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14.ドロップキック
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「イブニングムーン社ぁ……え? もしかしてあそこにいる子が! ほほほ、本物のユーミン⁉︎」
「そうなるわね」
「うおおおおおおおおおおおおッ‼︎⁉︎ 生のユーミンだああああああああああああッ‼︎‼︎⁉︎」
勝平はそう言うと天に向かって両手を掲げて涙を流すが、翔也がすぐ側まで行き頭を叩いた。
「こんなところでそんなことしたら、周りの迷惑だろうが」
「で、でも生ユーミンが目の前にいて……」
「気持ちは分かるが落ち着け。向こうだってお前の行動にドン引きしているぞ」
翔也がユーミン達を指さしながらそう言うと、勝平は自分が引かれていることに気が付いたようで「コホンッ⁉︎」と咳払いをした。
「サバゲーフィールドに入れなくて困っていると、会話が聞こえて来たんだが本当か?」
「え、ええ…詳しく話をすると、今日早めに出てフィールドに入る予定だったのですがぁ……」
志田さんはそう言いながらイブニングムーンの社長夕月さんを睨み付けたら、夕月さんは額に汗を浮かべながら話し始める。
「私が、前日に居酒屋の梯子酒をしてて寝坊したせいでぇ…………遅れることになっちゃったんだ。ハ…ハハ…………」
「それで社長を起こしに自宅まで行って用意させて、出発したらこの状況になってしまいました」
ユーミンの話に翔也達は呆れた様子になってしまう。
「何やってるんですかぁ……」
莉央さんの言葉に夕月社長はムッとした顔になって反論する。
「だ、だって仕方なかったんだよお嬢ちゃん! 私だって会社同士のお付き合いが……」
ガシッ⁉︎
「そのような予定は組んでませんでしたよぉ~……スケジュール管理は何処の何方がやっているのか、知ってて言ってますかぁ~?」
「ハ、ハヒッ⁉︎ アナタのお母様のおかげでひゅ⁉︎」
お、おう……アイアンクローでものを言わせてる!
「そんなことよりも志田さん。このままじゃマズイです」
「そうね。主役が遅れて来るなんてことは問題ですね」
アイアンクローをしている手をパッと離すと、夕月社長は手跡が付いた顔でホッとしている。
「……それならいい方法があるぞ」
「えっ⁉︎ 一体どんな方法ですか?」
「あそこにいる交通整備をしている警察官に訳を言って通して貰えばいい」
祐二の言葉に全員が「ハッ⁉︎」と気が付いた顔になる。
「あっ⁉︎ そっか! 俺が話したように警察に相談すれば、フィールドオーナとも連絡が付くからすぐに対応してくれる!」
「念の為、名刺を渡しながら話した方がいいかもしれないわね」
「マネージャーさん、今すぐ言って聞いて来た方がいいですよ!」
「わ、分かりました! あ…ユーミンちゃん。社長と一緒にここで待っててね」
「分かりました!」
志田さんはユーミンの返事を聞くと、交通整理をしている警察官の下へと駆け寄り、名刺を渡してから話を始めた。
「これで上手くいけばいいんですけどぉ……」
「いや…お前は今回の主役だから優先してくれる筈だ。しかし、朝からとんでもないことを仕出かす社長だな」
「……はい」
恥ずかしながらといった感じで言うユーミンの姿に、翔也達は同情してしまう。
そんな中夕月社長は彩と莉央をジロジロ見つめる。
「お、おい翔也。コイツ彩さん達をジロジロ見てる。もしかして変態じゃないか?」
「そうか? 何か品定めしている顔に見えるが」
……いや、やっぱ変質者の目をしてるかも。
「う~ん……やはりいい」
「何がですか?」
「お二人共、アイドルとか女優に興味ありますか? 私、イブニングムーンの社長を勤めさせて頂いている夕月 徳馬と申します」
そう言って名刺を差し出す夕月に、彩さんと莉央さんは名刺を受け取る。
「知ってます」
「さっきマネージャーさんが名前言ってましたしね」
「アハハハ、そうですか。いやぁ~、私も夕雛さんに迷惑を掛けてしまい、申し訳ないと思っております」
何だろう。世間話から始まる感じ、彩さん達を自分のところへ引き込みたいのか?
