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第一部
02 三人組の男
しおりを挟む行先までの道すがら、ロゼはまたしてもぶつくさと愚痴を漏らしていた。
足元の枯葉を踏みつけて歩いている。彼女が脚を高く蹴り上げるので、丈の短い枯葉色のジャンパースカートがめくり上がらないか不安である。
「買い出しかぁ~。今時、ロボットが全部やってくれるんだからー、私たち子どもにやらせなくたっていいのに、あの神父」
マキナに同意を求めようとブロンドの髪を揺らした。
「ねえマキナー?……マキナ?」
マキナは無表情で後ろをついてきてはいるが、何やら考え事をしているようで「優しく……」と呟いた。
ロゼの呼びかけには直ぐに反応し
「ロゼ、すみません。聞き取れませんでした」と謝罪した。
「あー、いいよ、独り言だし」
ロゼは先を進んだ。
「あ! 今日はもうファストフードをテイクアウトで良くない? 買って直ぐだし」
少しでも楽をしたくてマキナに同意を求めた。
「う~ん……孤児院に暮らす全員の分となると、予算が足りません」
流石ロボットだ。素早く計算した。
「ああ~。そう、だよね」
ロゼは少し残念がった。
「全部決められてるんだっけ。生き残った人々に平等にお金を支給する。だから働かなくていいけど、それはそれで、自由じゃない……気が――」
物思いにふけっていたからか、よそ見して歩いていたロゼは、男の人と肩がぶつかってしまった。
「あっ、ごめんなさい!」
ロゼは直ぐに、ぶつかった赤毛の男に謝罪した。
「あん? なんだお前」
男はその金眼でロゼを見下ろした。
「あ、あの……」
ロゼは立ち塞がる三人の男たちに戦いた。
三人はまだ二十歳にも満たないであろう若者だ。しかしロゼよりも大分年上のように思える。
三人の内、気だるそうな黒髪の男が落ちているロゼの財布を拾い上げた。
「おい、金貨だぞ」
中身を見たとたん漆黒の瞳に光が宿った。
両隣の友人にロゼの財布を見せるため顔を上げると、右耳のピアスが太陽光に反射し、ロゼの目を焼いた。
「それは私たちの!」
取り返そうと手を伸ばした。
途端、彼は不敵に笑って一歩後ろに下がった。
すると最初にぶつかった男が彼を庇うようにロゼの行く手を阻んだ。
「おっと、これは拾ったんだ」
愉快そうに金眼を細めて笑った。
「そうさ。もう俺たちの金だ」
もう一人の長身色黒男も、二人の男の後ろから同調した。先程の黒髪と金貨を数え始めている。
ロゼは赤毛の男を見上げ睨み付けた。
悔しくて両拳が震えた。
このまま何もできなくて三人が去ってしまうと思うと悔しくて堪らない。
しかし男三人と自分との力の差は歴然で、やはり為す術はないのか……。
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