37 / 48
空白の5年間
怪盗エリス編①
しおりを挟む
その日馬車でエルトマン侯爵の屋敷に向かう途中、森の中でセドリックとユリアは心の底から困っていた。
ハウケ伯爵夫妻が田舎に引っ込んだ大貴族、エルトマン侯爵の邸宅に滞在して数か月。
ついに孫に会いたいので帰りますと申し出たところ、逆にセドリックとユリアとレオの方も侯爵邸に来たらいいんじゃないかいう話になってしまったという。
まあいくら帰してくれないと言っても、縛り付けられている訳でもなければ、無理強いされているわけでもない。
エルトマン侯爵はとても顔が広く、同じように侯爵のお眼鏡にかなって招待されているゲストも気の合う者ばかり。
しかも領地経営や事業の役立つ相手同士を結び付けてくれたりするので、帰るに帰れないというのが実情らしい。
遊びに来ている子供も何人かいるので、良かったら来ないかと、エルトマン侯爵の招待状と一緒に封筒に入っていたハウケ伯爵の手紙にも、書いてあった。
領地経営の為になる人脈を紹介してくれると聞けば、ハウケ伯爵の将来の跡継ぎであるセドリックに否やはない。
レオハルトの遊び相手の子どももいるとなれば、なおさらだ。
そうしてエルトマン侯爵領に向かうことになり、2歳のレオハルトがいるのでゆっくりと馬車を走らせ、夜は宿屋でしっかりと休む旅をすること数日目。
ついにこの森を越えたらエルトマン侯爵邸まであと少しというところで、問題が起きてしまった。
旅の疲れもあるだろうが、道の悪い森の中をガタガタと揺れながら進むうちに、レオが吐いてしまったのだ。
幸い熱はなさそうだった。
ガタガタとした揺れのせいで気持ち悪くなってしまったのだろうと、しばらく休んでから、慎重に進み始めてほんの5分。
またレオが吐いてしまった。
今度は吐くものがほとんどないようで、小さなからだでひたすらえづいていたのが可哀そうだった。
今は疲れて、ぐったりとした様子でユリアに抱かれて眠っている。
「どうしましょうセドリック。また馬車に乗せたら、体調を崩してしまうかも」
「そうだな」
森はまだしばらく続く。
馬車も通れるほどの広さのその道は、周囲の木から落ちてきた枝や、小石、そして様々な種類の馬車の轍でデコボコになっている。
2歳のレオに、この揺れは厳しかったのだろう。
「ゆっくり休ませてあげたいが……今日は暑いな」
「そうね」
森の中は、木陰になっていて比較的涼しくはあるが、初夏の陽気はじわりじわりと体力を削っていく。
1度目吐いた直後はミルクをなんとか飲ませたが、2度目に吐いてからは寝てしまって、レオは水分をとっていなかった。
このままここにいても、きっと体調はよくならない。
「ユリア。抱っこを代わるよ。少しでも歩こう」
「セドリック!? 森があとどれだけ続くと思っているの? レオを抱いて歩くなんて無理よ」
「少しでも馬車に乗る時間を減らしてあげたい。レオが寝ているうちに、歩けるだけ歩いて……」
二人がそんな相談をしていると、馬の走る音が、遠くの方から近づいてきた。
セドリックたちが向かう予定の方角から。
単騎のようだ。
音だけでも、訓練された良い馬であることが分かる。
貴族か……もしかしたら騎士かなにかかもしれない。
馬が通るからといって、今のこの問題が解決するわけではない。
でもセドリックは、この馬の主が、なにか状況を変えてくれるような、妙な期待感を抱いて、その方角を見つめた。
パカッ パカッ パカッ
音が近づいてきて、その馬上にいる人物を見て、驚く。
知り合いと言えば知り合いのような、ただ見たことがあるだけともいえる。
社交界でも人気者で、有名人のその男は、比較的最近、とある貴族の屋敷の夜会で見かけた子爵令息だった。
セドリックがルガー夫人を助けたあの夜会で。
腹の出た伯爵から夫人を助けた時、もう一人ルガー夫人を狙っていた男だ。
「おや、こんにちは。セドリック・ハウケ君じゃないか。そちらはユリア・ハウケ嬢」
「……こんにちは。エリス・ケーヴェス先輩」
この男はセドリックの1つ年上だった。
12歳から通う王都の学園に所属していた頃も一学年上の先輩で、女性からモテているのをよく見かけた。
公平に見て、顔はそれほど格好良くはない。
目が細長く、彫も浅い。
でも自信あふれる言動と、陽気な性格、スポーツ万能なところが好かれるのか、女性関係での浮名が、ひっきりなしに立つような男だった。
予感は外れたのかもしれない。
騎士の様な見事な馬捌き。
規則正しく、無駄のない走らせ方の音を聞いて、それこそ困っているところを助けてくれる、騎士の様な人物の登場を、心のどこかで期待していたのだが。
