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第30話 謎の男達との戦闘!

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 エレベーターから出てセキュリティードア越しに外を見てみると、如何にも怪しそうな車が停まっていた。

 「スモークガラスで中のようすが見えないな」

 「隠れていないのが気になるね」

 「逃げも隠れもしない気なのかしら?」

 「ちょ、ちょっと待って下さい!」

 慌てたようすでディレクターが俺達の前に出て来た。

 「アナタ達は自分達が襲われる前提で話を進めてないですか?」

 「まぁそうですね。そんな感じにしか見えないので」

 「姉さんと同じで、あの車がそうにしか見えないので」

 俺達がそう言うとディレクターが頭を抱えたが、アナウンサーがその方に手をポンッと置いた。

 「あの車がアナタ達を狙っているとは限らないので、警備員に確認をして貰いま・・・・・・」

 「「「後ろ後ろ後ろっ!?」」」

 車がセキュリティードアに猛スピードで突っ込み、ガシャーンッ!? というような凄まじい音を立てて壊して入って来たのだ。

 「ふ、2人共大丈夫ですか?」

 へたり込んでいるディレクターとアナウンサーに話し掛ける。

 「だ、大丈夫です! それよりもあの車、何で?」

 「さ、さぁ? わかんない。でも気でも狂ったとか言うレベルじゃないでしょ、これ。姉さんの方は大丈夫?」

 「大丈夫よ! それよりも車の中にいる人は・・・・・・確認した方がいいかしら?」

 そんなやり取りをしていると、車の中からマスクを被った人が4人降りて来た。

 「ん? 何だお前らは?」

 俺がそう聞くが誰も答えず、ただバットを構えて来た。

 「・・・・・・だいたい見当は付いた」

 あのクソ校長め。ロクでもねぇなぁ。

 そう言いってから構えるが、いかんせん流石に1対4じゃ不利だ。

 「コウヤ、これを使いなさい!」

 姉さんがそう言うのでそちらを向くと、ヌンチャク1本を投げて来たので驚きつつもキャッチして構える。

 「姉さんこれどうしたんだ?」

 「めが、あの人通達で返して貰ったのよ!」

 ああ、女神様通達で返して貰ったのね。

 「これはこれで有り難い!」

 そう言ってから上着を脱いでからヌンチャクを振り回すと、相手は俺のヌンチャク捌きに驚いたのか一歩下がった。

 「コウヤ、そいつらをギッタンギッタンにしちゃえ!!」

 「期待しているわよ! 洸夜!」

 「彼に任せて大丈夫なんですか?」

 「大丈夫よ! あんなんでも琉球空手の師匠から免許皆伝を貰っているんですから!」

 あんなんって何だよ! あんなんってよ!

 そう思いながらも一番前にいるヤツに近づくと、相手も剣道のような構えで近づいて来るがビビっているのか腰が引けている。

 「・・・・・・そんな構えじゃ力入らないぞ。それに強くグリップを握り過ぎだ」

 そう言ってからバットを握る手に向かってヌンチャクをぶん回して叩いたら、相手は余りの痛さにバットを落としてしまった。

 「ッ!?」

 自分の手を抑え込んで痛がっている隙を突いて、上からヌンチャクを振り抜いて頭をぶっ叩いた後に、下顎から上に向かってアッパーカットお見舞いしたら相手は倒れてしまった。

 「「『「お、おお~!」』」」

 歓声を受けつつ一番前にいるヤツに近づくと、今度は向こうからバットを振りかぶりながら雄叫びを上げて走って来たので、左手で顔を殴った後に回し蹴りをお見舞いしてやったら床に倒れてノックアウトした。

 「まるでブルー◯リーだ」

 「彼もブ◯ースリーに憧れて習ったんですよ・・・・・・でも習ったのは琉球空手ですけど」

 「さて、次はどっちだ?」

 そう言ったら2人して来たので、左に飛び避けてから片方の顔にヌンチャクでぶん殴ってから、もう片方の左膝の関節に蹴りを喰らわせて転ばせた。

 「ッ~~~!?」

 喰らった2人は相当痛いのか、顔と左膝を抱えてのたうち回っている。その姿を見た最後の仲間が ヒィッ!? と悲鳴を上げる。

 「お前が最後だけど。どうする? 降参するか?」

 てか、多分後ろで立ち上がっているな。

 『コウヤ、後ろ!』

 裏拳をかました後に、逆回し蹴りを後ろにいたヤツに喰らわせて倒す。

 「「「おお~!?」」」

 「師範に散々不意打ちを喰らっていたから、何となくわかっていた」

 鍛えてくれた師範、ありがとうございます!

