サバゲーマーズ!

青空鰹

文字の大きさ
上 下
37 / 63

37.戦う翔也達と別行動の祐二

しおりを挟む
 脇道のない狭い通路で彩さんが敵と交戦している中、祐二さんが俺に話し掛けて来る。

 「翔也、俺が迂回して敵の側面を突く。だから彩と一緒にここを防衛するようにしてくれ!」

 「了解しました!」

 祐二は翔也の返事を聞くと来た道を戻って行き、翔也の方は彩の後ろへと近付く。

 「彩さん、援護します!」

 「有り難いけど、広がれないのよね。ちょっと先に行けば隠れられる場所があるんだけど……」

 彩さんの言葉が気になったので物陰から顔を出して確認してみると、4mほど先に身を隠せそうな場所が見えた。しかしそこは敵と彩さんとの射線を通らなきゃ行けない場所。

 うわぁ~……あの場所に行こうしたら、撃たれそうな気がする。

 「……彩さん、どうします?」

 「う~ん……私があの場所に行くから、翔也くんはここで援護してくれる?」

 「あ…はい」

 正直言って彩さんに「あそこまで行って欲しい」なんて言われたら、「無理です!」って即答で断るぐらい怖いと感じている。

 「じゃあ、私が合図したら翔也くんはここで銃を構えてね。それで私が射線を通り過ぎたところで敵に向かって撃って牽制してね」

 ※味方の射線を通るときは「前を通ります!」とか「射線に入ります!」と味方に言ってから通るようにすること!
 何故そうしないといけないかって? もし自分が敵に夢中になって撃っていて、いきなり横から人が現れたりでもしたらビックリするだろ?
 何よりも撃っている途中射線に味方がいきなり現れたら、大半のヤツが撃つこと急に止めることが出来ないだろう?
 味方を撃ってしまうことをフレンドリーファイアーと言い、フィールドによっては撃った側と撃たれた側両者HIT扱いになるから注意するようにな!

 「じゃあ……行くわ!」

 彩さんはそう言うとステアーを構え、バリケードから出るのと同時に撃ちながら前へ進み物陰へと隠れる。

 あんな怖くてメッチャ撃たれそうなところを進んで行くなんて、すげぇ人だなぁ……。

 翔也が彩を関心した様子で見ていると今度は隠れた場所から身を乗り出してエアガン撃って交戦する。

 「グオッ⁉︎ HITぉ⁉︎」

 「1人ダウン!」

 「彩さんナイスです!」

 「リロードするから私の代わりに撃って押さえてちょうだい!」

 「わ…分かりました!」

 翔也はそう返事をするとエアガンを構えて敵がいる場所を狙って撃ち続ける。翔也と彩が協力している頃。別方向からアプローチを仕掛けている祐二はと言うと……。

 ここのルートから進めば相手の裏を突けそうだな。

 祐二は自身が持つエアガンを構えながら進んで行くと、右側からザリッ…ザリッ…と足音が近付いて来ているのに気付いた!

 敵が来たのか? それとも前線にいた味方が戻って来たのか?

 祐二はそう思った後、気を引き締めて足音のする方向へゆっくりと進むが、敵と思わしき足音が近付いて来るに連れてドンドン緊張感が増して行く。

 向こうも俺が近付いているのが分かっている筈だ。……いや、もしかしたら向こうは俺が近付いていることに気付いてないのかもしれない。…罠か? それとも早撃ち勝負を仕掛けるつもりなのか?

 思考を巡らせている内に、とうとう敵がいると思わしき曲がり角にやって来てしまった。

 …なるほど。ここまで来て顔を出す気がないってことは、相手は待ち伏せするつもりだったんだな。ならその作戦に乗ってやる!

 祐二はそう思った瞬間、エアガンを構えながら曲がり角から身を乗り出した!

 見つけ……

 「ヒィッ⁉︎」

 ……た?

 「…何やってんだ。お前?」

 そう目の前にいたのは両手を上げてビビりまくっている勝平だった。

 「お、俺…ヒットです……だから撃たないで下さいぃぃぃ~~~……」

 「HIT者ならHITコールをしながら進まないといけないんだぞ。ルールを忘れたのか?」

 「はいぃぃぃ……すみません」

 ※これを読んでいる読者はもう分かっているが、HITコールは撃たれたときだけではなくセーフティーエリアに帰るまで手を高く上げながらHITコールを大きな声で言わなければならない!
 そうしていないヤツは生存者と間違えられて撃たれてしまうケースが各地で見受けられているぞ!
 そして物陰や道の曲がり角などから出るときは、手を先に出して振って「HIT通ります!」と言ってから通るといいぞ! それでも怖いと思ったら、エアガンのストックの方を先に出してアピールするのも有りだ! 間違っても銃口の方を先に出すなよ!
 以上の点を気を付けてくれよ! たまにフィールドスタッフに「HIT者なのに撃たれた!」や「HITコールしてるのに撃ち続けられた!」と言う報告がある! その原因の大半は今説明が出来てないヤツだったからな!

 つーかコイツやられてたのか……。

 祐二はそう思いながら「ヒット通りまぁ~す!」と言って出入り口を目指して歩く勝平を見送った。その後はエアガンを構えて先へと進み始めた。

 とんだ足止めを喰らったな。彩達がまだ生存していればいいんだが……。

 祐二はそう思っていると、今度は正真正銘の敵とバッタリ出会してしまった!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

【完結】知られてはいけない

ひなこ
ホラー
中学一年の女子・遠野莉々亜(とおの・りりあ)は、黒い封筒を開けたせいで仮想空間の学校へ閉じ込められる。 他にも中一から中三の男女十五人が同じように誘拐されて、現実世界に帰る一人になるために戦わなければならない。 登録させられた「あなたの大切なものは?」を、互いにバトルで当てあって相手の票を集めるデスゲーム。 勝ち残りと友情を天秤にかけて、ゲームは進んでいく。 一つ年上の男子・加川準(かがわ・じゅん)は敵か味方か?莉々亜は果たして、元の世界へ帰ることができるのか? 心理戦が飛び交う、四日間の戦いの物語。 (第二回きずな文学賞で奨励賞受賞)

蒼海の碧血録

三笠 陣
歴史・時代
 一九四二年六月、ミッドウェー海戦において日本海軍は赤城、加賀、蒼龍を失うという大敗を喫した。  そして、その二ヶ月後の八月、アメリカ軍海兵隊が南太平洋ガダルカナル島へと上陸し、日米の新たな死闘の幕が切って落とされた。  熾烈なるガダルカナル攻防戦に、ついに日本海軍はある決断を下す。  戦艦大和。  日本海軍最強の戦艦が今、ガダルカナルへと向けて出撃する。  だが、対するアメリカ海軍もまたガダルカナルの日本軍飛行場を破壊すべく、最新鋭戦艦を出撃させていた。  ここに、ついに日米最強戦艦同士による砲撃戦の火蓋が切られることとなる。 (本作は「小説家になろう」様にて連載中の「蒼海決戦」シリーズを加筆修正したものです。予め、ご承知おき下さい。) ※表紙画像は、筆者が呉市海事歴史科学館(大和ミュージアム)にて撮影したものです。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

処理中です...