――そういえばこの男は、学園を中退したんだったな。
貴族の学園はあくまで教養を身に着けることと人脈作りが主な目的で、18歳での卒業を待たず中退する者も珍しくないので、セドリックは今まで忘れていた。
逆になぜそんな情報が思い浮かんだのかと考えると、彼は騎士学校へ入るために中退したという噂を聞いたことがあるからだった。
しかしその後、彼が騎士学校へ入学したという話は聞かなかい。
「……顔色が優れないね。何か困りごと?」
遊び人の子爵令息――エリスは意外なことに、わざわざ馬から降りて、本当に心配してくれている様子で、近づいてきた。
どこかへ行く途中で、挨拶だけして通り過ぎるものかと思ったのだが。
「レオが……息子のレオハルトが、馬車に酔ってしまったようなんです」
ユリアが状況を説明した。
普段人を頼るのが苦手なユリアだが、エリスにはつい相談をしたくなるような、何とかしてくれるような、自信に満ちあふれた不思議な貫禄があった。
「それは困ったね」
「今、俺がレオハルトを抱っこして、少しでも歩いて進もうと思っていたところなんだ。歩きで今日中に森を抜けるのは難しくても、少しでも馬車に乗る時間を減らそうかと……」
気が付けば、セドリックもエリスに考えを話していた。
ほとんど喋ったこともないような相手に、何を期待しているというのか。
なぜ一言、「なんでもないので大丈夫」と言わないのか。
「ユリアは馬車に乗って、先に行ってくれ」
「セディ。一人で歩き続けるのは大変よ。私も交代をするから」
「イヤ大丈夫。君まで体調を崩しては大変だからな。少し先で待っていてくれると助かる。休み休み行けば……」
「馬車の揺れがよくないのなら、馬に乗るのは無理かな? レオ君は、普通の道なら馬車でもいけるんだろう? だったら揺れないように気を付けて、馬で行けば大丈夫じゃないかな。送っていくよ」
その時、二人の話を聞いていたエリスが、そんな提案をしてくれた。
レオを馬に乗せていく。
それは考えつかなかった。
しかしただの通りがかりのエリスに、そこまでしてもらって良いのだろうか。
「セドリックか、ユリア嬢。どちらかがレオ君を抱っこして、2人乗りで行こう。俺としてはユリアちゃんのほうが嬉しいけれど」
「それは却下だ」
「だよねー。じゃあセディ君が乗りなよ」
茶化した様子で、なんてことないように、軽い調子で提案してくれる。
「しかし……良いのか?なにか用事があったんじゃ」
「ん-平気平気。ちょっと気晴らしに馬を走らせていただけだから。っていうか君たち、エルトマン邸に招待されているんだろう? 実は俺も、今ゲストとして滞在しているんだよね」
「そうなのか」
なんとエリスは、セドリックたちと同じようにエルトマン侯爵の客だったらしい。
ほぼ初対面の人間に借りを作るのは気が進まないが、レオの体調が最優先だ。
「すまない。では頼んでもいいだろうか」
「ああ、もちろん。良いよ乗りな。」
エリス・ケーヴェスが片目をつぶってニコリと微笑んだ。
学生時代「キャー、エリス様素敵!」と女生徒達が騒いでいた、お得意のキメ顔だ。
間近で見ると、なるほど格好いいなと思ってしまい、そう思ってしまった自分がなんだか悔しいセドリックだった。
ハウケ伯爵夫妻が田舎に引っ込んだ大貴族、エルトマン侯爵の邸宅に滞在して数か月。
ついに孫に会いたいので帰りますと申し出たところ、逆にセドリックとユリアとレオの方も侯爵邸に来たらいいんじゃないかいう話になってしまったという。
まあいくら帰してくれないと言っても、縛り付けられている訳でもなければ、無理強いされているわけでもない。
エルトマン侯爵はとても顔が広く、同じように侯爵のお眼鏡にかなって招待されているゲストも気の合う者ばかり。
しかも領地経営や事業の役立つ相手同士を結び付けてくれたりするので、帰るに帰れないというのが実情らしい。
遊びに来ている子供も何人かいるので、良かったら来ないかと、エルトマン侯爵の招待状と一緒に封筒に入っていたハウケ伯爵の手紙にも、書いてあった。
領地経営の為になる人脈を紹介してくれると聞けば、ハウケ伯爵の将来の跡継ぎであるセドリックに否やはない。
レオハルトの遊び相手の子どももいるとなれば、なおさらだ。
そうしてエルトマン侯爵領に向かうことになり、2歳のレオハルトがいるのでゆっくりと馬車を走らせ、夜は宿屋でしっかりと休む旅をすること数日目。
ついにこの森を越えたらエルトマン侯爵邸まであと少しというところで、問題が起きてしまった。
