上 下
12 / 21

12.問3「自然破壊」2

しおりを挟む
「なるほど、適者生存。素晴らしい考えだと思います」

Mr.クロウは彼に賛辞の言葉を送った。

「地球の変化に適応できた種が存続し繁栄できるという考えですね。種の存続を成立させるには適者生存という考えは切っても切れない関係性があるのも事実です。人間も地球に住む多くの生物のうちの一つです。つまり、人間が行う行為は地球の変化と捉えられなくもない。人間の行為が自然破壊を招くというなら、地球自体が自然の減少を行っていると勘がることもできる。そういうことでしょうか。」

「さすがMr.クロウ、俺の言いたいことよくわかってくれているな」

「では、皆さん。自然破壊は悪だという考えが圧倒的に多いなか、悪ではないという意見が現れました。この状況を踏まえ、再び皆さんの主張を伺っていきたいと思います」

「人間が行っている行為は自然破壊と言えなくもない。しかし、程度をわきまえればそれは自然破壊という厳しい言葉に該当する行為ではないと思います。実際、酸素の排出量が落ちた老木を切り倒し若い木を植える、そんなことは人類にしかできない」

「なるほど、自然破壊というかどうかは程度の問題によると、そして一見すると自然破壊のように見える行為が地球を守る行為になると。確かにそう捉えることもできなくない。実に面白い考え方です」

「やはり、自然破壊は良くないことだと思います。地球は人間だけのものではない。他の生物のことも考えて行動すべきだと思います」

「その通りです。地球は人類のものではありません。人類はあくまで地球の一部なのです。その考えを失ってしまってはいけませんね」

「自然は破壊せず、守るべきです。自然を一度破壊してしまうと、簡単には回復しない。自然の回復には膨大な時間と手間がかかる。人間が安易に破壊すべきものではないと思います。」

「自然の回復には膨大な時間と手間が掛かります。人間が一生をかけても失った自然を回復させることはできません。それも事実です」

真一は迷っていた。
当初、自然破壊には完全に反対の考えを持っていた。
しかし、様々な主張を聞くことで自分の考えが本当に正しいのか疑問に思うようになっていた。
そして腹を決め、挙手した。

「大した目的でもなく他の地球上の生物に大きな影響を与える自然破壊は悪だと思いますが、程度をわきまえた自然の消費は悪ではないと思います」

「自然破壊ではなく、自然の消費ですか。面白い表現だと思います」

では、最後の生徒の意見を聞いてまとめに入りましょう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

探偵SS【ミステリーギャグ短編集】

原田一耕一
ミステリー
探偵、刑事、犯人たちを描くギャグサスペンスショート集 投稿漫画に「探偵まんが」も投稿中

ARIA(アリア)

残念パパいのっち
ミステリー
山内亮(やまうちとおる)は内見に出かけたアパートでAR越しに不思議な少女、西園寺雫(さいおんじしずく)と出会う。彼女は自分がAIでこのアパートに閉じ込められていると言うが……

瞳に潜む村

山口テトラ
ミステリー
人口千五百人以下の三角村。 過去に様々な事故、事件が起きた村にはやはり何かしらの祟りという名の呪いは存在するのかも知れない。 この村で起きた奇妙な事件を記憶喪失の青年、桜は遭遇して自分の記憶と対峙するのだった。

怪奇事件捜査File1首なしライダー編(科学)

揚惇命
ミステリー
これは、主人公の出雲美和が怪奇課として、都市伝説を基に巻き起こる奇妙な事件に対処する物語である。怪奇課とは、昨今の奇妙な事件に対処するために警察組織が新しく設立した怪奇事件特別捜査課のこと。巻き起こる事件の数々、それらは、果たして、怪異の仕業か?それとも誰かの作為的なものなのか?捜査を元に解決していく物語。 File1首なしライダー編は完結しました。 ※アルファポリス様では、科学的解決を展開します。ホラー解決をお読みになりたい方はカクヨム様で展開するので、そちらも合わせてお読み頂けると幸いです。捜査編終了から1週間後に解決編を展開する予定です。 ※小説家になろう様・カクヨム様でも掲載しています。

向日葵のような君へ

Kaito
ミステリー
高校生活を送る達哉。父の交通事故から悪夢は始まった。 男女の恋愛ミステリー。

同窓会にいこう

jaga
ミステリー
大学4年生、就職活動に勤しむ江上のもとへ小学生時代のクラスの同窓会の案内が届く 差出人はかつて小学生時代に過ごした九州の田舎で淡い恋心を抱いた「竹久瞳(たけひさ ひとみ)」からだった 胸を高鳴らせ10年ぶり訪れた田舎での同窓会の場で竹久瞳から衝撃の事実を聞かされる

通勤電車

kumapom
ミステリー
ある日の事、主人公は奇妙な夢を見て目が覚める。気を取り直し、普通に出勤の準備をして出かけるが、ホームで電車を待っていた主人公の元に来たのは、いつもと違う奇妙な電車だった。

マクデブルクの半球

ナコイトオル
ミステリー
ある夜、電話がかかってきた。ただそれだけの、はずだった。 高校時代、自分と折り合いの付かなかった優等生からの唐突な電話。それが全てのはじまりだった。 電話をかけたのとほぼ同時刻、何者かに突き落とされ意識不明となった青年コウと、そんな彼と昔折り合いを付けることが出来なかった、容疑者となった女、ユキ。どうしてこうなったのかを調べていく内に、コウを突き落とした容疑者はどんどんと増えてきてしまう─── 「犯人を探そう。出来れば、彼が目を覚ますまでに」 自他共に認める在宅ストーカーを相棒に、誰かのために進む、犯人探し。

処理中です...