ポールはやはり不安を口にした。
「大丈夫。もう一通、マキナ宛に入れといたから」
「ダグラス?」
含みを持たせた彼に、他三人は互いを見合った。
マキナが受け取った紺色の封筒、中身はやはりカードが一枚入っていた。
マキナは神父と共に、書かれている内容を確認した。
「うん?……――これは!」
内容を確認した神父は驚愕した。
――「一輪の薔薇をお預かりします。」――
意味深げな怪しい内容だった。
そして送り主は、なんとこの国で有名なある人の名前が書かれていた。
しかし実在する人物ではない。大昔に書かれた小説に登場する、怪盗紳士の名だ。「明日にはお返しします。」と書かれた後に添えられていた。
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「創発のバイナリ」の続編、公開中です。
「IO--イオ」
◆あらすじ◆あれから五年の月日が経った。ロボットと人間、その境は徐々に曖昧に。ロゼと仲間らは「イオ」と名乗る青年ロボットと出会う。ロボットを取り巻く社会情勢の変化に彼らは立ち向かう!
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◆あらすじ◆あれから五年の月日が経った。ロボットと人間、その境は徐々に曖昧に。ロゼと仲間らは「イオ」と名乗る青年ロボットと出会う。ロボットを取り巻く社会情勢の変化に彼らは立ち向かう!
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