旅の疲れもあるだろうが、道の悪い森の中をガタガタと揺れながら進むうちに、レオが吐いてしまったのだ。
幸い熱はなさそうだった。
ガタガタとした揺れのせいで気持ち悪くなってしまったのだろうと、しばらく休んでから、慎重に進み始めてほんの5分。
またレオが吐いてしまった。
今度は吐くものがほとんどないようで、小さなからだでひたすらえづいていたのが可哀そうだった。
今は疲れて、ぐったりとした様子でユリアに抱かれて眠っている。
「どうしましょうセドリック。また馬車に乗せたら、体調を崩してしまうかも」
「そうだな」
森はまだしばらく続く。
馬車も通れるほどの広さのその道は、周囲の木から落ちてきた枝や、小石、そして様々な種類の馬車の轍でデコボコになっている。
2歳のレオに、この揺れは厳しかったのだろう。
「ゆっくり休ませてあげたいが……今日は暑いな」
「そうね」
森の中は、木陰になっていて比較的涼しくはあるが、初夏の陽気はじわりじわりと体力を削っていく。
1度目吐いた直後はミルクをなんとか飲ませたが、2度目に吐いてからは寝てしまって、レオは水分をとっていなかった。
このままここにいても、きっと体調はよくならない。
「ユリア。抱っこを代わるよ。少しでも歩こう」
「セドリック!? 森があとどれだけ続くと思っているの? レオを抱いて歩くなんて無理よ」
「少しでも馬車に乗る時間を減らしてあげたい。レオが寝ているうちに、歩けるだけ歩いて……」
二人がそんな相談をしていると、馬の走る音が、遠くの方から近づいてきた。
セドリックたちが向かう予定の方角から。
単騎のようだ。
音だけでも、訓練された良い馬であることが分かる。
貴族か……もしかしたら騎士かなにかかもしれない。
馬が通るからといって、今のこの問題が解決するわけではない。
でもセドリックは、この馬の主が、なにか状況を変えてくれるような、妙な期待感を抱いて、その方角を見つめた。
パカッ パカッ パカッ
音が近づいてきて、その馬上にいる人物を見て、驚く。
知り合いと言えば知り合いのような、ただ見たことがあるだけともいえる。
社交界でも人気者で、有名人のその男は、比較的最近、とある貴族の屋敷の夜会で見かけた子爵令息だった。
セドリックがルガー夫人を助けたあの夜会で。
腹の出た伯爵から夫人を助けた時、もう一人ルガー夫人を狙っていた男だ。
「おや、こんにちは。セドリック・ハウケ君じゃないか。そちらはユリア・ハウケ嬢」
「……こんにちは。エリス・ケーヴェス先輩」
この男はセドリックの1つ年上だった。
12歳から通う王都の学園に所属していた頃も一学年上の先輩で、女性からモテているのをよく見かけた。
公平に見て、顔はそれほど格好良くはない。
目が細長く、彫も浅い。
でも自信あふれる言動と、陽気な性格、スポーツ万能なところが好かれるのか、女性関係での浮名が、ひっきりなしに立つような男だった。
予感は外れたのかもしれない。
騎士の様な見事な馬捌き。
規則正しく、無駄のない走らせ方の音を聞いて、それこそ困っているところを助けてくれる、騎士の様な人物の登場を、心のどこかで期待していたのだが。
――そういえばこの男は、学園を中退したんだったな。
貴族の学園はあくまで教養を身に着けることと人脈作りが主な目的で、18歳での卒業を待たず中退する者も珍しくないので、セドリックは今まで忘れていた。
逆になぜそんな情報が思い浮かんだのかと考えると、彼は騎士学校へ入るために中退したという噂を聞いたことがあるからだった。
しかしその後、彼が騎士学校へ入学したという話は聞かなかい。
「……顔色が優れないね。何か困りごと?」
遊び人の子爵令息――エリスは意外なことに、わざわざ馬から降りて、本当に心配してくれている様子で、近づいてきた。
どこかへ行く途中で、挨拶だけして通り過ぎるものかと思ったのだが。
「レオが……息子のレオハルトが、馬車に酔ってしまったようなんです」
ユリアが状況を説明した。
普段人を頼るのが苦手なユリアだが、エリスにはつい相談をしたくなるような、何とかしてくれるような、自信に満ちあふれた不思議な貫禄があった。
「それは困ったね」
「今、俺がレオハルトを抱っこして、少しでも歩いて進もうと思っていたところなんだ。歩きで今日中に森を抜けるのは難しくても、少しでも馬車に乗る時間を減らそうかと……」
気が付けば、セドリックもエリスに考えを話していた。
ほとんど喋ったこともないような相手に、何を期待しているというのか。
なぜ一言、「なんでもないので大丈夫」と言わないのか。