「因みになのですが、私は彼の妻なのでアイドルとか無理です」
「私もアイドルよりもやりたいことがあるので、アイドルやりません!」
「そうだそうだ! 彩さんがアイドルになったら、人妻アイドルって危ないワードが出来るかもしれないんだぞ‼︎」
「お前ちょっと黙ってようか!」
勝平の頭を押さえて黙らせてやった。
「なるほど、しかしアイドルは出来なくても女優は出来そうですよね? そしてそちらのお嬢さんも、やりたいことを並行してアイドルをやるという選択肢もあると思います。
大丈夫。スケジュール管理はこちらの方でしっかりやるので、考えないして頂けないでしょうか?」
「あの、夕月社長。志田さんから独断での勧誘は止めるように言われた筈ですよね?」
「夕雛ちゃん! 私の目の前にはダイヤモンドの原石があるんですよ! それを光り輝くように手入れしてあげるのが我々の仕事じゃないですか!」
「しつこい勧誘はしないってこの間約束したばっかりじゃないですか!」
「しつこくしてないから全然OK! 我々の事務所に入って……」
「な・に・し・て・る・ん・じゃ・このボケエエエエエエエエエエエエッッッ‼︎‼︎⁉︎」
走って戻って来た志田さんのドロップキックが、夕月社長に突き刺さり、夕月社長はすっ飛んで行った。
「そうなるわね」
「うおおおおおおおおおおおおッ‼︎⁉︎ 生のユーミンだああああああああああああッ‼︎‼︎⁉︎」
勝平はそう言うと天に向かって両手を掲げて涙を流すが、翔也がすぐ側まで行き頭を叩いた。
「こんなところでそんなことしたら、周りの迷惑だろうが」
「で、でも生ユーミンが目の前にいて……」
「気持ちは分かるが落ち着け。向こうだってお前の行動にドン引きしているぞ」
翔也がユーミン達を指さしながらそう言うと、勝平は自分が引かれていることに気が付いたようで「コホンッ⁉︎」と咳払いをした。
「サバゲーフィールドに入れなくて困っていると、会話が聞こえて来たんだが本当か?」
「え、ええ…詳しく話をすると、今日早めに出てフィールドに入る予定だったのですがぁ……」
志田さんはそう言いながらイブニングムーンの社長夕月さんを睨み付けたら、夕月さんは額に汗を浮かべながら話し始める。
「私が、前日に居酒屋の梯子酒をしてて寝坊したせいでぇ…………遅れることになっちゃったんだ。ハ…ハハ…………」
「それで社長を起こしに自宅まで行って用意させて、出発したらこの状況になってしまいました」
ユーミンの話に翔也達は呆れた様子になってしまう。
「何やってるんですかぁ……」
莉央さんの言葉に夕月社長はムッとした顔になって反論する。
「だ、だって仕方なかったんだよお嬢ちゃん! 私だって会社同士のお付き合いが……」
ガシッ⁉︎
「そのような予定は組んでませんでしたよぉ~……スケジュール管理は何処の何方がやっているのか、知ってて言ってますかぁ~?」
「ハ、ハヒッ⁉︎ アナタのお母様のおかげでひゅ⁉︎」
お、おう……アイアンクローでものを言わせてる!
「そんなことよりも志田さん。このままじゃマズイです」
「そうね。主役が遅れて来るなんてことは問題ですね」
アイアンクローをしている手をパッと離すと、夕月社長は手跡が付いた顔でホッとしている。
「……それならいい方法があるぞ」
「えっ⁉︎ 一体どんな方法ですか?」
「あそこにいる交通整備をしている警察官に訳を言って通して貰えばいい」
祐二の言葉に全員が「ハッ⁉︎」と気が付いた顔になる。
「あっ⁉︎ そっか! 俺が話したように警察に相談すれば、フィールドオーナとも連絡が付くからすぐに対応してくれる!」
「念の為、名刺を渡しながら話した方がいいかもしれないわね」
「マネージャーさん、今すぐ言って聞いて来た方がいいですよ!」
「わ、分かりました! あ…ユーミンちゃん。社長と一緒にここで待っててね」
「分かりました!」
志田さんはユーミンの返事を聞くと、交通整理をしている警察官の下へと駆け寄り、名刺を渡してから話を始めた。
「これで上手くいけばいいんですけどぉ……」
「いや…お前は今回の主役だから優先してくれる筈だ。しかし、朝からとんでもないことを仕出かす社長だな」
「……はい」
恥ずかしながらといった感じで言うユーミンの姿に、翔也達は同情してしまう。
そんな中夕月社長は彩と莉央をジロジロ見つめる。
「お、おい翔也。コイツ彩さん達をジロジロ見てる。もしかして変態じゃないか?」
「そうか? 何か品定めしている顔に見えるが」
……いや、やっぱ変質者の目をしてるかも。
「う~ん……やはりいい」
「何がですか?」
「お二人共、アイドルとか女優に興味ありますか? 私、イブニングムーンの社長を勤めさせて頂いている夕月 徳馬と申します」
そう言って名刺を差し出す夕月に、彩さんと莉央さんは名刺を受け取る。
「知ってます」
「さっきマネージャーさんが名前言ってましたしね」
「アハハハ、そうですか。いやぁ~、私も夕雛さんに迷惑を掛けてしまい、申し訳ないと思っております」
何だろう。世間話から始まる感じ、彩さん達を自分のところへ引き込みたいのか?
「因みになのですが、私は彼の妻なのでアイドルとか無理です」
「私もアイドルよりもやりたいことがあるので、アイドルやりません!」
「そうだそうだ! 彩さんがアイドルになったら、人妻アイドルって危ないワードが出来るかもしれないんだぞ‼︎」
「お前ちょっと黙ってようか!」
勝平の頭を押さえて黙らせてやった。
「なるほど、しかしアイドルは出来なくても女優は出来そうですよね? そしてそちらのお嬢さんも、やりたいことを並行してアイドルをやるという選択肢もあると思います。
大丈夫。スケジュール管理はこちらの方でしっかりやるので、考えないして頂けないでしょうか?」
「あの、夕月社長。志田さんから独断での勧誘は止めるように言われた筈ですよね?」
「夕雛ちゃん! 私の目の前にはダイヤモンドの原石があるんですよ! それを光り輝くように手入れしてあげるのが我々の仕事じゃないですか!」
「しつこい勧誘はしないってこの間約束したばっかりじゃないですか!」
「しつこくしてないから全然OK! 我々の事務所に入って……」
「な・に・し・て・る・ん・じゃ・このボケエエエエエエエエエエエエッッッ‼︎‼︎⁉︎」
走って戻って来た志田さんのドロップキックが、夕月社長に突き刺さり、夕月社長はすっ飛んで行った。
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