サバゲーマーズ!

青空鰹

文字の大きさ
上 下
26 / 63

26.頼りになる勝平(?)

しおりを挟む
 フィールドスタッフの先導の下、復活地点にやって来るとスタッフはドラム缶の上にカウンターを置くと、声を上げて話し始める。

 「はい、皆さんご注目して下さい! 確認の為もう一度説明するので、こちらに顔を向けて下さい!」

 スタッフがそう言うと味方全員が女性スタッフに顔を向ける。

 「えぇっと…今回のゲームは殲滅戦です! フラッグ戦ではないので、敵陣地の復活地点に行ってもフラッグが用意していませんのでご注意下さい!
 そして復活する際はドラム缶の上に置いたカウンターを1回押して復活をして下さい!
 復活する際はHITした本人が押すようにして下さいね!
 そしてここが重要! 復活は黄色チーム全体で15回までとなります! 15回目を押した時点で復活終了となりアナウンスもしますので、復活しようとしていた方はそのままゲームフィールドを退場して下さい!
 個人ではなく、黄色チームで15回なのをお間違えないようにお願い致します!
 …ここまでで質問のある方はいますか?」

 女性スタッフはそう言いながら黄色チームを一瞥する。

 「……ないようなのでゲームを始めさせて頂きます!」

 女性スタッフはトランシーバーを口元に近付け、「黄色チーム準備完了」と言った。その言葉の後にアナウンスが聞こえて来る。

 『両チーム準備完了! ゲーム時間10分間、15回復活有りの殲滅戦! 戦闘開始5秒前! 4…3…2…1…ゲームスタートォ⁉︎』

 ゲームスタートの合図と共に前にいた味方達が我先にと走って行く!

 「俺達も行きますか」

 「そうね」

 祐二さん達はそう言うとネット側を沿って行くようにしてゲームフィールド出入り口に向かって歩き出したので、俺も後に続くのだけれども……何故か勝平が怯えた表情でこっち見て来る。

 「えっ⁉︎ そっちは……」

 「ん? どうしたの勝平くん?」

 「い…いえ。何も問題ありませんっ‼︎」

 勝平はそう言うが前のゲームで滅多撃ちにされた記憶が頭の中を駆け巡っていた。

 「で…でも今回は祐二さん達がいるから大丈夫だよな?」

 「ん? 何か言ったか?」

 「何も言ってませんよ! 祐二さんっ‼︎」

 「そうか」

 気にせず前を向いて進む祐二と彩の後ろを翔也と勝平は付いて行くのだが、勝平の方がビクビク怯えた様子を見せていたのに3人は気付いていなかった。
 そしてネット側を沿って行くようにして歩いて行くと、壁に隠れている味方達が見えて来た。

 「あの辺りが前線っぽいな」

 「そうね。1っ箇所に固まらず、分散しましょう!」

 「了解です!」

 「わ、分かりましたぁっ⁉︎」

 ん? 勝平が泣きそうなのは気のせいか?

 そんなことを思いつつも車の裏に隠れると、戦っている味方の方に顔を向ける。

 「敵は何処にいますかっ?」

 「中央の通路右側です! 反対側のキャットウォーク下に敵が流れて行ってるので、反対側も注意して下さい!」

 「了解です!」

 そう返事をすると車の窓ガラス越しに相手が何処にいるか探し始める。

 中央通路って言うから多分あそこだ。そして右側だから…って見つけた!

 翔也が見つけるのと同時に敵も翔也に気付き、翔也に向けて撃った! ……がしかし、翔也は車の窓越しに見ているので撃ったBB弾は窓に弾かれてしまった。

 他にも敵がいないか?

 そう思いながら探しているとキャットウォーク下に、こちらの様子を覗っている人がいた。

 「右側キャットウォーク下に敵1人!」

 「了解! 反対側から来るかもしれないから、そっちの方も気にして下さい!」

 「分かりました!」

 味方に言われたことが気になったので、反対側の方に行き顔を出した。

 こっち側は……いない。まだ来てないのか?

 そんなことを思っていたら、CQBエリアの先から敵がひょっこり出て来たのだ!

 来たっ⁉︎

 翔也が東京マルイ M4A1を構えようとしている間にも、敵は翔也がいたのに驚いているのか慌てた様子を見せながら通路の角へと逃げて行ってしまった!

 あっ⁉︎ せっかくのチャンスだったのに逃した……。

 ※こういった場合はエアガンを構えながら顔を出すと、敵を見つけたすぐに撃てるぞ!

 翔也は残念な気持ちでいると、先ほどの敵が隠れた場所からひょっこり顔を出して撃って来た! その弾は車のボディに当たった為ヒットは免れたが、翔也は驚きつつ車の陰に隠れた!

 危なかったぁ~っ⁉︎

 そう思いながらも、味方がいる方に顔を向ける!

 「こっちの方からも敵が来ています!」

 「やっぱりそっちからも来てたぁっ⁉︎ 」

 「翔也くん! 1人で何とか出来る?」

 「1人だけなので何とか……」

 と言いながら再度確認の為に顔を出して見ると、3人ほどの敵が翔也に向けてエアガンを構えていたのだ! 翔也は瞬時に撃たれると気付いたので顔を引っ込めた!

 「3人に増えたので対応が難しそうです‼︎」

 「分かったわ勝平くん! 翔也くんのところに行って援護してあげて!」

 「えっ⁉︎ 俺がですか?」

 「ええ、そうよ。…って、どうしたの勝平くん?」

 勝平は彩さんの命令に無理と言いたそうに首を横に振っていた。

 「……そう。これじゃあ私の妹を紹介出来そうにないわね」

 彩のその言葉に勝平の脳内に電流が走る。

 「じゃあ私が……」

 「いいえ、俺が親友を助ける為に行きます」

 「無理しなくてもいいのよ」

 「無理なんてしていませんよ。俺に任せて下さい」

 いつもと違って紳士的な感じだから、気持ち悪いなぁ~。

 「そう……じゃあ、お願いするわね」

 「任せて下さい。彩さん」

 笑顔で見つめる彩に対して勝平はそう言うと、翔也の下へと行く。
 だが周りにいた彩以外の人達はこう思っていた。“コイツ単純なヤツだなぁ……。”と。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

合言葉(あいことば)は愛の言葉

転生新語
キャラ文芸
 高校一年生の私は、学校の制服姿で囚われていた。誘拐犯と室内にいて、そこに憧れの先輩である、倉餅万里愛(くらもち まりあ)さまが入室してきた……  カクヨムに投稿しています→https://kakuyomu.jp/works/16818093092917531016  また小説家になろうにも投稿しました→https://ncode.syosetu.com/n6577ka/

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

翠碧色の虹・彩 随筆

T.MONDEN
キャラ文芸
5人の少女さんが、のんびり楽しく綴る日常と恋愛!? ---あらすじ--- 不思議な「ふたつの虹」を持つ少女、水風七夏の家は民宿である事から、よくお友達が遊びに来るようです。今日もお友達が遊びに来たようです♪ 本随筆は、前作「翠碧色の虹」の、その後の日常です。 ↓小説本編 http://nanatsuiro.my.coocan.jp/nnt_frma_a.htm ↓登場人物紹介動画 https://youtu.be/GYsJxMBn36w ↓小説本編紹介動画 https://youtu.be/0WKqkkbhVN4 どうぞよろしくお願い申しあげます! ↓原作者のWebサイト WebSite : ななついろひととき http://nanatsuiro.my.coocan.jp/ ---------- ご注意/ご留意事項 この物語は、フィクション(作り話)となります。 世界、舞台、登場する人物(キャラクター)、組織、団体、地域は全て架空となります。 実在するものとは一切関係ございません。 本小説に、実在する商標や物と同名の商標や物が登場した場合、そのオリジナルの商標は、各社、各権利者様の商標、または登録商標となります。作中内の商標や物とは、一切関係ございません。 本小説で登場する人物(キャラクター)の台詞に関しては、それぞれの人物(キャラクター)の個人的な心境を表しているに過ぎず、実在する事柄に対して宛てたものではございません。また、洒落や冗談へのご理解を頂けますよう、お願いいたします。 本小説の著作権は当方「T.MONDEN」にあります。事前に権利者の許可無く、複製、転載、放送、配信を行わないよう、お願い申し上げます。 本小説は、他の小説投稿サイト様にて重複投稿(マルチ投稿)を行っております。 投稿サイト様は下記URLに記載 http://nanatsuiro.my.coocan.jp/nnt_frma_a.htm

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

ハミット 不死身の仙人

マーク・キシロ
SF
どこかの辺境地に不死身の仙人が住んでいるという。 誰よりも美しく最強で、彼に会うと誰もが魅了されてしまうという仙人。 世紀末と言われた戦後の世界。 何故不死身になったのか、様々なミュータントの出現によって彼を巡る物語や壮絶な戦いが起き始める。 母親が亡くなり、ひとりになった少女は遺言を手掛かりに、その人に会いに行かねばならない。 出会い編 青春編 ハンター編 解明編 *明確な国名などはなく、近未来の擬似世界です。 *過激な表現もあるので、苦手な方はご注意下さい。

推等と旅するヲタク達

隠井迅
キャラ文芸
 〈遠征系イヴェンター〉、それは、〈推し〉のためならば、日本中どこにでも征く、そんなヲタクのことである。  この物語は、アニソン・アーティスト〈翼葵〉と一緒にツアーを巡った、遠征系イヴェンター達を中心に描いたヲタ活回想録である。

処理中です...