サバゲーマーズ!

青空鰹

文字の大きさ
上 下
35 / 63

35.フラグゲットした結果が……

しおりを挟む
 試合終了の掛け声が聞こえた後、フラッグを押した翔也の周りに味方達が駆け寄って来た!

 「フラグゲットおめでとう!」

 「フラグゲットやったな!」

 「フラグゲットおめでとうです!」

 そう言って味方とハイタッチを交わす。

 「あの…皆さんのおかげでフラッグを取れました! ありがとうございます!」

 翔也はそう言って頭を下げた。

 「何を言ってるんだ。お前がフラグに行かなきゃフラッグは取れなかったんだよ!」

 「フラッグは中々取れないものだから遠慮せずに誇りなよ」

 「はい」

 話ながらゲームフィールドを出ると祐二さん達とバタリと会い、彩さんがちょっと驚いたような感じで話し掛けて来る。

 「翔也くん。この人達と知り合いなの?」

 「さっきフラグを取りに行ったときに知り合いました」

 だから名前が分からない。

 「あら、そうなのね」

 「ん? ちょっと待てよ。フラッグを取りに行くときにって……もしかしてフラグゲットしたのは彼ら?」

 「いいんや、初心者の彼がフラグゲットしたんだ」

 「そうそう! 彼の活躍の賜物だよぉ!」

 「彼がいなかったら、きっと私達は負けてたかも!」

 それは大袈裟過ぎるような気がする。

 「初めてサバゲーに来た上にフラグ初ゲットしたのか。おめでとう」

 「おめでとう! 翔也くん!」

 「あ…ありがとうございます。これも一緒にフラグを取りに行った人達のおかげです」

 俺がそう言うとフラグを取りに行った人達は「そんなことはないよ」と言いた気に微笑んだ。

 「……フラグゲットしたぁ?」

 この声は……。

 そう思いながら声がした方向に顔を向けて見ると、勝平が身体をフラフラさせながらこっちにやって来ていた。

 「勝平! お前先に戻っていたのか?」

 「ああ……彩さん達と合流したときにやられたんだよ。そんなことよりも翔也がフラグゲットしたって……」

 「あ…ああ。まぁ同じチームの人達のおかげでフラグゲット出来たんだ」

 俺がそう説明すると勝平は俯いた後、身体をプルプルと震わせる。その異様な姿に俺もそうだが、祐二さんと彩さんはちょっと引いた。

 「……羨ましい」

 「…え?」

 「翔也が羨ましいんだよおおおおおおおおおおおおっ‼︎⁉︎」

 今度は泣きながらそう言ったので、翔也達はポカーンとした表情になってしまった。勝平はそんな様子に気付いていないのか分からないが話を続ける。

 「お前や彩さん達と逸れたからフィールド内を探し回って、やっと彩さん達と合流出来たかと思ったら、滅茶苦茶撃たれってやられるわで苦労してたんだぞ!」

 「お…おう。それは災難だったな」

 「しかもフラグゲットしたなんて……これじゃあ俺が惨めじゃないかぁ~……」

 勝平はそう言った後に席の方に向かうので、ちょっと気まずいと思いながら後に付いて行くようにして席へ戻った。

 「まぁ…そのぉ……何だ。サバゲーでフラグゲット出来ることってあんまりないから、落ち込むことはないぞ。
 それに俺自身も10~20回フラグ戦をやって1回取れればいい感じだから……な?」