「ユリアは馬車に乗って、先に行ってくれ」
「セディ。一人で歩き続けるのは大変よ。私も交代をするから」
「イヤ大丈夫。君まで体調を崩しては大変だからな。少し先で待っていてくれると助かる。休み休み行けば……」
「馬車の揺れがよくないのなら、馬に乗るのは無理かな? レオ君は、普通の道なら馬車でもいけるんだろう? だったら揺れないように気を付けて、馬で行けば大丈夫じゃないかな。送っていくよ」
その時、二人の話を聞いていたエリスが、そんな提案をしてくれた。
レオを馬に乗せていく。
それは考えつかなかった。
しかしただの通りがかりのエリスに、そこまでしてもらって良いのだろうか。
「セドリックか、ユリア嬢。どちらかがレオ君を抱っこして、2人乗りで行こう。俺としてはユリアちゃんのほうが嬉しいけれど」
「それは却下だ」
「だよねー。じゃあセディ君が乗りなよ」
茶化した様子で、なんてことないように、軽い調子で提案してくれる。
「しかし……良いのか?なにか用事があったんじゃ」
「ん-平気平気。ちょっと気晴らしに馬を走らせていただけだから。っていうか君たち、エルトマン邸に招待されているんだろう? 実は俺も、今ゲストとして滞在しているんだよね」
「そうなのか」
なんとエリスは、セドリックたちと同じようにエルトマン侯爵の客だったらしい。
ほぼ初対面の人間に借りを作るのは気が進まないが、レオの体調が最優先だ。
「すまない。では頼んでもいいだろうか」
「ああ、もちろん。良いよ乗りな。」
エリス・ケーヴェスが片目をつぶってニコリと微笑んだ。
学生時代「キャー、エリス様素敵!」と女生徒達が騒いでいた、お得意のキメ顔だ。
間近で見ると、なるほど格好いいなと思ってしまい、そう思ってしまった自分がなんだか悔しいセドリックだった。
4
お気に入りに追加
360
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【完結】私は死んだ。だからわたしは笑うことにした。
彩華(あやはな)
恋愛
最後に見たのは恋人の手をとる婚約者の姿。私はそれを見ながら階段から落ちた。
目を覚ましたわたしは変わった。見舞いにも来ない両親にー。婚約者にもー。わたしは私の為に彼らをやり込める。わたしは・・・私の為に、笑う。
政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~
つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。
政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。
他サイトにも公開中。
王妃さまは断罪劇に異議を唱える
土岐ゆうば(金湯叶)
恋愛
パーティー会場の中心で王太子クロードが婚約者のセリーヌに婚約破棄を突きつける。彼の側には愛らしい娘のアンナがいた。
そんな茶番劇のような場面を見て、王妃クラウディアは待ったをかける。
彼女が反対するのは、セリーヌとの婚約破棄ではなく、アンナとの再婚約だったーー。
王族の結婚とは。
王妃と国王の思いや、国王の愛妾や婚外子など。
王宮をとりまく複雑な関係が繰り広げられる。
ある者にとってはゲームの世界、ある者にとっては現実のお話。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
旦那様に愛されなかった滑稽な妻です。
アズやっこ
恋愛
私は旦那様を愛していました。
今日は三年目の結婚記念日。帰らない旦那様をそれでも待ち続けました。
私は旦那様を愛していました。それでも旦那様は私を愛してくれないのですね。
これはお別れではありません。役目が終わったので交代するだけです。役立たずの妻で申し訳ありませんでした。
拝啓 私のことが大嫌いな旦那様。あなたがほんとうに愛する私の双子の姉との仲を取り持ちますので、もう私とは離縁してください
ぽんた
恋愛
ミカは、夫を心から愛している。しかし、夫はミカを嫌っている。そして、彼のほんとうに愛する人はミカの双子の姉。彼女は、夫のしあわせを願っている。それゆえ、彼女は誓う。夫に離縁してもらい、夫がほんとうに愛している双子の姉と結婚してしあわせになってもらいたい、と。そして、ついにその機会がやってきた。
※ハッピーエンド確約。タイトル通りです。ご都合主義のゆるゆる設定はご容赦願います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる