サバゲーマーズ!

青空鰹

文字の大きさ
上 下
21 / 63

21.やる気の出し方

しおりを挟む
 そんなこんなで次のゲームの準備が全員整ったのでゲームフィールド入り口前に待機しているのだが、勝平だけは彩が祐二と結婚していた事実を知った勝平だけは存在自体が真っ白になっていた。

 「ああ~……その……元気出すんだ勝平」

 「祐二さんの言う通りだぞ。それに女性なら他にもいるし、声を掛けてみるのもいいかもしれない! 祐二さんもそう思いますよね?」

 「ああ…まぁ……な」

 祐二さんはそう言いながら気まずそうに目を泳がせる。

 ん? 何か誤魔化そうとしてないか、この人。

 「彼氏持ちとか既婚者とかもいるから、慎重に見極めなきゃいけないわね。まぁ…それでも以前に比べたらサバゲーをする女性が増えているわね」

 「あ…そうなんですか?」

 「そうよ。まぁ私の場合は祐二と付き合う前からやってたから、当時としては珍しいと言えば珍しいかしら?」

 「当時?」

 「数年前までは、どマイナーなスポーツだったからね。フィールドに来る人の大半は男の人だったの。
 だから今よりもサバゲーに来ている女性が少なかったわ」

 「へぇ~……そうなんですかぁ~」

 翔也がそう言った途端、何故か勝平が膝から崩れ落ちたので全員そちらに顔を向ける。

 「付き合ってる彼女。しかも既婚者までぇ……。じゃあ気軽に話し掛けられないじゃないかぁ~……」

 コイツさては好みの女性を見掛けたなぁ。でもって仲良くなろうとも思ってやがったのか?

 翔也がそう思っていると祐二さんが勝平の側に行き、肩に手を置いた。

 「まぁそう落ち込むなって。次行く機会があれば彩の妹を紹介してやるから」

 「彩さんの……妹?」

 「ああ。彩の妹の莉央りおは、今回用事があって来れなかったんだ」

 「あの子大学のレポートを完成させなきゃ。とか言ってたからね。今頃レポートを完成させてチェックしてるんじゃないかしら?
 因みにアナタ達と同い年よ。多分友達も一緒に連れて来るんじゃないかなぁ~?」

 何か最後の方の言葉が嘘っぽく聞こえたのは俺の気のせいか?

 翔也がそう思っている中、勝平の方は真っ白な顔を彩の方に顔を向けた。

 「彩さんの妹……俺と同い年…………」

 勝平はそう言うと立ち上がった。

 「次の機会があったら、ぜひ俺を呼んで下さいっ‼︎」

 「ええ、LINEで連絡するわね。それと、次の試合頑張ってちょうだいね! カッコイイところを見せないと莉央が残念がっちゃうかもしれないから……ね?」

 彩が笑顔でそう言いながらちょっと首を傾げると、勝平の眼が見開いた!

 「はい! がんばりますっ‼︎ うぉおおおおおおおっ!⁉︎ やるぞっ! 俺はやってやるぞぉおおおおおおおおおおおおっっっ‼︎⁉︎」

 勝平は拳を天に掲げながら雄叫びを上げ続ける!

 「あの……祐二さん。勝平が彩さんにコントロールされている気がするのは、俺の気のせいですかね?」

 「いや、気のせいじゃないぞ。アイツ、人を上手く使うのに長けているから……」

 「人を上手く使う……」

 翔也がそう言いながら彩を見つめると、彩がその視線に気付いたのか翔也を見つめてニッコリと微笑んだ。

 あ……変なことを言わない方がいいかもしれない。

 翔也がそう思っていると、やる気に満ちた勝平が目の前に立った!

 「うおっ⁉︎」

 急に目の前に立ったからビックリしたぁっ⁉︎

 「翔也、俺がんばって敵を倒す! そして彩さんの妹様に振り向いて貰うっ‼︎」

 妹様って何だ? 妹様って?

 「まぁ……とりあえずがんばってくれ」

 やる気に満ちている勝平に対して翔也は「やれやれ」と言いたそうな顔をさせていた。そしてそのやる気の結果はというと……。

 「ヒットォオオオオオオッ⁉︎」

 前に突っ込み過ぎてやられてしまった勝平。その次の試合では……。

 「ギャァアアアアアアアアアアアアッッッ!⁉︎ マジで撃って来やがるぅううううううううううううっっっ‼︎⁉︎」

 今度は孤立してしまい、多数の敵から狙い撃ちされてしまう始末。結果的にやられてしまった。
 そしてしょぼくれた様子でセーフティーエリアへと戻って行く。

 「……ただいま」

 「おかえり。意外と保ったな」

 祐二がそう言うと勝平は涙目になった。

 「敵がたくさんいて。集中砲火を浴びてたから、顔を出せなくて……」

 「それでも前の試合よりも粘ってたんだから偉いわよ」

 「まぁそうだけど……」

 勝平は「これじゃあ莉央さんに合わせる顔がないじゃないかっ⁉︎」と心の中で叫ぶのであった。

 「……お? 翔也も帰って来たみたいだぞ」

 祐二がそう言うと、彩と勝平はゲームフィールドの方に顔を向けた。

 「やられて帰って来ました!」

 「そんで。1人でも倒せたか?」

 「敵が俺に注目しているときに周りの人達が倒していく感じだったので、全く倒してません」

 「そう…でも自分に注目を集めて周りの人に倒して貰うって……いい作戦ね」

 「俺撃たれてばかりで、何も出来なかったぞ」

 勝平はそう言いながら身体を震わせていた。

 コイツに一体何があったんだ?

 「まぁ、俺が目立つところにいたからってのもあったんですけどね」

 「自然に敵からヘイトを受けたって感じかぁ……それはそれで役に立ってよかったんじゃないか?」

 「まぁ……そうですね」

 ぶっちゃけ言えば、メッチャ撃たれて怖かったけどな。

 「そんなことよりも、2人共食事頼んでるでしょ? 昼食用意してあるから、引き換え券持ってあそこの建物で交換して来たら?」

 彩さんが指をさす方向に顔を向けると建物の前に人が並んでいた。

 「そうですね。勝平行こうか」

 「ああ!」

 翔也は勝平と共に食券を手に持って列に並びに行くのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

奇妙な日常

廣瀬純一
大衆娯楽
新婚夫婦の体が入れ替わる話

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...