 「や、やってられるかぁっ!?」

 最後の相手はバットを手放し、そう吐き捨ててから逃げようとしたが警察が入り口を固めていた。

 ビルの中へ戻ろうとするが、俺が塞いでいるので中に入ろうにも入れない。

 「チェックメイト。もうお前に逃げ場はないぞ」

 「クソォ・・・・・・クソオオオオオオオオオオオオッッ!!?」

 そう言うと、ズボンのポケットから折り畳みナイフを取り出して俺に向かって構えてる。

 「一応言っておくけど、大人しく捕まった方が身の為だぞ」

 「うるせぇ! 馬鹿にしやがってぇ! テメェをぶっ殺してやるっ!!」

 そう言ってナイフを突き出しながら突っ込んで来るので、避けながら相手の足を引っ掛けて転倒させる。

 「ツゥ!?」

 上体を起こして俺にナイフを向けて来るので、ヌンチャクでナイフを持っている手をぶん殴って飛ばしたら、 ヒィッ!? と悲鳴を上げた。

 「こ、降参だ! 降参するから許してくれっ!」

 「イヤ、許さないね。俺が聞きたいことを全く話してないね」

 脅しでヌンチャクを振り回してから床をぶっ叩いてから、また話し掛ける。

 「誰の差し金だ?」

 まぁ、検討は付いているけど。

 「・・・・・・だ」

 「ん? 聞こえるように話してくれ」

 「駄爆だ! 駄爆 無蔵だぁっ!! お前を八つ裂きにすれば400万円渡してやるって言われたんだっ!!」

 やっぱりアイツの差し金か。

 「ちょっとキミ、その辺にして貰えるかな?」

 「ん?」

 後ろを振り返って見ると警察官がいた。

 「後は警察の方で事情聴取をするから、そのヌンチャクをしまおうね」

 警察官がそう言うので構えを解く。

 「・・・・・・いや、最後に一つだけ彼に確認したいことがあるんで待って貰えますか?」

 「確認? 何を確認するんだい?」

 警察を尻目に男を睨む。

 「おい、お前」

「は、はい! 何でしょうか?」

 「友人から話を聞いたんだが、昨日納錦のヤツが学校に来なかったみたいだな。何か知っているか?」

 「えっとぉ、あのぉ・・・・・・」

 目を左右に泳がしているので ああ? と言ったら、身体を縮み込ませた。

 「に、逃げねぇように駄爆の家で拘束してる!」

やっぱり、お面で顔を隠しててわからなかったが、コイツらが納錦をやったのか。

 「・・・・・・一応聞くが、生きているのか?」

 「お、俺も生きているか心配になってよぉ、今日の朝見に行ったんだ! ちゃんと生きていた! 頼む、もう話すことは話したから、許してくれっ!!」

 「俺はそれだけ聞けば充分だが、このビルのオーナーと警察、それに俺の家族がアンタ達のことを許すかどうかだな。
 すみません。後はよろしくお願いします」

 俺は近くにいた警察官にそう言うと、脱ぎ捨てた上着を拾って着てから姉さん達の元へ駆け寄る。

 「姉さん達大丈夫?」

 「大丈夫よ! 流石我が弟ね!」

 とても嬉しそうな顔で俺に抱き付いて来た。

 「姉さん、恥ずかしいから離れて欲しいんだけど」

 『スゴイスゴイ! コウヤスゴイよぉ! その武器でアイツらをバッタバッタと倒していくんだから!』

 そしてリタが俺達の周りを元気よく飛び回っている。

 「お疲れ様です海山 洸夜さん。まるで映画のワンシーンを彷彿させるような闘いでした」

 「私も、ブルース◯ーの映画を思い出したよ」

 やったぁ! ブ◯ースリーみたいって言われた! メッチャ嬉しい!

 「あのぉ~、喜んでいらっしゃるところすみませんが、事情聴取をさせて貰えませんか?」

 「「あ、はい」」

 警察官に車が突っ込んで来たことや、中から降りて来た人達と俺が闘ったことを話した。そんで、 この人達に心当たりはありますか? と聞かれたので、 ある。 と答えて朝家の近くで見張っていたことを伝えたところで、襲って来た連中の1人が高笑いを始めた。

 『あ、あれ。顔を殴られたヤツだ』

 リタ、2番目に倒したヤツって言った方が伝わりやすいぞ。まぁ手錠を付けているから、変な気は起こせないと思うけど。

 そんなことを思っていたら、その男が俺の方に顔を向けた。

 「テメェは自分の心配をした方がいいぞ!」

 「どういうことだ?」

 あのハゲ校長、他にも誰か雇ったのか? それとも負け惜しみか?

 「駄爆がよぉ、言ってたんだよ! お前達が例え警察に捕まろうと、独房からすぐに出れるように手配してやるから、思いっきりやってもいいってな!」

 「何だって!」

 すぐに出れるように・・・・・・ん?

 「だから出た瞬間、今度は金関係なしにテメェをぶっ殺してやるから、覚悟しやがれっ!」

 「・・・・・・あのさ。お前ハゲ校長に騙されてない?」

 「あぁん?」

 コイツ何を言ってんだ? と言いたそうにガンを飛ばしてくる。

 「騙されているわけねぇだろ! いいか覚えておけ! 必ずテメェをぶっ殺しに来るからな! ぜってぇに・・・・・・」

 そう捨て台詞を吐きつつパトカーに乗せられてドナドナされて行ったのだった。

 「俺達も帰りましょうか。あ、姉さん。ヌンチャクを鞄に入れて貰える?」

 「いいわよ」

 警察官が気を利かせたのかわからないが、俺のヌンチャクを証拠品として回収せずにいたので、姉さんの鞄へと入れると、呼んでいたタクシーに乗りこむのであった。
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