 「そ…そうね。私だって最近だと半年前ぐらいにフラグゲット出来たかな? って感じよ」

 お二人共、慰めになってない。

 「それに後1試合あるから、そのとき頑張ればいい」

 「後1試合しかないから絶望的なんですよぉ~……」

 勝平はそう言うとテーブルの上に落ちていたBB弾をコロコロと転がして遊び始めた。

 「……いじけたな」

 「まぁ…勝平はメンタルが弱いんでよくこうなるんですが、復帰は早いから心配することもないですよ」

 「ふ~ん。そうなのねぇ」

 彩さんはそう言うと、テーブルに肘を付いて勝平に微笑みの顔を向ける。

 「勝平くん。アナタはよく頑張ってるわよ」

 「そんなことないですよ彩さん。だって俺、彩さん達と合流したときにすぐにやられちゃったし……」

 「そんなことないわよ。ゲームフィールドで逸れた仲間を見つけるのは困難なのよ。
 だから私達を見つけ出した勝平くんは凄いことをやったの!」

 ※…念の為説明しておくがフィールドの広さによって合流出来る確率が変わる。だから狭い室内戦などになれば逸れた仲間とすぐに合流出来るぞ!

 「合流出来た俺が……凄い?」

 「そう! だから自信を持って次の試合を頑張りましょう! それにそんなふうに落ち込んでいたら、勝平くんに莉央を紹介出来ないわ」

 彩さんの言葉に勝平はピクリと身体を反応させた!

 「莉央さん⁉︎」

 「そう莉央! 今日最後の試合になっちゃうけど、ここでいいところを見せれば莉央はアナタのことを気になるかもしれないわよ!」

 「ハッ⁉︎」

 |勝平〈アホ〉は何かに気が付いたように顔を上げた!

 「そうだ! 次の試合で俺がフラグゲット出来れば、莉央さんが俺のことを注目してくれるかもしれないっ‼︎」

 「ええ!」

 「俺、頑張ってフラグ取りに行きます! 翔也! 俺のサポートしてくれるか?」

 「あ、ああ……出来る限りのことはするぞ」

 「よし! 頑張って敵をたくさん倒して翔也のようにフラグゲットして、莉央さんに振り向いて貰えるように頑張るぞぉ‼︎」

 「その意気よ勝平くん!」

 「うおおおおおおおおおおおおっ!⁉︎ 俺はやるぞおおおおおおおおおおおおっっっ‼︎⁉︎」

 やる気に満ちている勝平を誉めるように拍手しる彩だが、その光景を見ていた翔也達は「また乗せられてる」と呆れていたのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

奇妙な日常

廣瀬純一
大衆娯楽
新婚夫婦の体が入れ替わる話

江戸時代改装計画 

華研えねこ
歴史・時代
皇紀2603年7月4日、大和甲板にて。皮肉にもアメリカが独立したとされる日にアメリカ史上最も屈辱的である条約は結ばれることになった。 「では大統領、この降伏文書にサインして貰いたい。まさかペリーを派遣した君等が嫌とは言うまいね?」  頭髪を全て刈り取った男が日本代表として流暢なキングズ・イングリッシュで話していた。後に「白人から世界を解放した男」として讃えられる有名人、石原莞爾だ。  ここはトラック、言うまでも無く日本の内南洋であり、停泊しているのは軍艦大和。その後部甲板でルーズベルトは憤死せんがばかりに震えていた。  (何故だ、どうしてこうなった……!!)  自問自答するも答えは出ず、一年以内には火刑に処される彼はその人生最期の一年を巧妙に憤死しないように体調を管理されながら過ごすことになる。  トラック講和条約と称される講和条約の内容は以下の通り。  ・アメリカ合衆国は満州国を承認  ・アメリカ合衆国は、ウェーキ島、グアム島、アリューシャン島、ハワイ諸島、ライン諸島を大日本帝国へ割譲  ・アメリカ合衆国はフィリピンの国際連盟委任独立準備政府設立の承認  ・アメリカ合衆国は大日本帝国に戦費賠償金300億ドルの支払い  ・アメリカ合衆国の軍備縮小  ・アメリカ合衆国の関税自主権の撤廃  ・アメリカ合衆国の移民法の撤廃  ・アメリカ合衆国首脳部及び戦争煽動者は国際裁判の判決に従うこと  確かに、多少は苛酷な内容であったが、「最も屈辱」とは少々大げさであろう。何せ、彼らの我々の世界に於ける悪行三昧に比べたら、この程度で済んだことに感謝するべきなのだから……。

処理中です...